ここ最近、身の回りのスマートフォンやラップトップPCに愛用しているのが国立商店の定番品、「職人が作るレザースリーブ」シリーズです。
個人的には最近は「職人」や「こだわり」「手仕事」といったワードにはあまり心動かなくなってきています。どんな製品であってもそれを作っている「人」は必ず存在している訳で、「こだわる」のは作り手であれば多かれ少なかれあると思っています。それが受け手にとって魅力を感じるかどうかは別の話で、敢えて作りて側からその種の言葉で前面に出される事に心の狭い私は抵抗感を感じ始めているのかもしれません。「職人」だから必ずしも凄いわけでも「手作業」だから必ずしも良い製品になるわけでもない、ということです。
などと書くとまるでこの国立商店製のレザースリーブがダメなように感じられるかもしれませんが、個人的には大変気に入っていまして、対象となる製品(Apple製品)一つ一つに向けた革好きの愛を感じるのです。
私がデジタルガジェットに革カバー等を付けるようになったのは懐かしのPalmに今は銀座にある名店ORTHODOXEEでオーダーしたカバーを付けるようになってから。当時からお気に入りの端末にお気に入りの革を、という層は少なからずいた、ということですね。その種のモノ好き革好き特有の匂いを、この国立商店の一連の製品には感じているのです。
革好きとデジタルガジェット好きは思ったよりも重ならないな、と気づいたのは最近のこと。意外と革には興味がない、高い、と思っている方も多いので。まぁ国立商店自体は革製品の会社でもあるのですが。
それがここ最近ほぼこのレザースリーブで揃えてしまっているのがその証拠だと思います。
前述の「抵抗感」はあまりに世の中にその種の製品と売り方が出回りすぎてしまっていることへの愚痴のようなもの。「職人の手作り」という言葉が独り歩きしてしまっていることへの寂しさ。本当に良い製品がこれらの言葉で彩られた数多の製品で見えなくなってしまうのが悲しいだけです。
職人が作るレザースリーブ for 9.7インチiPad Pro
この製品はiPad Pro発売当時に一度発売されていたものの、人気があったため長らく品切れになっていました。
国立商店:職人が作るオイルドレザースリーブ for 9.7インチiPad Pro/Air
iPad Pro自体が一部ではまだまだ入手しづらい状況ということもあり、ようやく入手したもののこのレザースリーブが既に品切れで残念だったかたもいるのではないか、と思います。
iPad Pro 9.7インチ入手後、強化ガラス液晶保護フィルムはいつも通り購入し貼ったものの、カバー等は買わずにいたのも、私の中ではこのレザースリーブの購入が前提にあったためです。先日Twitterで国立商店(@kawayacom)に質問したところ、今月下旬には再販売すると教えて頂きまして、首を長くして待っていました。再販売通知の登録もしていたので、再販売と同時に注文、手元に届きました。
思っていた以上に「薄さ」と「柔らかさ」を感じた今回のレザースリーブ。
今回選んだのはブラウンヌメのスペシャルエディション。
100%植物性のタンニンでなめした革で製作している特別なモデルです。
植物の渋に含まれる成分であるタンニンでなめした革のことをヌメ革と呼び、自然で素朴な風合いが特徴です。デジタルデバイスと相性がよい風合い、コシを追求して、国立商店で別注製作しています。
革はブラウン系の色味で仕上げ、濃淡を付けて深みのあるアンティークな風合いを出しました。使い続ける程に革の変化(エイジング)を楽しめます。
内側の赤いフェブリックは、1.0mm厚のイクロファイバー素材を採用しています。
このスペシャルエディションは既にiPhone SE用と6s用を使っていて、表情の変化と柔らかさが大変気に入っています。そうしたこともあり、届く前からある程度イメージしていたのですが、届いて手にとってみて気づいたのは「思っていた以上に薄いな」ということ。これは今回は良い意味です。
