前回の最後で「ガラス筐体のスマートフォンが間もなく一台手元に」と書きました。予想通りの方もいると思いますが、ASUSのZenFone 3の5.2インチモデルです。
現時点では日本国内での発売に関しては発表もされておりません。技適マークのついていない海外版のスマートフォンということで、これをここで取り上げることはなかなか難しい部分も含むと思うのですが、今回期待されているDSDS(デュアルSIM デュアルスタンバイ)など、これから国内での発表に向けて楽しみにされている方も多いと思いますので、少し触れてみたいと思います。
まずは避けて通れない「技適」の問題について。
冒頭で「技適マークがない」と書きましたので、この時点で「技適マークがないから犯罪」で既に嫌悪感を持たれている方はここから先は読まれないほうが良いかもしれません。
私も技適マークなんて不要、とか実際取り締まられていないからいいでしょ、とか思っている訳ではなく、法律は大切だと思っています。だから人に薦める気もありません。実際この辺り考えながら気にしながら使うのであれば、もう数ヶ月待てば日本でも恐らく発売される訳ですし、そちら買った方が遙かに良いです。
ただ、2016年5月21日から「電気通信事業法等の一部を改正する法律」が施行されたり、と技適を取り巻く状況も少しずつ変わってきています。「技適マーク無し即犯罪」と思っている方の中にはこのこと自体知らなかったり、興味がなく、どういう法律なのか分からずに「とにかく犯罪」でそれ以上考えない方もいるでしょう。
海外で買ったスマホはそのまま日本で使える? – 電気通信事業法などの一部改正 (1) 改正のポイント | マイナビニュース
技適が無い海外のスマホが日本でも使えるようになる-電気通信事業法が一部改正 ~ 物欲ガジェット.com
実際調べてもよく分からない上、人によって解釈が異なる部分(法律の範囲が曖昧な部分)もあり、「とりあえず法律違反だから犯罪」で終わらせたほうが楽なのかもしれません。「スマホのカメラのシャッター音がするのは法律で決まっているから」(実際にはそんな法律はない)だと思っている方が多いのと似ているかもしれません。技適関連は法律なので一緒には出来ませんが、「とにかく犯罪」で済ませてしまうのは楽、という点では似ていると思いますので。
法律を時代に即したものにするにも時間と手間と「有識者を集めて議論を重ねる必要」があります。国内にはスマホだ技適だ以外に、もの凄い数の他にやらなければならないことがあるわけですし人も限られています。暇じゃありません。それならグレーにしておいて「一応ダメだけれど、今のところ問題出てないでしょ」ということにしておくのが無難、というところがお役所としての、日本人としての見解なのかな、と思っています。国内だけの話であれば、私はそんな日本的曖昧な状態で後回しにする空気は嫌いじゃありません。(時としてイライラしますが)
現時点で海外で販売されているZenFone 3について。
2016年8月11日時点で私の手元にあるZenFone 3(ZE520KL)では、端末から見る認証情報では「Hong Kong」と「Singapore」のものしか確認が出来ませんでした(ASUS_Z017DA)
この状態ですと、改正後に関しても日本国内に持込は不可です。ただ、箱面にCEマーク(欧州域内で流通する機器が欧州の技術基準に適合していることを表示するマークのこと)が表記されています。
今回の改正により、「我が国の技術基準に相当する技術基準に適合する無線設備」としてこのCEマークのあるものが加わりました。
Wi-FiやBluetoothの利用に関しては90日を超えない範囲で可能であったり、とあくまで今回の改正も渡航者を想定したものとなっている(と考えられる)こともあり、これをもって「だから法律違反じゃない」と言いたい訳ではありません。実際にこの辺りはまた曖昧な部分が多いので、厳密に見ていけば変わらず技適マークのない端末を国内で使うことには色々と問題もあると思います。
