靴磨き、と聞いてまず必要なものは何が思い浮かびますか?靴屋にいた頃、最も売れたのは、クリーナーだった気がします。そんな靴磨きの不思議について。
普段お手入れをほとんどしない方の場合。
普段お手入れをほとんどしない方が、お手入れグッズ一式を買おうと思うきっかけは何でしょう?
靴が汚れてきたから、です。
汚れてきた、汚くなってきたので、そろそろ靴墨でも塗ろうと思って、と言って買いにくる。
一般の人にとって、靴は汚れて初めてお手入れをする物のようです。
手が汚れたら、まず何をしますか?
手、洗いませんか?水で。それが手っ取り早い。
クリーナーで汚れを落とす、と考えている人は、手が汚れるたびに毎回アルコール消毒液だけで手を拭いているのと同じだと思います。
対策としては、人間の手を考えてみて下さい。おしぼりでも充分だと思いませんか?どちらのほうが肌に優しいでしょうか。
固く絞った濡れた布かタオルで汚れを拭いてあげるだけで充分です。
既に肌、カサカサに乾燥しきっていますから。
乾燥してひび割れた肌にアルコール消毒液使ったら…あとはお分かりですね。
いつも靴墨塗ってるよ、な方の場合。
とにかく靴墨とクリーナーが売れます。この人にとっては、クリーナーは靴墨を落とす目的がメインです。クリームではなくて、墨の感覚ですから、塗っては落とし、の繰り返しです。
でも、まだクリーナー使っている人はマシなほうです。中には一切落とさず塗り重ねていってカチカチに固まっちゃって削り落とすしか出来なくなってしまっている、悲惨な靴もありますから。
[0365-201411] 靴墨には何故クリーナーが必要なのか。お手入れについて改めて考える。
靴墨止めればいいんです。
お手入れは靴墨で色付けて塗るという認識を変えれば万事解決です。靴墨止めればいいんですね。
こういう方は、大抵お手入れ自体面倒なので、リキッドタイプの靴墨使ってます。それ、やめましょう。
恐らくクリームだと手も汚れるし、ブラシだなんだと面倒くさそうだから、先にスポンジ付いたリキッドタイプのものをササッと塗れば簡単だと思っているんでしょうが、結局クリーナー使ってるんですから、却って面倒になってます。
脱ぎ履きが面倒だから、とブカブカのサイズの靴を紐も緩めずにスリッパ履きして、結局のちのち足だけでなく腰や他の部分まで痛めちゃう人と同じです。
塗らなきゃいいんです。その方がマシ。なので、面倒なら、クリームすら使うのやめて、ブラシだけにすれば解決です。
[0446-201412] クリスマス直前。贈るならシューケアセットではなく、上等なブラシ一本渡して、ブラシかけとけ、で充分です。
革靴を何か難しいものだと考えていませんか?
革、というだけで水が大敵だと思っている方が多いのですが、それが却って水に弱くさせてるんです。
決して水が駄目な訳じゃないんですけどね。
革を何か特別で面倒で難しい物だと思ってしまうから、お手入れも複雑に考えちゃうんですが、自分の手と同じです。皮と革の違い、鞣しているかいないかの違いです。
過度に警戒するから、墨厚塗り、クリーナー多様、スプレーかけ過ぎで、早く駄目にしちゃう。ブラシとカラ拭きだけしとけば充分です。それすら、ほとんどの人がしていませんから。