先日こんな文章を書きました。
私は普段TVをほとんど見ないのでまだ一度も実際にはTVでは見られていないのですが、乃木坂46のCMでお馴染み、マウスコンピューターの「m-Bookシリーズ」の15.6インチモデルの新作、「m-Book B503E」を前回に引き続き、同社からお借りすることが出来ましたので、レビューをしてみたいと思います。
https://youtu.be/DEFPDTOC5oY
マウスコンピューター 15.6インチ m-Book B503E
今回お借りしたモデルは同社の15.6インチラップトップPC、「m-Book Bシリーズ」から、120GB SSDを載せ、「Office Home and Business Premium」がプレインストールされた59,800円(税別)のモデル、「m-Book B503E-A」です。ちなみに「Office Home and Business Premium」が入っていないモデル「B503E」は39,800円(税別)です。違いはOfficeの有無のみです。
モデル名 | MB-B503E |
OS | Windows 10 Home 64ビット |
CPU | インテル® Celeron® プロセッサー N3450 |
グラフィックス | インテル® HD グラフィックス 500 |
メモリ | 4GB PC3-12800 DDR3L SODIMM |
ストレージ | 120GB (6Gbps/ Serial ATAIII接続) |
液晶 | 15.6型 HDノングレア 1,366 x 768 |
インターフェース | D-sub x1, HDMI x1, USB-A 2.0 x2, USB-A 3.0 x1, USB-C 3.0 x1, Ethernet x1, マルチカードリーダー |
キーボード | 日本語107キーボード (ピッチ約18.0mm/ ストローク約1.8mm) |
本体寸法/重量 | 377.0 x 259.0 x 22.8 (折り畳み時) / 約2.2kg |
駆動時間 | 約5.4時間 |
価格(レビュー時点) | 39,800 円(税別 Office無し)/ 59,800円(税別 Officeあり) |
価格、スペック等はお借りした時点(2017年6月下旬時点)でのものですので、今後変更される可能性があります。その点はご了承下さい。また、今回のレビューに関しては、無償でレンタルさせて頂いている以外には特に対価は頂いておりません。
はじめに。私の日常の用途においては15.6インチラップトップPCはあまり想定していませんでした。
私の場合、ラップトップPCの普段の用途は出先でのメールの送受信と文章作成、簡単な画像編集の上でのブログの更新とウェブ閲覧での情報収集です。この用途においてはほぼChromebookでこと足ります。最近はZenBook 3を使う機会も増えましたが、基本的にこのように「常日頃から持ち歩いてどこでも気軽に取り出して作業する」ことがメインです。
となると、15.6インチ、って既に候補から外れるんです。拡張性は高いものの、大きい、重い。
そして、自宅には一応27インチの液晶モニター等々幾つかの外付けモニターと、一応夫婦共用のWindowsデスクトップPC(自作)があります。こちらはそれなりにハイスペックです(少なくともZenBook 3以上ではある)
なので、その私の視点で見てしまうと、既に「このモデル、何で試してみたいと思ったの?」ということになってしまうんですね。自宅据え置きで考えるならデスクトップPCあるし、またZenBook 3やChromebookを液晶モニターに繋いで使ったり、と環境整備してるじゃん、と。となると、単純に乃木坂46のCMもあるし、アクセス数稼げそうだからといった邪な理由しか出てこなさそうな気がするのですが、実際はそれ以前からちょっと真剣に考えている理由がありました。
私は常々、実家のPC環境やスマホ環境を選定、構築、メンテナンスをしています。
と書くと格好いいですが、単に実家の両親のスマホ選んだり、使えるように設定全てやったり、分からないところ教えたり、PCに問題が発生したら電話なり実際に帰省した時などにメンテナンスする、といった程度です。よくある光景だと思います。