私が今回これを挙げたのは、今回ここでこの端末を取り上げるにあたって、「技適マークのない端末を取り上げるとはけしからん。不謹慎だ。犯罪を助長する気か。」と思われる方に向けた逃げのようなものです。要は言い訳です。これだから法律違反じゃない、と言いたいわけではありません。これでもけしからん、と思うかもしれませんが、その辺りは柔らかくご指摘頂ければ、と願っています。
と、端末一つ取り上げるのにここまで前置きしなければいけない訳ですから、正直技適マーク無しスマホは薦めません。面倒ですよ。既に読む気無くした方も多いでしょうし。
ASUS ZenFone 3(ZE520KL)
さて本題。今回取り上げるモデルはあくまで海外版です。日本で発売される(と思われる)モデルはこれとは異なる部分も出てくると思います。私の手元にあるモデル(ASUS_Z017DA)にはATOK日本語版も入っていませんし、対応バンドその他も違ってくると思います。シャッター音をさせるためのカスタマイズもされていることでしょう。
あとは、ここ最近でZenFone Goがau VoLTEにもアップデートで対応したので、もしかしたらZenFone 3もこの辺りのアップデートにも時間がかかっているのかな、などとも予想しております。
今回はひとまず実際に使ってみて感じたことを幾つかポイントにして挙げてみたいと思います。
DSDS(デュアルSIM デュアルスタンバイ)は思った以上に便利です。
既に国内初ではなくなりましたが(Moto G4 Plus)、実際便利だなぁ、と改めて思いました。
昨年ZenFone 2 LaserでデュアルSIMだった時に期待していたこと(当時はデュアルSIMながら同時には使えなかった)がようやく実現したんだなぁ、と思います。実際の使い方としては
- docomoなどの通話し放題のSIMとMVNOのデータ通信専用SIMを入れて月々のコストを節約する。
- 仕事用のSIMとプライベートのSIMを一台のスマホにまとめる。
- 基本的には1枚のSIMで充分なのだけれど、保険としてデータ通信専用SIMを1枚入れておく。
この辺りかなぁ、と思います。ただ、最近では「1通話5分以内」など限られてはいますがMVNOでも話し放題のオプションが着けられるようになってきましたので、意外と需要としては限定的かな、と思います。
それよりも、仕事用のSIMとプライベートのSIM、など電話番号を2つ以上持っている人や、通話をそれぞれのSIMに分けたいので今まで端末を2台持たざるを得なかった(趣味で持っている人は別)方のほうが便利かな、と思います。
写真ではSIM 1にDMMモバイルの音声SIM、SIM 2にOCNモバイルONEの音声SIMを入れています。データ通信はSIM 1に設定(アンテナピクト横の「4G」表記はSIM 1。)。この時点でSIM 1側が「2G/3G/4G」SIM 2側は「2G/3G」となるため、実際はSIM 2側のOCNモバイルONEのSIMではデータ通信は出来ない状態(そのため、アンテナピクトはSIM 1が緑)になっています。
この状態で、SIM 1側、SIM 2側どちらの電話番号でも着信可能です。またこちらからの通話も可能(通話時に選択)です。
更に、データ通信ですが、SIM 1、SIM 2ともに、4Gで使う際にはひとまず今回入れてみたDMMモバイル、OCNモバイルONEともに場所によっては「4G+」表記に変わりましたので、キャリアアグリゲーションも出来るようです。
仕事用の電話は常に持っていなければならないけれど、家族や友人との通話には使えない、という方はこれで一台で済む可能性が出てきます。
あとは電話番号は1つで良いけれど話し放題でないと困る。けれどSNSや検索などは価格の安いMVNOのSIMで充分、という方であれば、それぞれSIM 1、SIM 2に挿して、通話とデータ通信を振り分ける、という使い方が出来ます。
ただ、相変わらずデュアルSIM設定は昨年出たZenFone 2 Laserの頃とさほど変わらないので(安定はしているものの)、切替をこまめにしたい場合や、初期設定時には少々悩むかもしれません。
