これから書くことが、全ての外反母趾に悩む人にとって解決になるわけではありません。ただ、本当に苦しんでいる、それくらい悪化させてしまっている人は、既に専門医にかかって適切な診断と治療を受けているはずなので、ここでは除きます。
それよりも自分で勝手に外反母趾だと判断しちゃってる人。自分の勝手な思い込みで何とかしようとしてる人。なかでも外反母趾と幅広を一緒くたに考えて靴選んでいる人に、少しでも役に立てば幸いです。
2014年10月8日 10:00 追記
「甲高幅広」「外反母趾」関連のアクセスが非常に増えてきています。大変ありがたいことで、少しでも甲高幅広の誤解が減ってくれれば嬉しいのですが、公開から半年が経ち、改めて読み直してみると無駄に長い。
またその後も幾つかこうした話は書いていまして、そろそろ一旦まとめたほうが良いのでは無いか、と思いましたので、半年後のまとめを作ってみました。
今までに書いてきたもののリンクもまとめながら、特に先入観や誤解の多い「甲高幅広」と「外反母趾」を中心に、靴と足の関係について書いています。
覚えておくと得をする、お店で喜ばれる靴の見方、履き方にもちょっと触れますので、いつも以上に長くなりますがお時間のある方は合わせてお読み下さい。
甲高幅広と外反母趾に見る、日本人とつま先の関係。
外反母趾。どこの部分が何故痛いか正確に分かりますか?
外反母趾の人が痛い場所。そんなの、当たり前でしょ、と親指の付け根外側部分の、骨が出てしまった部分を思い浮かべた方。半分正解です。
では、何故痛いんですか?
これを聞くと、皆さん、なんでそんなバカみたいな質問をするんだろう、と怪訝な顔をされます。
骨の出た部分が硬い革靴に当たるから痛い。そもそも狭い、小さい靴を履いたから、この部分が当たって、出てきちゃったんでしょ?
こう思われている方がとても多いんです。
痛いのは、出てしまった部分より先の、指の部分が内側に圧迫されて、付け根に負担がかかってしまうから。
勿論まったく無いわけではなく、靴擦れだったり、実際にその部分に屈曲部分の皺が食い込んで痛い場合もあります。
でもそうではない人の方が多いです。
指先が窮屈で、先が詰まった靴を履くと、指が内側に圧迫されます。歩くと更に重心がかかるので、指は内側に、内側に、押されていきます。
そんな状態で何日も履き続けたらどうなるか。
骨が変形していきます。
当然付け根の部分は負担が大きいので外側に飛び出してくる。痛くなる。
そもそも外反母趾って漢字を見てみても。
この四文字のどこにも付け根が云々なんて出てきませんよね?母趾が外反、外側に反ってしまう、ということ。注目しているのは、指の向きが変わってしまうことなんです。
これを治す、となると、当然専門的な医師の診断や治療が必要になってきます。放っておいて良くなるものでもない。けれど、幾ら治ったとしても、上で書いたような認識がズレていると、同じことを繰り返してしまいます。
まして、そこまで酷くなくて、なんとなく外反母趾で痛いから、痛くない靴を選ぼう、と自己判断で済ませてしまう人は、益々悪化させてしまうかもしれません。
付け根部分が当たるから、もっとサイズを大きく、もっと幅広を、が悪化の元凶。
私、外反母趾だから、幅広の靴じゃなきゃダメなの。
もっとぶかぶかの靴じゃないと、痛くって。
こういう方がとても多いです。
勿論100%間違いな訳ではないのですが、頑なにそう思っていふ人ほど、これが、悪影響になっていることがあります。他のサイズを試さないから。とにかく靴の中で付け根が触れただけで、これは当たるから痛い、小さいに違いない、ってなっちゃうから。
靴は元々、指先が余裕があり、指先がリラックスして履けるように作られている。
よほどの奇抜なファッション靴でもない限り、靴は踵の位置で足を合わせた時に、指先に余裕が出来るように作られています。よく、先が極端に尖った靴を見て、あんな狭い靴、入らない、っていう方がいますが、バブルの頃や、その前の時代、また纏足の頃でもない限り、そもそもあの先端部分に指を入れることを前提に作っていません。あれは、靴に足の入らない捨て寸があるから出来る、デザインのマジックです。
結構多いのが、スニーカーなどの履き方をどこかで誤解して覚えている、靴を履いたら足を奥まで入れて、かかと部分に指が入れば大丈夫、というもの。これもサイズを間違えさせる大きな誤解(間違っているのではなく、意味を勘違いしている)になっています。
また、スリッパや下駄を履く時の癖が残っているのか、靴はつま先で履く、合わせる、と思ってしまうのもあるかもしれません。
じゃあ、どうしたら良いんだろう?私なりの提案。
勿論試し履きの際に靴を緩めた状態で足を奥まで突っ込んでみて、痛かったり、違和感のある場所がない、というのは大切なことです。それは靴自体が相性が良い可能性が高いということなので。
ただ、サイズになると別です。無闇に大きくせず、履いて歩いてみて、足が靴の前のほうに突っ込まないか、無意識に指先に力が入ってしまって緊張してしまっていないか、などを意識してみて下さい。
長さが足りているのなら、なるべくサイズの小さいほうを選択肢に入れてみて欲しい。いま、なんとなく部分部分で張った感じがする部分は、馴染んで足の形になってくれるのが革靴の良さです。
ただ、それだときつくて痛いのであればサイズを上げてみる。でもその分、前は抑えが弱くなってしまうので、歩いて踵が浮かないか確認。もし浮くようなら、前滑りしている可能性もあるので、前だけ滑り止めか半敷を入れることも考える。
指先が窮屈だと思う人、幅広だと思う人ほど、まずは踵の浮きに注意してみて。
別に踵が絶対に浮いてはいけない、というわけではないのですが、街を歩く若い素敵な女性の足元をふと見ると、かなり多くの人が踵がブカブかでスリッパを履いているような歩き方で歩いています。勿体無いです。そして、そんな方が徐々に外反母趾になっていくのを思うと、切なくなります。
勿論ここで書いたことが全て正しい、とは言いません。ただ、それくらい、誤解や勘違いも、含めてサイズ合わせが難しいのが靴であり、一日履き続ける以上、身体への影響も大きいのが靴です。
信頼できる靴屋さんを見つけて欲しい。とともに、それだけ大切な自分の足と靴のことを、今までよりほんの少しで良いから、意識してあげて欲しいな、と思います。