一日における座る時間が長くなってくると悩ましいのが「腰痛」です。その原因は様々ですし、対策も色々。そして世の中にこれほど多くの「腰痛対策」の書籍や情報が氾濫しているにも関わらず、未だに腰痛に悩む人が多い(減らない)のは、それだけ劇的に改善するような一つの最適な答があるわけではないことの証明でもあるのかもしれません。
私も20代から腰痛は悩みの一つでした。ただ、厳しくなってきたのは30代も半ばを過ぎた頃から。今までは立ち仕事がメインだったのが、ここ数年はデスクワークが主になってきたことがあると思います。最初20代前半で悩んでいた頃も大学生活前後でPCに向かうことが非常に多かったことが大きな原因です。
長時間同じ姿勢を続けることで固まってしまうことをなるべく防ぐために、なるべくPCに向かう時間を短くする、最低でも1時間に1度はストレッチをする、立ち上がる、などは常に気を付けようと思っています。ただ、そうした基本的なことも、実際にはつい忘れてしまうことが多いな、と思っています。
多くの方が同様の悩みを抱えていると思います。様々な対策があると思うのですが、その中で皆さん思いつくのが椅子を変えるということではないか、と思っています。
大きく分けて二つのアプローチの方法があると思っています。
この「椅子を変える」というアプローチには大きく分けて二つのアプローチの方法があると思っています。
- 腰への負担をなるべく減らす椅子を選ぶ。
- 座り方(姿勢)を矯正する。
多くの方がまず思い浮かべるのが前者、「腰への負担をなるべく減らす椅子を選ぶ。」ではないか、と思います。種類も多く、価格もピンキリですが、その中でも代表的なモノが「アーロンチェア」ではないかと思います。
私も欲しいな、と常々思っています。実際に購入を何度も検討しました。種類も豊富ですし、それなりの価格がしますので、実際に試してから決めたい、そもそも自分に合う椅子を見つけられるのか、など散々に悩みました。結局悩んで決めきれずに先延ばしにしている、とも言えます。
このタイプの椅子は非常に種類が豊富ですね。eスポーツとして日本でも少しずつ取り上げられるようになってきたゲームの世界では以前からゲーミングチェアが色々と出ています。ほぼ一日中椅子に座っているプロのゲーマーの皆さんにとっては座る、という環境に関しては非常にシビアに見られていると思っています。
そんな中で、私が数年前に選んだのは先ほどのアプローチの後者である、「座り方(姿勢)を矯正する。」でした。
座り方、姿勢が変わらなければ根本的な解決にはならないと思った。
私、常々このブログで「靴のお手入れ」の方法や「自分に合う靴の選び方」について発信してきました。その中で何度も書いてきたことが、
今までの人生の中で、特に意識することなく「出来て」しまっていること程、一度は意識して考えてみる必要があると思う。
ということです。小さい頃から習慣となっていて、特に普段意識しないけれど、生活において欠かせないこと。例えば「歯磨き」がそうですね。前述の「正しい靴の選び方」も同じです。「履き方」も軽視されがちですが、実はかなり大切です。そして今回のような「座り方」「姿勢」もここに入ります。
特に考えなくても出来てしまうことは、人は改めて見直そうとはしません。しなくても出来るからです。さらに言えば、多くの方にとってはこうしたことを見直すことは退屈で詰まらない作業だと思われるのではないでしょうか。けれど、こうしたことを一つ一つ見直していくことが本当は一番効果が高い。何故なら、人生はこうした日々の小さな積み重ねの上に成り立っているからです。
今の健康状態は、今までの生活習慣の結果です。その中でも「座り方」「歩き方」「姿勢」というのは意外と忘れられがちなのではないか、と思っています。
ということは、幾ら最新の人間工学に基づいた素晴らしい椅子が開発されたとしても、その椅子に座っている時以外の姿勢が悪ければ、根本的な解決にはならないと思うのです。確かに大半の時間はその椅子に座るかもしれません。けれど、例えば電車に乗った時、ミーティングルームやレンタルオフィス、カフェでの時間など、思いつくだけでも他にも座っている時間は意外と多いのです。
その時に適当に座っていたら、もしかしたらそちらのほうが腰や身体への負担は大きいかもしれません。
と考えると、勿論外的要因(椅子が悪い、机が悪い、長時間労働が悪い、など)も確かに大切ではあるのですが、それ以前にまずは自分の座り方を見直す必要があるのではないか(むしろそれが前提ではないか)と思ったのです。
「背筋を伸ばす」ではなく「坐骨を立たせる」という考え方。