Laserも上の文章を書いた頃に比べれば大分改善されましたが、当初は戸惑いました。
音声SIMが2枚の時と、音声SIM+データ通信専用SIMの時で挙動が若干違いますし、またあくまで4Gになるのは片側だけなので、その辺り慣れが必要です。
2.5D、背面もガラスの本体は思った以上に綺麗です。
実際にはCOMPUTEX TAIPEI 2016とZenvolutionの時に手に取っている筈なんですが・・あの時はUltraとDeluxeにばかり意識が行っていたのか、あまり記憶に残っていないんです。
今回はDeluxeとUltraはフルメタル、このZenFone 3(無印)のみ背面がガラスを採用しているのですが、綺麗です。反射しすぎてうまく撮れないくらいです。
今年初めのZenFone Zoom、更に春のMaxと、今までのCPは高いけれど本体仕上げはそれなりだったZenFoneからイメージが大分変わってきてはいましたが、現時点で台湾では実売25,000円程度の端末でこれだけ雰囲気のあるモノが出せるのであれば充分なのではないか、と思いました。
最近はASUSだけでなく、他メーカーもこの価格帯でも充分に綺麗な端末を出してきていますね。ASUSもようやく同じ土俵に上がってきたかな、という気もしますが、そうなるとこの価格で充分、という方もかなり出てくるのではないかなぁ、と思います。
2.5Dガラスに関しては液晶面だけでなく背面ガラスも(ガラスはGorilla Glass 3)なので、今までのように強化ガラス液晶保護フィルムなどを貼ることが難しくなってきます。Gorilla Glassに保護フィルムが必要かどうか、という点はここでは触れませんが、ちょうど前回その辺りについて書いていますので、興味のある方は合わせてお読み頂けると嬉しいです。
私は到着後、早速こちらでも取り上げたSDSバイオニックコートを両面に塗布しました。
これから裸の状態で特に気にせず使ってみて、傷の付き方などを見ていきたいと思います。
カメラのシャッター音はかなり期待して良いと思う。
私にとってはスマートフォン選択の大きな基準の一つでもある「カメラシャッター音」。これについて書き始めると完全に脱線するので今回は触れませんが、今回のZenFone 3でも発表前から気になっていたところ。
で、結論から書けば、音自体は
「相変わらず色気は全く無いが、ボリュームボタン連動は大変ありがたい。」
というところです。本体ボリュームボタンとシャッター音量が連動しているので、ボリュームが最大だと耳障りなフォーカス音とシャッター音が鳴り響きます。ただ、小さくすればほとんど聞こえないくらいまで下げることもできます。
ちなみに通常版(日本版ではない)では設定項目から「カメラサウンド」自体をONとOFFの切替が可能です。
また、ここは日本発売版ではどうなってくるか分かりませんが、通常版では本体ボリューム自体がマナーモード(バイブのみ、など)になっていると、フォーカス音、シャッター音ともに鳴りませんでした(カメラサウンドがONでも)
先日代々木公園で行われた台湾フェスにASUS JAPANも出展されていましたが、そこでもASUS JAPANの方が「発売はまだ分からない(たぶん秋)けど、カメラのシャッター音のことは楽しみにして下さい」と言われていたので、大変楽しみにしています。
追記:2016年9月28日 16:15 更新
本日、日本でもZenvolutionが開催され、国内発売モデル3モデルが発表されました。
そこで会場にいる、ASUS好きのZenBlog(@ASUS_ZenBlog)さんに気になっていたこの点を早速訊いてみました。
@_LifeStyleImage 消せませんし、変わりませんね。
— ASUS好きのZenBlog (@ASUS_ZenBlog) September 28, 2016
ボリュームボタンで音量を変えることも出来ない模様。まだ会場のタッチ&トライということで、もしかしたら発売時には何かしらアップデートで変更があるのかもしれませんが、個人的にはこれが一番残念です。