今、実家には父、母ともにデスクトップPCがそれぞれ1台(父:NEC製Windows 7、母:Acer製Windows 10)があるのですが、購入が3~4年前でして、そろそろ何かとストレージ内も詰まってきまして、またストレージ自体がHDDだったり、と何だかんだで重く、多少不安定にもなってきているんです。
父は毎日仕事でそれなりに使っているようですが、常日頃のアップデート作業は一切しませんし、母は時々使う程度。ということで、帰省するとまずはアップデート作業から入ります。これも結構時間がかかる上に遅い。そして、父はともかくとして(仕事用PCなので息子としては細かくメンテが出来ない)、母の用途だと、そろそろ買い換えてしまったほうが快適になるのではないか、と思っていました。
そんな実家において(ここではひとまず想定は「母」として)現時点でもし買い換えを考えるのであれば、用途と予算のバランスを考えると、やはり実売価格3~5万円くらいでそれなりにスッキリ、今デスクトップで使えている用途を満たせていて+αで「買い換えて良かったね」と思ってもらえるモノが何か必要です。最近の3万円~5万円台のWindowsラップトップPC探しの一連の文章は、単純にChromebook対抗、というだけでなく、こうした事情もあったんです。
実家の両親が自宅で使う新しいPCとして考えた時の用途を挙げてみると。
私、こうした相手の用途を想像しながら(もちろん相手とのコミュニケーションは取りながら、ですが)組み立てていくのが結構好きです。(以前からお読みの方はご存じだと思いますが。)
現在の母の用途を考えてみると、
- アメリカで暮らす娘(私の妹)や孫とのSkype。
- 娘から送られてくる動画や写真、時々の日帰り旅行の写真の整理と印刷。
- ちょっと最近はExcelなんかも使って家計の簡単な管理もしてみたいな、と思い始めている。
- 時々ネットで買い物や調べ物。メールはGmailだけでなく、通常のメールソフトも使っている。
- 年賀状。
普段は出かける際にはほぼ車での移動ですが、外で持ち歩くことはないでしょう。また、パソコンを使う際にはデスクトップPCでも(液晶が小さいのもあるのですが)最近はメガネをかけて使っています。そして、一応机にデスクトップPCを置いているものの、他の資料もごちゃごちゃとあるので、非常に作業スペースが狭く、いつも使いにくそうに作業しています。
これらが思い浮かぶのですが、これだと恐らくデスクトップPCでなくても、ラップトップPCのほうが使い勝手が良い場合もあるのではないか、という気がしてきたのです。(デスクトップPCのほうが安くあがる、などありますが、自宅内での簡単な移動なども含めると)そこで今回のマウスコンピューターのモデルです。
そんな前提で今回のモデル、m-Book B503Eを眺めてみる。
前置きが長くなりましたが、早速今回のモデルをそんな母親に贈る目線で見てみたいと思います。
気に入った点、気になる点はそれぞれこちらです。
気に入った点 | 気になった点 |
15.6インチで1,366×768は案外悪くない。 | フルキーボードながら、若干配置が特殊。 |
充実したインターフェース類は自宅据え置きでも便利。 | Silentモードにしないとファンの音が結構耳障りです。 |
N3450は恐らく母の用途であれば体感速度としても充分。 | |
RAMやストレージなどの増設、カスタマイズも可能。 |
まずは液晶。
15.6インチ、恐らくIPSパネルではありませんが、ノングレア処理のおかげで視認性は悪くありません。また、解像度に関しては最大で1,366×768ということで、個人的にはFull HD(1,920×1080)欲しかったなぁ、と思うところですが、前述のようにPC作業時に最近はメガネをかけて使っている母(64歳)にはこのくらいが丁度良いかもしれません。実際、使っているのを眺めていても複数ウィンドウを開いて並行して作業するようなことはほぼ皆無ですし、ほぼ一画面で一ウィンドウくらいしか使っていません。であればむしろ悪くはないかも、といった印象。