こちら、既に(何も付けていない)iPad Proを入れた状態なのですが、薄い。このレザースリーブが届くまで、他社製のケースを付けて使っていたのですが、ケースを取り外したこともあるのかもしれませんが、「あれ、こんなにiPadって薄かったかな・・」という新鮮な驚きがありました。この「薄さ」は勿論iPadだけではなく、このレザースリーブ自体にも感じられます。iPad Pro自体の薄さをレザースリーブをつけた状態でも感じられるくらいすっきり作られています。
また革自体、今までのスペシャルエディションと同じオリジナルレザーを使っているものの、
過去モデルと同じオリジナルレザーを使用していますが、仕上げ部分において、テカリを入れずにややマットな仕様に変更しました。これによりエイジングを一層楽しめるようになりました。
というように、多少印象が変わります。ただ、私の中では薄さも相まって非常に柔らかく優しい表情を持った製品だな、と感じました。
iPad Proの良さを損なわないフィット感と手触りの良さが魅力。
私が今使っているiPhone 6s用のレザースリーブは、純正レザーカバーをつけた状態でも入れることが出来るルーズフィットタイプのもの。そのため、収まりは良いものの、iPhoneが一回り大きく厚くなってしまった印象があります。
レザースリーブを使うと、小さいスマートフォンになればなるほど周囲の余裕が出てしまうため、全体として大きさが目立つようになります。
その点ある程度の大きさのあるタブレットやラップトップPCになると、本体自体がそもそも大きいので、レザースリーブで多少大きくなってもあまり気づかない、ということもあると思います。
とはいえ、きちんとジャストサイズで使い勝手も考えて作られていなければ、たとえタブレットやラップトップPCであろうが無駄に重く、無駄に大きく、厚くなるだけの使えないモノになってしまいます。その点、国立商店製のレザースリーブは「専用」で作られていて、かつ今までApple製品用に関しては毎回作り続けていることもあって、無駄がありません。
iPad Proを裸のまま使った時に気づく薄さや手への収まりの良さを損なわない、程よいフィット感を持っていると思います。
もちろん革製品。持ち主の使い方によって多少伸びたり形を変え馴染みが出てくることでの包容力もあります。
上記画像は国立商店の製品ページから使わせて頂きましたが、Smart Cover等を装着したままでも収納は可能な余裕は充分にあります。それがレザースリーブの良さでもあるかな、と思います。
最も手に触れる機会の多い道具だからこそ、カバーやスリーブにも意識を向けて欲しい。
黒のスリーブは13インチMacBook Air専用のモノですが、サイズがほぼ同じだったのでありがたいことに今HP Chromebook 13 G1でしっかりフィットしています。大変気に入っていますが、欲を言えばこちらもスペシャルエディションがあれば良かったのですが。既にMacBook Air用のレザースリーブ自体が販売が終わってしまったので、今後も出ることはないと思うと少々残念です。
レザースリーブは頻繁に手に取ることの多いモノには若干オススメしづらい製品です。iPhoneなどスマートフォンにも悪くはないのですが、私の中では一日の中での取り出す頻度を考えると、iPadやラップトップPCにこそ合ってきます。勿論人によってはタブレット端末を一日の中で頻繁に使う方も多いでしょう。若干厚みや重さもありますので、よほど気に入らないとその内使うのが億劫になってしまう可能性もあります。
けれど、そうした利便性だけを考えて敬遠してしまうのはとても勿体無いな、と思います。デジタルガジェット好きですと半年や一年で買い換える消耗品(私はこの表現が好きではないのですが)に専用の1万円近くもするレザースリーブを買うなんて無駄だ、と思われる方も多いでしょう。実際ネットで眺めていても、カバーには数千円でも高いと感じる方が多いな、と感じます。
私は自分が最も手に触れる機会の多い道具だからこそ、本当は大切にして欲しい、と思います。それは傷一つ入れない、というような表面的なことではなく、愛用品だからこそ粗末に扱ってほしくないのです。
勿論レザースリーブだけが唯一の正解ではありませんが、こうした革製品を通して、単なる消耗品という認識が少しでも薄れてくれるといいな、と思っています。