動作にモタツキも感じられず、指紋認証もスムーズ。
5.2インチという大きさはLaser(5インチ)では若干小さい(物足りない)けれどZoomやMax(5.5インチ)ではちょっと大きい、という人にとっては絶妙です。良いサイズ感だと思います。一応現行では5.5インチと5.2インチが展開されているので、日本ではどうなるか分かりませんが楽しみにしたいところ。
背面の指紋認証もスムーズですし、動作にモタツキもありません。UI自体は今までASUSの端末を使ってきた方にとってはお馴染み。特に変わりはありませんし、ASUS製アプリ以外は削除も可能でした。設定項目もほぼ同じなので、慣れている方には馴染みやすいかと思います。
わが家では妻も含めてこの一年ZenFoneシリーズをずっと使ってきたこともあって、他のメーカーの端末を使っていても、やはりZenUIに戻ると楽なんです。ASUS好きな人や、ここ最近のお手頃スマートフォンとしてZenFoneを使い始めた人にとっては使いやすいかな、と思います。
この一年での「充分」と思えるレベルの充実度に驚きます。
このブログでは散々「これで充分」という言葉を使ってきましたが、この一年だけ見てもこの「これで」が大分進歩してきています。同じように「充分」と思っていても、使い勝手自体は大分上がってきているんだなぁ、と思います。自分自身の求めるレベルが思った以上に高かったのかもしれませんが、現時点ではまだ数日とはいえこのZenFone 3は本当に充分に満足出来るレベルの端末です。ほぼ文句がない。
もの凄い強みがあるわけでは無いのですが、かといって気になる部分もない。バランスが非常に良い。
SIMがMicroとNano、更にSIM 2(Nano)はMicroSDメモリを使いたい場合には使えなくなるので、その辺りが人によって評価は分かれるかもしれません。
ただ、元々DSDS(デュアルSIM デュアルスタンバイ)が不要、という方であればSIM 1は今までのZenFoneシリーズ同様Micro SIMなので、そのまま移行が可能ですし、本体ストレージ自体32GB~なので、特にMicroSDなくても困らない、という方もいるかな、と思います。
RAMも3GBになったことで、ZenFone 2やZoom(4GB)同様、2GBが標準だった頃に比べて僅か1GB増えるだけでも快適さが違ってきます。バッテリーの持ちもZenFone 2やZoomの頃と比べると雲泥の差です。Maxほどではないけれど、充分に保つかな、という感触です。
これ、良いですよ。ホント。これから使っていけば細かい粗は出てくるとは思いますが、スマホが趣味でもなければ充分過ぎるくらいです。海外では3万切ってる、というのが凄いな、と思います。
さて。日本。
これが幾らで入ってくるのか、またいつ発売になるのか。噂は幾らでもあるんですけどね。お盆明けに発表、発売は9月中旬、といった予想が多いようですが、この前の台湾フェスでは「たぶん秋」といった話もありましたし、秋がいつ頃なのかも分かりません。
夏休み前に日本でも発売されていれば、かなりこれ強かったと思うんだけどなぁ。あとは価格ですね。発売1ヶ月もすると最近は競合も多いので下がるのも早いですが、時期によっては当初の想定の価格では厳しくなってくるかもしれないな、とも思います。
とりあえず発表を楽しみに待ちたいと思います。もちろん私も国内版が発売されたら購入したいと思います。
ASUS ZenFone 3 5.2″ ZE520KL (simフリー, 32GB, Sapphire Black) – EXPANSYS 日本
ASUS ZenFone 3 5.5″ ZE552KL (simフリー, 64GB, Sapphire Black) – EXPANSYS 日本
追記:2016年9月28日 16:15 更新
本日の発表に合わせ、ASUS公式オンラインショップ、ASUS ZenFone Shopでは早速予約受付が始まっています。
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