現在マウスコンピューター様からお借りしているm-Bookシリーズの新作、「m-Book B503E」ですが、前回のレビューで挙げた中でも私が最も気になっているのが「動作時のファン音」です。
先日、同社の11.6インチ、ほぼ同スペックのモデルをレビューしましたが、その際にも最も気になったのがこのファンの音です。
側面も含めて、一体どこからこれだけの音がしてくるのか、と思うくらいに「耳障り」とは少し違うものの、ファンがよく回ります。外で使う場合には少し周りに気を使うレベルです。家でも静かな夜だと結構気になるんじゃないかなぁ、と思いました。
ただ、前回のレビューでも触れましたが、このファン音は付属の「Control Center」アプリによってある程度調整が可能です。
「静音」「省電力」「パフォーマンス」「エンターテイメント」の中から選択出来るのですが、この中でも「静音」にすることでほぼファン音がしなく(聞こえなく)なります。
そこで、これは便利だなぁ、と思ってここ数日使っていたのですが、どうも全体的な動作が重いのです。気になったので各種ベンチマークを取ってみたところ、思っていた以上に数値に開きが出てしまっていました。そこで今回はそれぞれのベンチマークを見ながら、使い勝手を考えてみたいと思います。
PCMARK 8 Home Accelerated / Creative Accelerated
まずはお馴染みのベンチマークソフト、PCMARK 8で比べてみたいと思います。初めに一般的な「Home Accelerated」での数値です。結果はそれぞれ順番に「パフォーマンス」「静音」の順に並べています。
約3割近く下がります。実際にベンチマーク動作時の表示も「静音」ですと確かに静かではあるのですが、何となく全体的にモタツキが感じられるようになります。
Creative Acceleratedでの結果もほぼ同じです。どちらのベンチマークでもCPU温度が「パフォーマンス」に比べて「静音」の方が低めに推移していることにも気付かれると思います。ファン速度自体が「SILENT」でも問題がないように、かなりクロック自体も下げているのではないか、と思われます。
CINEBENCH R15
続いてCPU性能を見ることの出来るベンチマーク、「CINEBENCH R15」の結果です。こちらは先ほどのPCMARK 8以上に大きく差が開きました。
実際に計測中には「静音」はそれでもずっとほぼ無音のままなのですが、非常に描画が遅いです。シングルコアの計測に関してはなかなか進まなくて待つのに少し疲れました。これだけ差が付くと、流石に体感上もハッキリ分かるな、と思いました。
Octane 2.0
Chromebookを使われている方にとってはベンチマークとしては定番中の定番でもあるブラウザー上におけるJavascriptの動作を計るベンチマーク「 Octane 2.0」。Chromebookにおいては現在の普及価格帯の平均が7500~8500程度です。(最近発売されたモデルではCPUなどが新しくなったこともあり、10000前後が徐々に標準になり始めています。)
Chromebook同様、Chromeブラウザー上で行いましたが、バックグラウンドアプリや拡張機能の影響もありますので、同じCPUを載せたChromebookより若干低く出ても仕方ないかなぁ、と思いながら計測しました。実際、ブラウザーの使い勝手を計る上でも意外とこのベンチマークは参考になるので、サポートが終了した現在でもよく利用するのですが、今回は「静音」に関しては4000を切ってしまい、流石に目を疑いました(私の計測ミスかもしれません)。ただ、前述のベンチマークなどでも3分の2から半分に数値が落ちているので、単純計算で考えれば充分に考えられる結果ではあります。
ただ、この数値だと通常のサイト閲覧でも影響が出てきそうな気がします。(実際ここ数日「静音」で使っていて、どうもモタつくなぁと感じていたのはこれが原因かもしれません。)
Speedometer 1.0
前述のOctane 2.0に代わり、最近のChromebookにおける代表的なベンチマークの一つとなったのがこのSpeedometer 1.0です。ただ、Octane 2.0に比べて、スペックが低めの機種だと終了までに少し時間がかかるようになったのが若干不便です。
「静音」になると「16.25」です。これは流石に辛い。Atomなどではまだ使ったことがないので分からないのですが、それでもこの数値はなかなか見たことがありません。(Chromebookでもあまり無いかも。)これだと確かに単純なWeb閲覧にも支障が出てきそうです。
このスペックのモデルでは「静音」モードはかなりキツいと思います。
私が試した2台のマウスコンピューター製のPCではどちらもこの「Control Center」が付属していました。確かに一時的に「静音」にすることでうるさいファン音をほぼ無音に出来るこのアプリはある意味では便利ではあります。ただ、感じたのはこのアプリが活きてくるのは今回のような比較的手頃な価格のPCよりも、Core iやCore mなどよりハイスペックなCPUを積んだモデルなのではないか、と改めて思いました。
今回お借りした「m-Book B503E」は、普通に使う分にはファン音が気になるかどうかは個人差があるもののそれ程ストレスを感じることはないな、と思いました。その音を耳障りと感じるか、全く気にならないかは本当に分かれるので判断が難しいのですが。
N3450くらいのCPUで「静音」を選んでしまうと、クロック等を落とした結果としての体感上の違いがかなり顕著に出てしまうので、基本的には「パフォーマンス」モードでの利用をお勧めしたいな、と思います。
あとは、実際に実用的かどうかは分かりませんが、一般的に販売されているようなラップトップPC用の冷却スタンド等を常に用いながら、なるべく本体内、CPUの温度上昇を抑えるひと手間が必要かな、と感じました。
ちょっとこの辺り、残り少ないレンタル期間ではありますが、試してみたいな、と思っています。