昨年夏にスタンディングデスクを提供頂き、レビューしたLoctek FLEXISPOT。
スタンディングデスクはその後も大変重宝していまして、長時間作業の際にはコンスタントに立ち机にしたり下げて通常の机として使ったりしながら愛用しています。スタンディングデスクのメリットは色々ありますが、一番のメリットは簡単な操作で座位、立位を切り替えられることです。
どんなに優秀で快適な椅子でも長時間同じ姿勢でいれば身体が固まってきます。血流も悪くなりますし、腰や背中なども固まっていくことで、重心の負荷を支えきれなくなってきます。そうしてコリが出てきます。そうした意味では立ちっぱなしでの作業も必ずしも良いとは言えず、結局同じ姿勢で長時間というのは身体には良くないんですね(とはいえ、人は同じ姿勢で立ち続けていることは座り続ける以上に難しいこと、また、まだ座っているよりも立っているほうが負担は少ないことから影響の違いはあります)。
その点、気軽に切り替えられることは、自分でアラームを設定しつつ都度切り替えることで長時間の作業を防ぐことが出来るのは大きいです。その内電動式のスタンディングデスクも試してみたいところです。
さて、実は前述のスタンディングデスクのレビュー後に実はもう2製品を提供頂いていたのですが、レビューをするのが遅くなってしまいました。理由(言い訳)としては、突出した特長があるわけではなく、非常に文章にしにくかったこと。またこの種の製品はある程度時間を経ないと良さが分からないのではないか、と思っている内に時間が経ってしまったことがあります。
ということで今回はその内の1つ、低反発のクッション(座布団)についてレビューさせて頂きます。
FLEXISPOT クッション 低反発座布団 骨盤サポート 健康クッション 姿勢ケア 姿勢矯正
メーカーの製品ページはこちら。Amazonでも販売していて200円OFFクーポンを適用させることで同じ価格になります。
2千円以下、これだけ眺めると巷で良く見かける姿勢矯正用のクッション(座布団)と特に違いはなさそうです。正直な所、私自身他のクッション類を色々試した訳ではないので他の製品に関しては全く分かりません。もしかしたら全く変わらないかもしれませんし、違うのかもしれません。ただ、今回のこのFLEXISPOTのクッションに関してはかれこれ4ヶ月近く毎日愛用しているので、その評価は出来ると思っています。個人的な印象としてはタイトルの通り。
坐骨を立たせて座る方には非常に重宝する座布団。でも枕としても良好です。
といったところ。枕としての使用感はとりあえず置いておいて、この前半部分(坐骨を立たせて座る)に焦点を当てて少し使い勝手について書いてみたいと思います。尚、予めお断りしておくと、私は医療従事者でも研究者でもありません。あくまで自分の中で経験と色々な腰痛や姿勢関連の本を読んで試してきた中での感想になりますので、ご了承下さい。
「坐骨を立たせて座る」のが意外と難しいのが床に座るとき。
坐骨を立たせて座ることに関しては、このブログでは度々触れてきましたので、ここでは詳しくは書きません。
私は数年前からアーユルチェアーという椅子を使ってきました。
「座ると楽」な椅子ではなく「座り方を見直す」ことで、どんな椅子でも正しい座り方が出来るようにする椅子です。
とはいえ、姿勢の矯正というのはなかなか手強いもので、習慣になってからも気を抜くと腰に負担をかけていることもしばしば。ただ、座り方のコツをある程度体感で身につけられたのは今もとても役立っています。
ということで、椅子に座る際にはこの椅子に座る際には比較的座り方に悩むことはないのですが、悩ましいのが床に直接座る場合です。
最も楽に坐骨を立たせやすい座り方は「正座」。でも正座は膝への負担が大きいのが悩みです。では胡座はどうか。
坐骨を立たせて座る座り方をするのに最適なのはお馴染み「正座」です。お尻の角度を修正しやすく、自然にお尻が立つ(坐骨が立つ)姿勢になりやすいのですが、正座が苦手が方も多いように、この座り方の悩みは膝への負担が大きい、ということです。ご年配の方で姿勢が大変良い方がいらっしゃいます。若い頃から正座をされてきたことで歳を重ねてからも背筋がスッと伸びた美しい姿勢をされている方もいらっしゃいますが、年とともに膝の痛みに悩まされることも多いようです。膝の痛みには勿論様々な原因がありますが、その一つが正座を続けてきたことによる膝の負担の蓄積というのもあるそうです。
では胡座はどうでしょうか。
胡座は膝への負担は比較的少ないのですが、どうしても背中が曲がりやすく、また座った時に坐骨が斜めになりやすいのが欠点です。胡座って背中や腰への負担が結構大きいんですね。
