今回の文章は、当初は現在マウスコンピューター様からお借りしているWindows 10ラップトップPC、「MB-C250B1-S1」のレビューの2回目として考えていました。前回のレビューはこちら。
ところが実際に今回の主旨「ストアアプリとEdgeのみで使ってみる。」で試してみたところ、このモデルのスペック云々以前にストアアプリが私の用途においてはあまりに充実していないという事態に陥ってしまいました。
そこで今回はお借りしているモデルのレビューから離れて、単純な「現時点でのWindows 10 S的使い方」に絞って書いてみたいと思います。
なぜわざわざ一見無駄に見える「ストアアプリ」と「Edge」のみという縛りで使いたいのか。
私は今回主に、今後発売されるはずのWindows 10 S的な使い方、Chromebook対抗としての使い方を中心に使い勝手を見ていきたいな、と考えていました。本来の想定されている使い方からはズレてしまいますが、今後を考えると十分に意味があると思っています。
一つにはこの価格帯(4万円~5万円)のWindows 10ラップトップPCは確かにそのままでもそれなりに使えると思うのですが、敢えて積極的に使うにはインパクトが薄い気がしているのです。Windows PC、というよりも従来考えられてきているPCのイメージで考えた使い方をするにあたっては、どうしてもこの辺りの価格帯のモデルはWindowsと思うと少し心許ない。また何かしら惜しい点が出てきてしまう。PCって何でも出来るようでいて、では常日頃から何でも使うか、というとそうでもないと思うのです。使っていて使いにくいものは使いません。「一応使える」と「実際に使う」は別物です。
ただ、その一方で、誰もが高負荷、ハイスペックを必要とするような使い方をしているわけではありません。「これで十分」というある一定のラインはそれぞれにあると思います。それが「スマホで十分」という層であったり、「Chromebookで十分」という層が増えてきている一因でもあるのかな、と感じています。価格の安さと実際に頻度の高い用途における使い勝手のバランスを考えた時、Chromebookというのは人によってはメインにはなり得なくても十分に魅力を持った製品です。
気がつけば米国の教育市場においてはChromebookが大きなシェアを持つようになったこともあって、Microsoftが教育市場向けに対抗としてWindows 10 Sを入れた$189~のモデルを出すことを発表しました。ただ、これは教育市場向けだけでなく、個人市場向けと考えても私は十分に魅力的だと感じました。10 Sになることで無駄な部分が削られ絞られ結果として負荷が減り、処理が早くなり快適になる。更にセキュリティも上がり、アップデートや復旧も楽になる。多くの一般ユーザーにとってはそうしたモデルが低価格で手に入るというのは大きいと思うのです。
ただ、残念なことに、現時点では10 Sは高価格のSurface Laptopを除けば基本的に一般販売はされません。単体販売も現時点ではない。$189~のPCはあくまで教育市場向けに発売されることになります。そして、Surface Laptopを買うような層というのはそもそも10 Sに魅力を感じるような形の使い方をしていないと思いますので、恐らく即Proにアップデートしてしまうと思うのです。つまり10 Sが出ても現時点での10のシェアを脅かすことはない、という諸々の事情もそこにはあるのでしょうが、勿体ないと思うのです。折角今回10 Sを出すことでUWPアプリが充実してくるのであれば、もしかしたら先ほどからしつこいくらい触れているように一般層にはこちらのほうが使いやすい可能性も出てきます。だから実用的か試してみたい。けれど発売していないから試せない。ならば想定されているスペックを現時点で持っているWindows 10モデルで試しに自分縛りを加えて使ってみよう。(もちろん10と10 Sでは全く別物ではあると思いますが)
長くなりましたがそれが今回の主旨です。果たして10 Sで想定されている「ブラウザーはほぼEdgeのみ」「ストアアプリのみ」でこのスペックのモデルを使った場合に実用的なのか。それは処理速度だけでなく、実際の使い勝手も含めて。
ということで使い始めてみたのですが・・
処理速度的にはMB-C250B1-S1で十分快適。ただ、Edgeに馴染んでいないと結構辛い。
先ほどから何度もChromebook対抗、と書いている以上、まずはChromebookのスペックの指標の一つとなっているブラウザーベンチマークを今回お借りしているMB-C250B1-S1でも動かしてみました。Chromebookユーザーにはお馴染み、「Octane 2.0」と「Speedometer 1.0」です。ただしブラウザーはChromeではなくMicrosoftのEdgeです。
「Speedometer 1.0」は若干苦戦したものの、もしこのモデルが現在普及価格帯(まさに教育市場向けに想定されている)のChromebookであったら、十分に快適、同等の数値です。単純に考えればブラウザーベースの用途においては十分に使えるモデルだということです。
CrystalDiskMarkのストアアプリ版があったので試しに測定してみたのですが、SSD搭載モデルということでこちらも十分に実用的な速度です。Chromebookの現行は基本的にeMMCです。Windows 10の場合、この価格帯になると時々容量を重視してかHDDを搭載しているモデルもあるので、そうなると少し使い勝手に影響が出てきてしまうと思うのですが、ほぼ体感的には似た感じかな、と思いました。
ということで、処理速度的に大きな不満はありません。これでブラウザーで使えることはほぼ問題なく、更にWindowsの豊富なアプリ群を使えるようになるのであれば、十分に大きな選択肢になると思ったのです。ただ、ここで戸惑ってしまいました。それが、Microsoft Edgeに私自身が馴染んでいないというあまりに個人的な事情です。
Microsoft Edgeって普段使ってますか?
