このブログでは靴のお手入れの大切さについて何度も書いてきています。基本的にはクリーム、靴墨、不要派です。けれど、毎日のブラッシングと乾拭きは必須。
https://office-kabu.jp/shoes/caring-for-your-shoes/post-2769
そんな私が最初に何を買うべきかと訊かれたら。
クリームでも、布でもポリッシュ用のグローブでも何でもなく、このタピールのシュムッツブラシを挙げると思います。
靴底用のブラシです。靴底の泥や汚れを落とせるように、タワシのようにかなりしっかりした、ちょうど掌に収まるくらいの小さなブラシ。
お手入れをしない一番の理由は。
面倒、やり方が分からない、人それぞれですが、私、一番の理由は「靴って汚いもの」「外で履くもの」だからだと思います。
靴って、家の中に持ち込むものじゃないんです。日本では。あくまで外のもの。けれど、お手入れは基本的に家の中でするものです。
家に着くと靴を脱ぐ私たち日本人にとっては、靴のような外のものはあまり中に持ち込みたくないんです。あくまで外履き。
だから、基本無頓着だし、家に持ち込まないから汚れも気にならない。これ、家の中でも履くとなったら、全く変わると思います。
修理で靴を預かると、得体の知れないものを踏んだ靴にたくさん出会います。つい数分前に踏んだと思しきものから、これ、いつからこの靴底にへばり付いているんだ、と思うほど形を変えてしまっているものまで、もう、色とりどり。
だから、家に着くとそのまま脱ぎっぱなし、放置状態で、靴の存在なんて忘れます。身近な存在ではないんですね。
お手入れの第一歩は、靴を身近なものにすること。
靴と私たちの距離を縮めてくれる、もっとも簡単な道具。それが、シュムッツブラシなんです。これを玄関先に置いておく。
靴を脱いだら、その時に他に何もしなくて良いので、とりあえず靴底だけブラシで払ってあげる。最初は恐らくいろんなもの踏んでると思います。
これが、生理的に靴を遠ざける大きな原因だと思うんです。靴って汚いもの、という一番の理由は、気持ち悪いものを踏んでる可能性が高いから。
でも良く考えてください。気持ち悪いもの踏んだままの靴を、よく家の中に持ち込めますね。玄関先の下駄箱、どんどん変なものが付着しますよ。
靴底に意識を向けた途端、急に靴との距離が近くなる。
靴底に意識が向くようになると、その内変なものを踏む頻度が急激に減ってきます。何故か。
自分の足元に意識が行くようになるからです。
足元に意識が行くようになると、どうなるか。そんな足元を、自分自身を一日中支え続けている、靴と足に意識が向くようになります。
すると、途端に靴もあまり汚れなくなります。理由は色々。
足元に意識がいくようになるので、あまりぶつけたり汚さなくなる。
靴のことを意識するようになるので、ちょっとした汚れにも気がつくようになる。
靴底への苦手意識が無くなると、靴が美しくなる。
毎日家に帰ると靴底をブラシで軽く払うようになる。
そうなると、靴ってそれ程汚れなくなります。
汚れなくなると、このブログで何度も書いてきた、帰宅後のブラシと乾拭きが苦じゃなくなります。
私、靴のお手入れって、道具じゃなくて、気持ちだと思うのです。
極端な話、道具なんて無くても良い。
大切なのは、今まで意識にも上らなかった物体を人生の中で意識してあげられるようになること。
目の前の自分の世界の中に入れてあげられるようになること。
認識してあげる、ということですね。
靴が認識されるようになると、それに繋がって色々なものが見えてくるようになります。
その第一歩がシュムッツブラシです。
追記:2017年1月6日 15:00更新
当ブログでは靴底用のブラシとして長らく「シュムッツブラシ」をお薦めしてきているのですが、最近になって品薄になってきたのか、ネットで探しても見つからなくなってきてしまいました。
個人的に非常に気に入っている商品でもあるため惜しいのですが、今後の在庫状況も分かりませんので、代用となりそうなブラシを挙げておきたいと思います。
定番コロニルの製品でもありますので、継続して販売し続けてくれることと思います。出来ればタピールもシュムッツブラシを今後も継続して販売し続けて欲しいな、と願っています。
追記:2017年2月18日 21:00更新
当ブログをお読み頂いている方から「シュムッツブラシが復活してますよ」と教えて頂きました。一時的に品切れが続いていただけだったようですね。良かったです。教えて下さり、本当にありがとうございます。
これからも長く継続して出し続けて欲しい商品です。