座る時の姿勢を良くする、と考えた時、以前の私は「背筋を伸ばす」ことだと思っていました。でも実際にやってみると分かるのですが、背筋を伸ばそうと背中に意識を向けると、却って不自然な姿勢になってしまうんですね。ちょっと試してみて欲しいのですが、妙にお腹が突き出てしまったり(腰が極端に反ってしまったり)背筋に力が入りすぎてしまったり。これ、結構疲れるし長続きしません。そして、この時の背中や腰って無理に反らせているので、むしろ腰や背中に悪かったりします。
そしてそもそも腰に負担がかかりやすい(頭も含めた上半身のすべての重さが腰にきてしまう)座った時の背骨、腰骨の状態は何も改善されていないんです。というのは受け売りに過ぎないのですが、その中で知ったのが坐骨を立たせるという考え方。
左右のお尻にある尖った部分に均等に重心が乗るように、立たせて座る。それを意識するだけで、自然と背筋も伸びていることに気付きます。しかも無理している感がない。無理に反らせすぎていない。
その辺りの考え方が自分の中で腑に落ちたこともあって、実際に一週間お試し
(購入前に試してみたかったので)をした上で購入を決めたのが、トレインの出しているアーユル チェアーです。
3年前から既に20記事近く文章にしているのですが、2年半ぶりになるのは、普通の椅子として日常に溶け込んでしまっているので、改めて取り上げるような話題がなかったのも大きな理由です。改めて「レビュー!」みたいに書くような新鮮さがない、私(と妻)にとっては完全な日用品になってしまっているからなんですね。ちょっと今回、立ち机について書こうと思ったところ、「そういえば普段座っている椅子のこと最近書いてないな」と気付き、今回改めて文章にしています。
アーユルチェアーは「気を抜くと腰にもお尻にも辛い」椅子。
この椅子、座面と最低限の腰当てを除けば至って普通です。なので、3年も経って慣れてくるとつい気を抜いて適当に座った状態でPCに長時間向かってしまうんです。すると腰にきます。
つまり、座れば強制的に姿勢が矯正されるのではなく、常に座り方を意識させてくれる、また、意識して座った時には非常に腰もお尻も楽な椅子なのです。ちょっと分かりにくいけど。
そして、その座っている時の感覚を思い出しながら、出先の別の椅子などに座ると、非常に姿勢も綺麗で腰も辛くない。座り方を感覚で身につけさせてくれる椅子といっても良いかもしれません。
そういう意味では矛盾しているようですが全然楽じゃない。けれど思い出して欲しいのは、気の緩んだ楽な座り方って意外と楽じゃないんです。覚えありませんか?疲れた時って何となく椅子に身体をもたれかけてグダーっと座りたくなります。確かに座った直後は楽なんです。でもそのままの姿勢でずっと座っていると、途端に腰が落ち着かなくなる。辛くなる。
まぁ突き詰めて考えていくと、座っているという状態がそもそも身体にとっては良くはないとも言える訳で、長時間椅子に座っていること自体が問題ではあります。
アーユルチェアーにしたからといって、長時間のPC作業が楽になるわけではありません。ただ、坐骨を立たせて座った後は腰の負担がやはり違うな、と思っています。
あとは、外でもふと気がついた時に(座る)姿勢を変えることが出来るのは大きいですね。
この椅子でなくても良いと思う。でも「座り方」は一度振り返ってみることをオススメします。
今回の文章を読んでみて、すぐに「あ、坐骨を立たせるのね」と立たせられる方、その状態を自然に出来る方は、多分この椅子は要らないと思います。普段から比較的腰に負担の少ない座り方が出来ていると思うので。
ただ、私も先日不惑を迎えましたが、若い頃に比べて身体の回復力も落ちてきましたし、身体が固まりやすくなってきたな、と感じるようになりました。ただ、これって歳だから、で済ませがちなのですが、10代、20代、30代と特に姿勢も気にせず、身体のことも意識せずに生活してきたことの蓄積の結果なんですよね。そういう意味では、今腰が辛くない方も、一度は自分の「座り方」を振り返ってみる価値はあると思っています。
今の座り方でこの先10年、20年経ち、果たして自分の身体は耐えられるのか。
それには、何もこの椅子でなくても構わないし、自分に合う、単に楽なだけでなく、姿勢を見直せる方法があればそれが一番です。それが私にとってはたまたまこのアーユルチェアーだった、というだけです。
また、こうした健康に関することは、一度知ったからといってそれでおしまいではなく、常にアップデートが必要なんですよね。月日が経つにつれて、以前はそれが良いと言われていた理論が今では却って身体に良くない、ということもあると思いますので。その点は私もここ最近ちょっと忘れがちだったので、注意が必要かな、と思いました。
ということで、久しぶりに私の愛用する椅子について書いてみました。ここ最近待望の「あぐらイス」も出てくれたので、こちらの購入も結構本気で考えています。