[1068-201511] いつもとは違う視点から喜多床。床屋の魅力はその歴史と技術と拘りにある。

[1068-201511] いつもとは違う視点から喜多床。床屋の魅力はその歴史と技術と拘りにある。

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私が定期的に通っているのがヘアーサロン喜多床です。
[0957-201507] 散髪は人によって目的が違うけれど、単に消費と捉えると勿体無いと思う。
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最近は五代目の舩越千代さんが積極的にSNSなどでも発信されていてFacebookページも作られたり、喜多床の歴史を文章としてまとめられたり、でも時々Facebook広告を出してみたら間違えて対象国をアメリカにしてしまったりとたまに苦戦しながらも、頑張られています。

私は実家の祖父、祖母が理容院(床屋)だったこともあり、基本床屋です。20代は美容院でしたが、最近は床屋の身だしなみを整える感覚が非常にしっくりくるようになりました。

床屋の面白さ。それは中々表には出ない職人としての技術の世界。

床屋といえばあまり美しさ(何を持って美しいとするかは年齢により、またセンスにより変わってきますが)が表に出ることのない世界です。最近は美容院との価格競争にも巻き込まれ、体力勝負、1,000円カットなども増えてきましたし人気もあります。
どうせ伸びるのだから速くて安くて回数行けたほうが良い、という気持ちも分からなくはありません。
ただ、床屋、理容の世界にも培われた技術とその美しさというものももちろん存在します。

理髪師歴57年になる喜多床4代目・舩越一哉の熟練の技の一つ、直鋏(じかばさみ)です。鋏を垂直にして動かすことにより、刈り上げ面を平らにします。実は、理髪師は普段、親指だけを動かし、他の四指は固定して鋏を開閉しますが、この直鋏だけは、逆に、親指を固定して、他の四指を動かすのです。直鋏は、明治39年に考え出された、日本の伝統技術です。

Posted by 喜多床 on 2015年10月30日

ちょうど上のFacebookの投稿を読んだのが、今回喜多床に行く前日でしたので、いつもは思考に耽る90分なのですが、今回は四代目の一哉さんに切っていただきながら色々お話を聞きました。

理容の世界にも関東と関西で好む技術の特徴や違いがある。

「直鋏(じかばさみ)」は決して特殊で難しい技術という訳ではないのだけれど、関西で修行をした人は比較的良く使うそうです。関東でもこの「直鋏」自体は技術としては説明(教わる)ことはあるものの、意外と使うのは少ないそう。
もちろん修行に出た先の床屋さんがどちらかによっても違いがあるでしょうし、また特殊で難しい訳ではない、とはいってもそこは経験や技術の差はもちろん出てきます。
そういえば私の祖父は刈り上げがものすごく上手くて評判でした。そんな刈り上げ一つとっても関西と関東で違いがあるそうです。
また、襟元をより上まで切るのが関西。それは襟元というのは髪が伸びてくると気になりやすい場所だから。そこをスッキリ刈ってしまえば、伸びる度に客は気になるので、今まで1ヶ月に1度だったのが3週間に1回になることもある、という狙いもあったそうです(もちろんそれだけではありませんが)
反対に関東では全体の調和を大切にするため、襟元だけ短くする、ということはほとんどしなかったそう。
ごめんなさい。この辺、メモ取れた訳ではないので、もし誤解や間違いがあったら、それは一哉さんに責任があるのではなく、勘違いしている私が原因です。

昔の床屋さんは自分の道具にもコダワリを持っていた。

これ、誤解を招く表現かもしれませんが、今が適当、いい加減なわけではありません。例えばハサミ。先日実家に帰った時に久しぶりに祖母に髪を切ってもらったのですが、現役当時のハサミと剃刀を出してきて切ってくれました。
「おじいちゃんは研ぐのもすごく上手くてね。剃刀も触れただけでスッと剃れたんだよ。」
ハサミも剃刀も昔は自分のものを丁寧に研いで使っていたそうです。自分の腕に馴染むように、また砥石にもよし悪しもあるようで、専用の砥石をわざわざ選んで取り寄せたり、と色々していたそうです。
最近はハサミも製造技術などの進歩で非常に硬くなり、自分で研ぐ必要がなくなったそうです(自分の手では研げないくらい硬くなった)。また、剃刀も衛生の面から使い捨てになったりと、量産される中で値段も変わってきました。

理髪師歴57年の喜多床4代目・舩越一哉の自慢の鋏、「剪刀斎」(せんとうさい)です。「剪刀斎」とは、明治23年生まれの山口弥次郎氏が、大正6年から作っていた理髪鋏の名称で、製造会社も平成2年に廃業してしまったため、もう、手に入れることはできません。山口氏は、昭和46年に「現代の名工」にも選ばれたほどの、鋏作りの名人でした。「剪刀斎」は名鋏であると、昔から言い伝えられています。

Posted by 喜多床 on 2015年11月8日

そんな中で一哉さんもご自身の使われているハサミを見せてくださいました。「剪刀斎(せんとうさい)」と呼ばれるハサミです。写真は撮れてないので勘弁。刀と同じで、ハサミにも色々な職人や工房があったようで、自分のコダワリが反映されるところだったそうです。
はさみ・刃物のコラム・剪刀斎・山口弥次郎・増太郎ハサミ

床屋の世界にも積み重ねられた歴史がある。それを知るのが面白い。

普段、単に髪を切る場所程度にしか考えていない方は、もしかしたらものすごく損をしているのかもしれません。特にモノ好き、コダワリ好きな世の男性女性にとっては。
それは、日本の理容の歴史というのも、一つ一つが聞けば聞くほど興味深い話が出てくるからです。
ただ、これは床屋に限らずですが(実際私も靴や時計の世界で感じましたし、妻の看護、医療や国際支援の世界も同じ)自分の携わっている分野の歴史や技術、そして知識というのは自分たちにとってはあまりに「当たり前」過ぎてわざわざ誰が好んでそんな話を聞きたいと思っているのか、と思っている部分があります。
もしくは、誰でもとっくに知っている当たり前の面白くない話だと。
結果、そうした情報や知識、経験はあまり表に出ることはありません。
[0350-201411] 自分にとって当たり前のことこそ、伝える価値があると思う。
床屋の世界も、私は実家が床屋でありながら、今まであまり聞いたことがありませんでした。今度帰ったらハサミと剃刀ももう一度見せてもらおう。
だからこそ、そうした情報や知識、経験が決して「当たり前」なのではなく、とても魅力的なのだ、ということをより多くの人に知ってもらえたらいいな、と思っています。
次回伺った時にも色々と教えてもらおう。喜多床の皆さん、いつも本当にありがとうございます。
ヘアーサロン喜多床

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