20代の頃から長財布を使ってきました。金持ちは長財布が云々、といった理由ではなく、単にお札を折りたくなかった(仕事柄新札をお客さんに渡す機会も多かったので)こと、またジャケットの内ポケットが定位置だった、ということがあります。この長財布についてはこのブログでも以前に何度か取り上げています。
ただ、流石に10年以上使ってきますと丁寧に扱っているつもりでもそれなりに疲労感が出てきます。見た目がボロボロな訳ではないのですが、少し休ませてあげたい(風水的には財布は定期的に交換して休ませてあげたほうが良いそうですね)と思い、代わりの財布を探していました。
仕事も変わり最近はジャケットを着る機会も減りましたので、二つ折り財布でも良いかな、と思っていたのですが、いざ探してみるとしっくりくるモノがない。素材(革)やその他諸々漠然としたイメージはあっても、具体的ではないので、何となく様々な財布を取っかえ引っかえ使っていました。それがここ数年の話です。ところが、この一年、それがようやく落ち着きました。
bellroy(ベルロイ)自体は愛用されている方もいらっしゃるでしょうし、今更取り上げるまでもない定番になってきているかもしれません。ただ、私は今まで何となく革の質感が気になってしまい(薄さを重視することもあってか、イマイチ手触りが満足出来なかった)使ってきませんでした。
ところが、昨年Bellroy Pixelbook Pen Clipを購入してから
何となく気分的に身の回りのものをbellroyでまとめたくなったという理由から、名刺入れ、キーケース、カードケース、バッグなどをbellroyにしました。
これらも改めてご紹介したいと思っているのですが、今回は財布です。
bellroy Travel Wallet
正直なところ、至って普通の財布です。財布を探している方に敢えてこれを薦めるか、と言われたら、別に薦めません。ただ、身の回りのモノ、というのは人に薦められるか否か、機能性、質感が云々といった理由とはまったく関係なく、意外な理由で日々愛用するモノになってしまうことがあります。使っている内に気がつけば愛用品になっていた。そんな時には細かい使い勝手や前述の条件なんてどうでも良くなってしまう。今回のTravel Walletはそんな例です。
何がそこまで私を惹きつけたか、というと、ただ一点なんです。それがパスポートが入ること。
私は常に海外を飛び回っている訳ではないのですが、何故か常にパスポートは持っておきたいのです。
単純に私自身が運転免許証を持っていないこともあって、写真付きの身分証明書になるものが他にマイナンバーカードくらいしかない、という単純な理由もあります。マイナンバーカード、場所によって断られるので、そんな時にパスポート、というのも確かにあります。マイナンバーカードの前は住基ネットカード、その前まではパスポートが完全に私の身分証明書でしたから。
ただ、だからといって常に身分証明書が必要な訳でもないですし、前述のマイナンバーカードでほぼ用足ります。それでも私の中でそんなことは滅多にないのだけれど、そうしておきたい気持ちの上での備え、準備みたいなものがあります。馬鹿らしいのですが、
いつでも出先で旅に出たくなったら、その場でチケットさえ取れば海外に行くことが出来る
ということです。常にパスポートを携帯しておけば(細かい点でビザだなんだ、といった諸々はあるにしても)世界中に出られます。
といっても、実際この一年間、そんな機会も、そんなことを考えたことも一度もなかったのですが、私にとってはどういうわけか、この常にパスポートが手元にある、というのが心の安定剤のような役割を果たしていることに気付いたのです。
普段使いでも使いにくさはなく、また海外に行くときも財布を変えずにこのまま出ています。
ここでは細かい仕様的なものは触れません。ただ、私はこれを旅財布として使っている訳ではなく、この一年普段使いしています。そして、特に不便を感じていません。
小銭に関しては別途小銭入れ等が必要なのですが、元々長財布に慣れている私にはむしろ財布が膨らまないですし、従来のままなので違和感がありません。
ジャケットの内ポケットにもすんなり入って、厚みもそれ程ないので嵩張ることはありませんし、長財布よりも幅が短いので何となくジャケットの形が崩れたり突っ張ったりするようなことも和らぎました(長財布をジャケットの内ポケットに入れると、縦の長さの関係で少し胸回りのフォルムが崩れるんです)。
元々滅多に「財布を尻ポケット」をすることはないのですが、妻を駅まで迎えに行ったり、と他に何も荷物を持たないときには薄いですし突っ張る感じも少なく、使い勝手も悪くありません。
ただ、やはり私にとっては、なかなか人にはうまく説明出来ないのですが(そして読まれているあなたもよく分からないと思うのですが)、パスポートが入れられるということが一番の理由なんですね。
昨年5月末のCOMPUTEX TAIPEI 2018で台湾に行ったときにもこの財布を使いました。中にチケット等も勿論入れられます。
何か一点、刺さる部分があれば、細かい部分は気にならなくなるものなのかもしれません。
振り返ってみると、私の中では何か一点突き刺さる部分があれば、意外とそれ以外の細かい部分は大して気にならなくなっていることが多いな、と感じます。購入前に色々な条件を検討するのも確かに楽しいのですが、結局自分にとっての愛用品になるかどうかは、「(多少の不便があったとしても)結局気がつけば使用頻度が高くなってしまう」かどうか、が大きいな、と。
出来ないこと、不便なことを探すのは簡単です。そして、そうした欠点、弱点のなるべく少ないモノを選ぶ、というのも一つの選択しかもしれないのですが、むしろ私の中では何かコレ!と思える部分さえあれば、あとは気持ちで何とでもなることが多いのです。
そうした意味でも、私の中でのこのbellroyの財布は、パスポートが入るというただ一点だけで、この一年まったく変わらずメインであり続けている財布でもあります。
人に薦めるか、と言われれば、別に薦めたい訳でもないのですが、この感覚を共有したくなったので今回は文章にしてみました。