ちょっと分かりづらくて申し訳ないのですが、赤線が床、赤線と垂直に伸びている青線が重心(負荷のかかり方)です。オレンジが実際の身体(背骨からお尻にかけて)のラインになります(実際は背骨はS字型に湾曲して衝撃を吸収していますが、ここでは省きます)。
オレンジの丸が坐骨部分。床と斜めに接していることで頭から下りてくる上半身の重さ(重心)を斜めで受け止める形になります。結果としてその差(青線とオレンジの角度の差)の部分、ちょうど青の三角形の辺りに大きな負荷がかかります。この状態で長時間座るために、腰はその重さに耐えるために背中から腰、更にお尻にかけて全体で重さを支えようとして、結果として固まっていきます。
では、少し頑張って胡座で坐骨を立たせてみましょう。
ちょっと分かりづらいですが、同じく線を加えてみます。
実際にはこれ、右手でスマホで撮りながら座っているので、完全に立たせて座れているわけではないのですが、この線ほど完璧ではないものの、ある程度この青線とオレンジの線の角度を縮めることは可能です。実際オレンジと赤の線の角度も90度に近くなります。こうなると、背骨から腰にかけての湾曲のクッションも働きやすく、また重心も坐骨まで垂直に下りてくるので(斜めから下りてこないので)正しい負荷がかかり、実際に負担も少なく、また座りやすくなります。
ただ、この姿勢、結構無理がありまして、腹筋を結構使うのと、身体が固いと足に結構力と負荷がかかるのです。
胡座の状態での前からの写真ですが、お尻を若干後ろに引いて坐骨の角度を変える(立たせる)ことで、自然に足(膝)が下に落ちてきます。結構足に重心がかかりやすくなるので、
胡座をかいた際のオレンジの丸の部分、ちょうど左右の足が重なる部分(ちょうど踝の辺りですね)に重さと力がかかって、その内に痛くなってきます。また、床の種類によっては(写真はフローリング)少しずつお尻が滑ってズレてくるので、いつの間にか(座り方が)楽な姿勢、つまり先ほどの負荷のかかりやすいダラッとした姿勢に戻りやすいのです。足の圧迫感、痛みを妥協しても坐骨を立たせて姿勢正しく座るのか、それとも腰への負担を諦めるのか、結構悩ましいところでした。
アーユルメディカルシートを座椅子として使った場合の悩み。
この悩みは前述のアーユルチェアー購入後から抱えていて、そのために同社のアーユルメディカルシートを購入していました。
こちらも床で胡座で座る際には坐骨を立たせやすくなります。実際に今回のレビューのFLEXISPOTのクッションも考え方としては同じです。クッションに起伏を付けることで座る際の角度の調整を助けてくれます。
上がアーユルメディカルシート、下がFLEXISPOTのクッションです。どちらも座面に起伏があるのがおわかり頂けるかと思います。
ただ、このアーユルメディカルシート、使っていて悩ましい点がありました。確かに坐骨を立たせて座りやすいのですが、相変わらず、やはり足、特に踝周りへの負担があるのです。また、背もたれと若干滑りやすい座面のため、どうしても姿勢が崩れやすくなります。
身体が硬いとどうしても坐骨を立たせたときに座面が小さいので、足が床に落ちてきます。結果、やはり踝に力が落ちてくるので、座っていると痛くなってくる。それを逸らそうとしたり、ある程度座っていると坐骨の位置が少しずつ前にズレてきます。
上の写真は少し前にズレてきてしまったところです。踝が痛いのと身体が硬いのもあって、お尻を腰当てに付けるのが正しい座り方ではあるのですが(下記写真はアーユルチェアーの製品ページからお借りしました)、
踝や足の痛みから逃げようとして前述の写真のように前にズレてしまうため、
やはり角度が斜めになりがちです。座っている内に足を庇ってしまうんですね。
このため、最近ではアーユルチェアーでは
床から適度な高さを出すことで胡座の姿勢を楽にする「あぐらイス」という新製品を発売しました。
個人的には「まさにコレだ!」という足の痛みと身体の硬さという悩みを解消してくれる製品だと思ったのですが、未だ手を出せずにいます。購入前に今回のFLEXISPOTのクッションに出会い、「あ、これで案外充分かも」と感じてしまったからです。
ある程度の低反発のクッション性と座面の大きさで、前滑りだけでなく足の負担を小さくしてくれる。
さて、ここまできてようやく今回の製品に入ります。でもここまでの前置き(前提)がないと、何故今回の製品が気に入ったのか、が分かりにくいと思ったからです。長くてごめんなさい。
Amazonの製品ページでは二股に分かれた側が前になっていますが、正確には二股側が後ろ(お尻側)になります。
中央の盛り上がっている部分が前になります。で、写真の通り、元々椅子として座るために座面を小さくしたアーユルチェアーから派生した製品であるアーユルメディカルシートと違って、クッション、座布団として元々作られているため、それなりに面積もあります。で、座ってみると、
