靴屋で働いていた頃に感じたこと。それは自分が甲高幅広だと思っている人の大半は甲高でも幅広でもなく、また外反母趾に悩んでいる人の大半は間違った靴選びをして余計に悪化させてしまっている、ということです。
そんなこともあって昨年の4月に書いた最初の頃の記事「[革靴] 靴屋だった私が甲高幅広のあなたにそれでも幅広靴を薦めない理由。」は気がつけばGoogleで「甲高幅広」で1位に出てくる程よく読んで頂ける記事になりました。
ただ、長いんです。アクセスが圧倒的に多い分、より多くの情報を詰め込もうと思ったために、文章も長くなってしまいました。中には目的の情報をその中から見つけるのが面倒で離脱してしまった方も多いのではないか、と思います。
そこで、今回は「甲高幅広」や「外反母趾」のあなたに私がその中でたった一つだけ伝えるなら何になるかな、ということでアッサリとした感じで手短にまとめてみたいともいます。
伝えたいたった一つのこと。
甲高でも幅広でも外反母趾でも内反小趾でも、とにかくそうでない人以上に意識してほしいことが一つだけあります。
それは、甲高だから、幅広だから、外反母趾だから、と大きめのサイズを選ばないで欲しい、ということです。
大きいサイズを選べば選ぶほど、キツく感じるし、足は蒸れるし、疲れるし、外反母趾や内反小趾なら悪化させます。
医学的な話ではなく、たくさんのお客さんを見てきての経験からの話です。
だから、外反母趾なら治療に関してはきちんと信頼できるお医者さんに見てもらって欲しい。けれど、悪化させない方法はあります。
甲高幅広なら、紐靴を選ぶこと。紐を緩めて靴べらを使わなければ履けない靴を選ぶこと。
外反母趾や内反小趾なら、踵が浮かない靴を選ぶこと。
これらの人は、自分の甲高や幅広の足を気にするあまり、必要以上に大きめのサイズを選びます。けれどそれが結局靴の中で足が安定しない状態でゆったり履こうとするから、足の前部分に重心がかかり、無意識に常に力が入った状態で靴を履いています。
足の幅や甲の高さを気にする人ほど、意識して欲しいのはカカト。
多くの男性女性を見てきて思うのは、これらの悩みを持つ人の大半が踵の浮きには無頓着だということです。浮いてはいけないわけではありません。ただ、大抵カカト周り、足首周りがブカブカな状態で履いているんです。
カカト周りがブカブカで浮いている、ということは、多かれ少なかれ足が靴の中で前に突っ込んだ状態にあります。足の前の部分で靴を履いています。足の前部分に意識がいき、更に前部分で靴を履けば、どんな人でも窮屈でキツく、また指の部分を圧迫します。そりゃ、外反母趾にもなります。
日本人と靴の歴史はまだ浅いです。ちゃんとした履き方をまだまだ知りません。だからこそ、一度踵が浮かないサイズの靴を履いて欲しいと思います。
まずはワンサイズ下の靴を、きちんと紐を結んで履いてみて下さい。
パンプスなら、試しに早歩きして踵が浮かないサイズの靴を履いて下さい。全てはそれからです。その前提があって、初めてそれぞれの足の本当のサイズに合わせた、足に良い靴選びが始まります。
最初から大きめ、幅広の靴、と考えるのではなく、まずは自分の足のサイズを知ることから。その上での、幅広、甲高、外反母趾の話です。
このブログの靴の選び方に関する記事はこちらから。
既に50記事以上書いていますので、その中から最近の記事を幾つか紹介します。合わせて御覧ください。
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