MicrosoftがWindows 10になってから急に強く押し出しはじめたMicrosoft Edge、皆さん使ってますか?
https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/microsoft-edge
私、全く使ってなかったんです。それどころか邪魔だなぁとすら思っていたくらい。(愛用されている方ごめんなさい。)WindowsでもChromeOSでもChromeを(完璧なブラウザーでは勿論ありませんが)愛用してしまって、完全にその使い勝手に慣れてしまった私からすると、既にEdgeって全く別物のブラウザーなのです。そして、Windows以外に使い途がないのが痛い。私、スマホはAndroidなので、当然スマホもChromeなんです。なので、検索のbing縛りと合わせて10 S移行の場合には大きな障害になっているのですが、でも良い機会なのでこのレンタル期間中はこのモデルではEdge頑張って慣れてみたいと思います。案外ハマるかもしれないし。
ストアアプリがどれだけ自分の用途にピタリとハマるかによって快適さは大きく変わる。
既に「電卓」など自分自身でストアアプリだと気付かずに使っていたものもあるのですが、私、今まで敢えてストアアプリを使おうと思ったことはありませんでした。
で、とりあえず今回は「ストアアプリしか使わない!」と決めていたので(こういうことはメインのPCでは影響ありすぎて出来ません)基本的なアプリを探して入れてみました。「Evernote」とか「Skype」とか「Dropbox」とか「OneDrive」とか。あと最近では「秀丸エディタ」もそうですね。(Evernoteはレビューですと、何となく既にストアアプリの更新を半ば諦めているっぽい雰囲気なのですが、今後の10 Sの展開次第では再開されるのでしょうか)
既にあるアプリに関しては、それなりに使い勝手は悪くありません。むしろ、アプリによっては「あれっ?これならストアアプリに変えちゃってもいいかも」と思えるものもありました。
無駄で消せないアプリもあったりするのですが、使っているアプリに関してはむしろ今までのように個別に一つ一つサイトからダウンロードしてインストールするよりも、把握と管理が楽でした。これは予想外。スマホアプリなどと同様、ストアアプリ開くと勝手に最新版にアップデートしてくれますし、その点では私のメインのWindows 10でももしかしたら今既にストアアプリ版があるものは余程移行することで不便がないのであれば、むしろちょっと移行しても良いかな、と思い始めています。
ただ、まだ如何せん種類が少ないですよね。自分が普段愛用しているアプリが果たしてストアアプリになるのか、またならないまでも、では代替出来るようなアプリが見つかるのか。
例えば私の場合、「一太郎2017」は仕方ないにしても、散々育てた「ATOK Passport」も使えず、今からMicrosoftのIMEを使うか、というと少し悩みます。そうなんです、そうしたアプリの対応の有無をあれこれ考えはじめている時点で、視点がChromebookとはまた少し違ってきてしまうんです。あくまでWindowsとしての視点です。だから、豊富なアプリは有力な武器にもなりますが、冒頭で触れたように「一応使える」と「実際に使う」が一緒くたになってしまって、結局無駄にアプリがインストールされてしまう状況にもなりやすい。本当にこのスペックでPhotoshopとか使うの?とかそういうレベルの話になってきてしまいます。そして、この辺りのアプリとWebサービス(Webアプリ)とのバランスをどう取るか、というあたりに10 Sの使い勝手は大きく左右されそうな気がします。
今後のストアアプリの対応と10 Sの軽快さ次第ですが、現行では普通に10として使った方が良いです。
今後日本に限らず一般向けに果たしてWindows 10 S自体が単体で公開されることがあるのかどうかは不明ですが、教育市場向けのみでは勿体ない、と感じていることには変わりはありません。実際Surface Laptopが海外で発売される今月15日以降は一気にアプリが充実してくる可能性は高いと思います。
https://youtu.be/74kPEJWpCD4
ただ、実際に使ってみた限りでは、PC本体のスペック云々以前に、やはりOS自体が全く違うな、と感じています。少なくともWindows 10とChromeOSを同じ使い方をするなら、自分の用途により相性の合う側を選んだ方が良い。同じ価格帯であろうが、少なくともこの2つは使い勝手は別物です。それは勿論MicrosoftアカウントとGoogleアカウント、それぞれのサービスにどれだけ普段依存しているかも大きいとは思いますが。
どうしてもWindows 10でしか使えない(もしくは10 Sでもストアにある)アプリが欠かせない、というのであれば、Chromebookの出番はありません。そして、Edge自体も使い勝手が悪いわけではありません。更に、今回のような使い方においては、お借りしている「MB-C250B1-S1」のような4~5万円のWindows 10 ラップトップPCのスペックであれば十分に実用的です。
ただ、ではChromebookが「アプリが使えない」から劣るか、と言われれば、全く別だな、とも思いました。細かい部分でのサクサク感やクラウドとの連携の強さ、自然さはやはりChromeOSならではです。そして、10 Sは分かりませんが、アカウント一つでどこでも再現出来る気軽さなどはやはりChromeOSの魅力です。
今回のレンタル期間中にはまだまだストアアプリが充実するのは厳しそうですし、かといってメインで使っている自宅の自作PCやラップトップPC(ZenBook 3)をストアアプリやEdgeのみで使うのは苦しい。ただ、私はそれでも10 Sには期待しています。是非個人向けにも何らかの方法で入手する道を作って欲しい(Surface Laptop以外にも)。
低価格モデルにおいて10 Sと通常の10が選択出来るようになると、またこの価格帯はとても面白くなってくると思っています。Microsoft、Windowsというブランドと、Officeが使える、という日本における安心感の高さ。そして軽快かつシンプルなOS。
ChromeOSと同様に、10 Sの今後も積極的に追っていきたいと思っています。