実際にはアーユルメディカルシートのようにある程度姿勢を矯正してくれる硬さがないため、自分である程度は意識して坐骨を立たせて座る必要があります。ただ、床にそのまま座るよりもはクッションの柔らかさ(低反発ながら)と起伏があるため立たせて座りやすくはなっています。
背もたれを意識しなくても良い分、むしろ個人的には座りやすいです。背もたれあると、背もたれを妙に意識してしまって角度がズレやすくなるんですね。その点では単なる座布団的なこちらのほうが個人的には楽。完全に垂直にはなりませんが、それでも見直してみるとそれなりにしっかり立てられているのが分かります。
そして、個人的に気に入ったのが、この時の足の高さです。
ちょっと姿勢悪いような感じに見えるかもしれません。足の裏見えてるし。思いっきり部屋着だし。ただ、身体が硬い私にとっては、座面が広く、前面中央が盛り上がっている分、足が自然に少し上がり気味になります。
両足が上から押さえつけられることがあまりないので、先ほどまで挙げてきた踝同士が重なって力がかかっていたい、足が辛い、といったことがありません。また、普通ここまで足が上がるとバランスの関係で身体が後方に倒れ気味になったり、それを踏ん張ろうとして腰や背中に無理な力が入ってしまうのですが、元々坐骨自体が立っているので重心が安定しているんですね。重心としてはこれでも若干前倒しのような状態になっているので、比較的楽です。
ただ、個人的には先ほどから何度も触れているようなアーユルメディカルシートのような硬さと背もたれでガッツリ立たせて座るタイプとは若干違って、姿勢の強制力(矯正力)は若干弱いので、自分で坐骨をある程度意識する必要があります。
それが前半で「タイトルの通り。」と書いた、
坐骨を立たせて座る方には非常に重宝する座布団。
という評価になります。坐骨を立たせて座ろうと思わなければ、このクッション、「単なる座布団」です。
ある程度「坐骨を立たせて座る」感覚に慣れている方にとって、それを補助してくれるクッションです。
先ほどから「坐骨を立たせる」を連呼していますが、何も特別な座り方でもないんですね。床に座ることを考えるなら、姿勢を正して正座で座った時のお尻の角度を思い浮かべてもらえると分かりやすいと思います。あの角度で(ただし背骨を反らしすぎないこと)膝に負担をかけず、足も痛くならずにある程度の時間座りやすくするための「補助」となってくれるクッション。
それがこの製品の特長かな、と思っています。
特に意識しなければ、座面に若干起伏のある普通のクッション、座布団です。
もう少しガッチリとした「しっかり身体に覚えさせる」「馴染ませる」形を求めるのであれば、前述の「アーユルチェア」や「あぐらイス」をオススメします。あちらの方が価格もそれなりにするだけあって、その辺りシッカリできています。
ただ、今回のこの製品、私にとっては掘り出し物に近い「試して良かった」製品です。だって、2千円切って、踝痛くならずにあぐらで坐骨を立たせて座ることが出来るんですから。矯正力は弱いですが、座りやすさを助けてくれる、という点ではこれだけでも充分です。普通のクッションよりも足に負担がない分、また座面が安定している分、座りやすいです。
ということでこの4ヶ月近く、ほぼ毎日使っていて気に入っているのですが、ここで最後に先ほどのタイトルの後半部分。
でも枕としても良好です。
夜、妻が帰ってくると、同じくアーユルチェアを愛用している妻にこのクッションを使ってもらっているのですが(この価格ならもう一つさっさと買ってしまえば良いのですが、今この文章書くまで恥ずかしながら思いつきませんでした)、食後、妻は気がつくと
このクッション枕にしてそのまま寝ちゃうことが多い
んです。どうも程良い硬さと高さが昼寝用の枕として最適なようでして。もしかしたら妻にとってはこのクッション、枕として使ってる時間の方が長いかもしれません。で、実際私自身もたまに枕にして昼寝してしまうことがあるのですが、案外悪くありません。
ただ、流石にちゃんとした枕ではありませんので、首や肩への負担を考えたら、枕としてこの製品を求めるのはオススメは出来ません。ただ、意外と良いよ、ということで。
ということで、2000円弱のAmazonで類似品も多々ありそうなクッションではありますが、個人的には結構気に入っているのでしっかりレビューさせて頂きました。ただ、姿勢や途中の腰の写真の線などに関しては、冒頭でも触れましたが、私は医療従事者でも研究者でもありませんので、あくまで自分の中で経験と色々な腰痛や姿勢関連の本を読んで試してきた中での感想になります。ご了承下さい。
メーカーの製品ページはこちら。
https://www.fleximounts.jp/shop/accessories/sc1/
Amazonでも販売していて200円OFFクーポンを適用させることで同じ価格になります。