娘や孫とのSkypeには必須のインカメラ。自分が相手にクッキリ映ることよりも相手の顔がクッキリ映ることの方が恐らく両親にとっては重要ですが、決して悪くはありません。現在使っているデスクトップPCでも液晶モニターの上に小さなカメラを別途購入して取り付けているのですが、別途取り付けるモノって時々調子が悪かったりする時がありますし、何よりラップトップPCのほうが自室だけでなく、リビングルームに持っていって家族一緒にSkypeをすることも出来ます。普段私はほとんど使うことはありませんが、先日帰省した際にSkypeをして、ようやくラップトップPCのありがたみが分かりました。
テンキー付きのフルキーボードというのは母にとっても分かりやすいかな、と思います。今までデスクトップで同様にフルキーボードを使ってきましたし、数字入力も意外と多いので、ここは15.6インチという大きさが活きていているな、と感じました。
ただ、折角のフルキーボードながら若干Enterキー周りのキー配置が気になりました。右Shiftが小さくなり、上下キーの左にずれているのも気になる所。Enterキーの下に右Shiftが無いのって、慣れるまで意外と不便です。何より小さい。
また、通常のデスクトップPC用のフルキーボードと違って、テンキーとその他のキーの仕切りがないので、ちょっと使いづらいかなぁ、というのが最初の印象。ただ、普段テンキーのないラップトップPCを使っている人でなければそこまで気にならないのかもしれません。ちなみに私は他のラップトップPC同様の感覚でキー入力をしようとしてしまい、Enterを押したつもりがテンキーの+、BackSpaceを押したつもりがテンキーの-を押してしまうことが多々ありました。距離感がまだ慣れません。
キーストローク自体は約1.8mmと比較的あるものの、至って普通のキータッチです。キーピッチも18mmなので、少し全体的に詰まっている印象です。テンキーありは確かに魅力ではあるのですが、若干キー自体が全体的に少しですが小さい印象ですね。その上、それ程しっかりとした押し込み感もないので、使い勝手としては普通です。
ただ、この辺、普段からキーボードに拘っているのであれば別ですが、一般的にはそこまで気になる程ではないかな、とも思いました。
インターフェース類は非常に充実しています。右側面は左から「USB-A 2.0」x2、「マルチカードリーダー」、「D-sub VGA」x1、「有線LAN 1000BASE-T」。この有線LANに対応しているところは自宅据え置きを考えると安心ですし、リビングルームで使うときだけ「無線LAN」を使えば良いので助かります。マルチカードリーダーもコンデジを使う母にはあると助かるものの一つ。USB-A 2.0が右だけで2つ付いているのは、同様に自宅で使うのであればタッチパネルではなく無線か有線のマウスを使うと思うので、多ければ多いだけ重宝します。
左側面も左から「電源アダプター」、「HDMI」、「USB-A 3.0」、「USB-C 3.0」、「マイク」、「ヘッドフォン」と充実。HDMIがあるので、TVや外部液晶モニターに繋げられるのは自宅で使うには意外と便利かな、と思いました。USB-Aは左右で合計3つです。さりげなくUSB-Cがあるのもありがたいところです。
これだけあれば、例えば有線のプリンターであったり、確定申告用のカードリーダー、USBスピーカーなど色々と繋いで使おうと思っても充分に足ります。また、内部ストレージ容量(120GB)に不安を感じた場合でも、外付けのHDDなどを左のUSB-A 3.0に繋げば十分かな、と思いました。バックアップ用としても使えますし。
先日、同社の11.6インチ、ほぼ同スペックのモデルをレビューしましたが、その際にも最も気になったのがこのファンの音です。
側面も含めて、一体どこからこれだけの音がしてくるのか、と思うくらいに「耳障り」とは少し違うものの、ファンがよく回ります。外で使う場合には少し周りに気を使うレベルです。家でも静かな夜だと結構気になるんじゃないかなぁ、と思いました。
付属の「Control Center」アプリです。ここで幾つかの調整が出来るようになっていまして、その中にファンの調整項目もあるのですが、出荷時はファンが「自動」になっています。これだとよく回ります。
