「低スペックでもサクサク動くのが魅力」「安くなければChromebookである意味が無い」
巷ではそんな話がさも常識・当たり前かのように語られています。その辺りについては私自身思うところがあり、常々このブログやTwitter等でも発信していますが、今回そこに触れると完全に長くなるので省きます。
で、何でこんな話から始めたか、というと、そんなさも当たり前のように言われていることですが、実際、
Chromebookの大体の相場、適正価格ってどのくらいか分かりますか?
そして、巷に溢れているセール情報。お得情報。
でも実際に本当にお得かどうか、あなたは判断出来ますか?
そんな時に、この「安くなければ」云々って凄く判断を誤らせる原因になり得ると思うんですね。ちなみに、私のような、この6年あまり、ほぼ毎日国内外のChromebook関連の情報を追ってきているようなユーザーでも、数週間気を抜いただけで、現行モデルのラインナップから、大体のパフォーマンス、適正価格から国内外の価格についてまで、追い切れなくなります。
それくらい、ここ最近は、特に日本国内においては、GIGAスクール需要も大きかったとは思いますが、値動きも新製品投入のペースも激しくて、更にそこに情報が次々と発信されて、分かりにくくなっています。
さて、そんな中で、前々回からHPのChromebookの価格.comモデルが通常価格(HP希望販売価格ではなく、市場相場)より安くなっていたので文章にしましたが、では価格.comモデルがすべてのモデルにおいて安いか、と言われると、そうとも限らないのが悩ましいところです。
実際価格.comモデルより通常販売のほうが安かったモデルもありましたので、それは今回省きました。で、そんな中で、今回のモデルは一応市場価格より安くなっていたので、同じくご紹介します。それが、AMD Ryzenプロセッサーを搭載した14″ FHD、IPS液晶搭載のクラムシェルタイプのモデルである、HP Chromebook 14bです。
HPはChromebookにおいては末尾が「a」「b」「c」の3種類のモデルがあります。すべてのサイズ、モデルにこの3種類がある訳ではないのでまた厄介なのですが、ザックリ言うと「a」がエントリー、「b」がビジネス向けスタンダード、「c」がハイエンドといった感じです。
今回のこのHP Chromebook 14bはその中でもb、ビジネス向けスタンダード的な立ち位置にあるモデルです。実際製品ページにも、
本製品の自動更新の有効期限(AUE)はPro c645 Chromebook Enterpriseに準じます
とあるように、海外ではProシリーズ、c645 Chromebook Enterpriseとして販売されていたモデルです。自動更新ポリシーは「2029年6月」と十分です。
こちらが価格.com限定価格で54,800円(税込)となっています。
ちなみに、通常価格だとどうなっているか、というと、同じHPの公式オンラインショップでの価格としては、文章作成時点で「66,000円(快適パソコンライフ!スーペリアモデル)」「99,000円(スーペリアモデル)」ということで、HP希望販売価格が99,000円、で、一応HP的には66,000円くらいが適正価格かな、と考えて販売しているモデルです。
実際、スペック的には先ほど「ビジネススタンダード」と勝手に決めてしまいましたが、それだけの構成ではあります。プロセッサーには昨年同様にLenovoが久しぶりのトラックポイント搭載のThinkPadとして出したC13 Yoga Chromebookと同じRyzenプロセッサーを搭載、8GB RAM、128GB SSDと、一般的なモデルに物足りなさを感じ始めているユーザーにとっても満足度の高いスペックとなっています。
実際この辺りのスペックになってくると、体感速度的にも一段階上になりますので、「あれっ?Chromebookって低スペックでもサクサクって思ってたけど、スペックが上がれば更に快適になるんだ」と感じられると思います。
また指紋認証センサーなど、上位モデルで搭載されることの多い機能もしっかり入っていますし、その点でも実用性は十分です。x360ではないので、液晶が360度回転してタブレット的に使えるコンバーチブルタイプではなく、一般的なノートパソコンと同じクラムシェルタイプのモデルとなりますが、その分全体的な重さも軽くなります。
唯一の欠点というか気になる点としては、ChromebookにおけるRyzenプロセッサーは、AC電源接続時とバッテリー駆動時のパフォーマンスがかなり差が出てしまう、という点があります。バッテリー駆動時だと大体6割くらいのパフォーマンスになってしまうのです。これは当初、「省電力のためにアイドル時にクロック周波数等を下げているだけで、実使用には問題無いのではないか」といった話もあったのですが、実際にC13 Yoga Chromebookを使っている国内外のユーザーからは「やはり出先でバッテリー駆動状態で使うと目に見えてパフォーマンスが下がる」という感想が上がってきていますので、この辺りは気になる人にはかなり注意が必要かもしれません。
なお、私はこのHP Chromebook 14bの実機レビューはまだ行えておりませんが、同じRyzenプロセッサーを搭載した前述のThinkPad C13 Yoga Chromebookに関してはYouTubeでレビューを行っておりますので、興味を持たれた方はそちらも合わせてご覧下さい。
ちなみに、冒頭でも触れましたが、現在日本では
「低スペックでもサクサク動くのが魅力」「安くなければChromebookである意味が無い」
というイメージが本来の意味以上に過度に強調されすぎてしまっているところに、ここ最近のGIGAスクール需要で一部メーカーが度々キャンペーンを行って、ある意味採算度外視の価格(まぁ実際は旧モデルの在庫一掃的な部分もあるのですが)設定で販売したこともあって、余計にそうした印象が強くなってしまっているのですが、Chromebookも基本的にハードウェア自体は他OSのPCと何ら変わりはありません。つまりコスト的には同じなんですね。
その上で考えるのであれば、現時点でも私は普及価格帯スタンダードなChromebookの相場は4万円前後〜だと考えています。それより低い場合は、それが適正なのではなく、何らかのメーカー側の思惑や事情が絡んでいるだけであり、それを基準と考えてしまうと却って失敗しやすい、と思っています。
そう考えると今回の54,800円(税込)ってかなり現実的な、いや、むしろこの辺り、HPでいえば「b」のラインがこの価格帯で購入出来るのは、十分に魅力的な選択肢だと思っています。
その意味では、ある程度使う人を選ぶモデルではありますが、Chromebook本来の魅力を十分に活かして使ってみたい、と言う方には、是非低価格云々の話に惑わされず、この辺りのモデルを候補に入れて欲しいな、と思っています。