日本では既に悪い意味で空気のような扱いになっているChromebook。ネットを眺めていても、ある程度PCに興味のある方の間でも「まだそんなの残ってたの?」と言われるくらい、既に終わったものとなっています。
実際、海外では教育市場の58%のシェアを取ったという話も出ていますが、それすらも米国での話。
https://www.nytimes.com/2017/03/02/technology/apple-products-schools-education.html
Of the 12.6 million mobile devices shipped to primary and secondary schools in the United States in 2016, Chromebooks accounted for 58 percent of the market, up from 50 percent in 2015, according to the report. School shipments of iPads and Mac laptops fell to 19 percent, from about 25 percent, over the same period. Microsoft Windows laptops and tablets remained relatively stable at about 22 percent, Futuresource said.
世界的に見ればその他の国ではまだまだ市場規模は小さいですし、そう考えるとラップトップPC市場自体を考えてもまだまだこれからなのかもしれません。
そうした中での日本です。Apple大好き、というよりも思考停止状態でiPhone万歳なAppleのお得意様が私達日本人ですが(私も嫌いではありません。Apple良いじゃないですか)、Chromebook市場、特に個人市場は散々です。少し前に各社残務整理をしたあとは、ほぼ法人、文教市場向けにシフトしています。
実際最近日本で発表されるモデルも少しお値段高めの、けれど基本的に大量納入を前提としているため、恐らくある程度数も捌けるからお勉強させて頂けるのだろうな、ということでの価格設定だとも思いますが、やっぱりちょっと高い。
更に一般的には「スマホがあればPCなんて不要じゃん」という方が大半だと思います。基本的にスマホとPCでやれることが同じだと思っている事自体が既に危機的状況ではあるのですが、SNSでの不用意な個人情報流出や炎上、よく文章読みもしないで脊髄反射で噛み付く人、すぐバッフンバッフンする人、リンク先調べもしないでシェアしまくって、挙句未だに診断系にハマってアカウント乗っ取られている人などを見ている限り仕方ないのかな、と。
どう考えてもスマホの一画面の情報量少ない小さな画面で適当に流し読みしていることの弊害だと思うのですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ちなみにこういうときに一番メジャーなコメントの返し方は「どーでもいい」だそうです。「どーでもいい」ならいちいちコメントしなきゃいいのに、いちいち「どーでもいい」と言わないと気が済まないのがわたしたち人間です。
さて。見事に脱線していますが、そんなまだまだ日本では寂しいChromebook市場。わたしたち個人ユーザーは海外から個人輸入したり、日本で何か発表されるたびに「また法人、文教向けかよ」とため息をつくのがお馴染みの光景となりましたが、実際そんな法人、文教向け市場ってどうなんでしょう?
ということで、ここは世界の王者、Acerです。
http://wired.jp/2015/03/02/acer-chromebook/
Acerは前回2016年9月の世界販売シェアトップ(47%)に続いて現時点でもトップだったようです。となれば、ここで当サイトとしては「エイサー日本市場担当者に訊いてみた」とやれれば良いのですが、私にそこまでの力がまだないので、ここはおとなしく法人向けページを眺めてみました。いつかやってみたい。
法人、文教向けモデルが出るたびに覗きに行くページなのですが、今回はこの中の「導入事例」を眺めてみました。このページ、面白いんですよ。
導入事例を眺めてみると、Chromebookだけの事例ではないものの、それでも意外とChromebookも多いんだなぁ、という印象。一つ一つ眺めてみると、もともとここって担当者向けの営業も兼ねたページだと思うのでそれなりにしっかり作っているだけあって、下手なメディアよりもよほどしっかりインタビューされていたりして、読んでいて面白いです。
2014年11月のことだ。「アメリカ最大の家電ショウ、CES(Consumer Electronics Show)のスナップショットにその製品が写っていたんです。写真を拡大してみると裏面に無線認証の技適マークが付いている。これなら日本でもそのまま使える、と考えました」(櫻田氏)。早速、Acerに打診してみると日本での販売に前向きな手応えがあった。「私たちは急いでいたので、英語のキーボードで構わないといったのですが、日本語キーボードまで特急で用意してくれました。素早い対応に感謝しています」と櫻田氏は語る。
また、いつでも簡単にクラウド上で一括設定できる安心感から、最初から様々な使用制限を設けず生徒に提供できることも魅力です。生徒の情報リテラシーを向上させるチャンスを作れますし、生徒もやってはいけないことを自ら考えます。もちろん生徒は失敗することもありますが、そこからどのようにPCを使っていくべきかを一緒に考えながら、その時代に適した設定をすぐさま提供すればよいのです。
私もスマホは好きですし、実際ここ最近は年に何台も買い替えています。タブレット端末も同じ。そしてもちろんChromebookに限らず、ラップトップPCも使えば、デスクトップPCも使います。それぞれに得手不得手があり、OSによっても違いがある。だからChromebookだけが素晴らしい、なんてことは思いません。
ただ、ある程度の情報量の文章を複数同時に読み込む、読み比べる、その中で文章を作成する、それが一次情報なのか二次情報なのか、それ以下なのか、またソースは何なのか、といったことを見分ける。これらはもちろん単にPCが扱えるだけでは身につくことではないのですが(私もまだまだ未熟です)、こういうことにはスマホやタブレットは弱いと思うのです。
特にスマホの小さな画面で、しかも最近はPV増やすために一つの記事を7ページも8ページにも分けて作っている大手メディアとか見てると、こんなものちまちまスマホで眺めていて判断なんてする気力起きないよなぁ、と思います。
使い始めはスマホだろうがPCだろうが、やることは大して変わらないかもしれません。けれど慣れてくると出来ることの方向性も種類も、得意な分野も違うことに気づくと思うのです。
そんな時の一歩として、比較的価格も手頃で、キーボードが付いて、画面もそれなりの大きさがあり、またネット散策にも特化したChromebookというのは、日本の教育市場でももっともっと導入されても良いのではないかなぁ、と改めて感じました。