試しにファン速度を「SILENT」にすると、ほぼ回らなくなりますが、その下の省エネが「省電力」になってしまうのが残念です。普段自宅でコンセントに繋ぎっぱなしで使うのであれば、出来れば「パフォーマンス」や「バランス」で使いたいところ。ところがファン音を考えるとSILENTで省電力にせざるを得ないのは、少し惜しいなぁ、と思いました。
公称のバッテリー駆動時間が「約5.4時間」なので、実駆動時間はもう少し下がると思います。となると、普段から持ち歩いてバッテリーでどんどん使う、という使い方にはならないと思うんですね。けれど、折角コンセントに繋いでも、音が気になるのであれば「省電力」にせざるを得ないというのはこのモデルに限らず、CPUとしてのN3450が原因なのかどうか。悪くはないCPUで個人的にも処理速度としては価格を考えれば気に入っているだけに、この点だけが少しだけ気になりました。
追記:2017年7月6日 12:00 更新
「Control Center」における「パフォーマンス」「静音」それぞれのモード時の体感差について、各種ベンチマークの数値を元に見てみました。
標準仕様で39,800円、Office込でも59,800円(それぞれ税抜)で使い勝手は良好。カスタマイズの幅の広さも魅力です。
前述のような母の用途であれば十分かな、と思います。Office付きでも59,800円(税抜)です。また、カスタマイズの幅が比較的広いのも魅力かな、と思いました。
若干価格は上がりますが、RAMやSSDを増やすことも出来ます。知識と経験のある方であれば自分で換装も可能でしょう。また、先ほどからファンの音を気にしていましたが、
どの程度効果があるかは分かりませんが、オプションとしてラップトップPC用のクーラーなども加えることが出来ます。
使用時には若干後部が上がるような構造にはなっていますが、試しに後部を少し上げるスタンドのようなものに載せて見たところ、ファンの音が少し変わったので(スピーカーなどと同じですね。反響などの関係でしょうか。)スタンドはあると便利かな、と思います。また、ラップトップPC自体、どうしても視線が下がるので無意識に頭(首)が落ち気味になります。11.6インチや13.3インチに比べれば液晶が大きい分、その影響は若干小さいかもしれませんが、スタンドなどで液晶の高さを上げてあげるだけでもだいぶ使い勝手が変わってくるかなぁ、と思いました。
わが家であれば、私のような既に自宅用も出先用もある程度固まっているような人間には向きません。むしろ前回レビューした11.6インチのモデルの方が割り切った使い方(イベント時等専用)が出来るので、使い道があります。
ただ、今回想定した実家の母のような人であれば、一台で済み、家の中で持ち運ぶくらいであればそこまで苦にはなりません。必要充分なスペックを最初から備え、シンプルに、自分の必要な用途だけで使う。必要であればOfficeを加えてもよい。充分に実用的です。その時、この15.6インチの存在感は大きいし、安心感もあります。
更に上の価格を狙うのであれば(7~9万)Core iモデルなども確かに見えてきますが、それなりに求めてくるレベルも上がってくると思うのです。
自分の中で何を重視し、どういう用途で使うのか。それはなかなか想像するのが難しく、「出来るならあれもこれも」と思って詰め込んでしまいがちで、結果として「ほとんど使わなかった」などズレが生じることも多々あります。
PCってある程度消耗品だと思うのです。確かにハイスペックのPCは格好いいですし、使い勝手も良い。けれど一生モノではありません。特によく使う方であれば果たして製品寿命としてどれくらいになってくるのか。
その中で、ある程度自分の中で用途も使用場所も定まってきた方にとっては、比較的手頃な価格帯(税抜39,800円~)でカスタマイズ出来るこのモデルは充分にありかな、と思っています。私も実家用に一台欲しいな、と思いました。
価格なりに妥協せざるを得ない点ももちろんこのラインであれば充分にありますが、それが自分の中で許容出来るのであれば、是非選択肢の一つとして考えてみて欲しいな、と思います。