今回、LenovoのThunderbolt 3 Graphics Dockをメーカーからお借りすることが出来ました。
先日ThinkPad X280用にeGPUを導入した話を書きました。
また、その直後にThinkPad用のウルトラドッキングステーションも購入しています。
それぞれに非常に使い勝手は良好ながら、同時に使えないのが悩みでした。個人的には4K液晶に出力して使いたいためeGPUを優先し、今後通常のUSB-Cドックを別途購入しようかとも考えているのですが(通常のUSB-CドックだとeGPUと共存が可能)、今回お借りしたThunderbolt 3 Graphics DockはUSB-A端子とEthernet端子も備えながらGPUとしてGTX1050も備えているということで、GPUのパワーを活用しながらドックとしても使えるのが魅力です。実際に今繋いだ状態でこの文章を書いています。今回は気になる点も含めて簡単にレビューしてみたいと思います。
Lenovo Thunderbolt 3 Graphics Dock
今回お借りした商品はこちら。
日本でも発売されたのですが、正式対応が生産終了したIdeapad 720S(Intel)のみということもあり、現時点では販売が終了しているようです。一応海外では継続して販売しているようで、米Amazonから日本直送可で購入が可能です。
通常のThunderbolt 3端子接続と考えると、720S販売終了後も継続して発売しても良いと思うのですが、何故買えなくなってしまったのか、不思議であると同時に勿体なく感じます。ただ、ネット上のレビューを眺めていると、720S以外ではThinkPadでも認識しなかった、対応していない、といった文章もチラホラ見かけますので、何か特別な構造上、相性が出やすいのかもしれません。ちなみにわが家ではThinkPad X280で全く問題無く動いています。
尚、今回お借りしてみて気付いたのですが、ネットで幾つか見かけるレビューの中でこんなものがありました。
ただ、問題に感じたのはドックとノートPC本体をつなげるThunderbolt3端子やケーブルがすごくシビアで、ちょっと移動したり、本体に触れただけで接続がひんぱんに途切れた
ここまでも接触不良!?でグラフィックドックが認識されなくなり、再起動したり、ドライバを入れなおしたりした。
単なる接触不良ではなく、技術的な問題があってThinkPadには対応していないのかも!?
恐らくこの方が借りたモノと同じモノを私が借りている可能性も高いと思うのです。この方が昨年9月に借りた時点で接続がシビアだった同一製品が半年経って私の手元に届いたのであれば、全く同じ症状が出てもおかしくありません。そして、実際に私の元で上記の症状が出ています。
元々Ideapad 720Sと一緒に借りられるようになっているのですが(今回こちらも借りていますので、改めてレビューしたいと思います)、後述するように他にもこの組み合わせで借りられている方がいるものの、前述の方のように実際に相性を試された方はごく僅かでした。
「動作しませんでした」と書かれている方もいらっしゃるので試したのかもしれませんが、私も単純に挿しただけでは動作しませんでしたので、それで判断してしまった方もいるのかな、とも思います。
私も最初非常に不安定どころかほとんど認識されず、半分以上諦めたところで、ふと思いついて上の写真のように上からセロテープで押さえつけて少し斜め上に傾けて挿した状態で固定したら、その後は全く問題無く動作が安定しているところを見ると、このレンタル品固有の問題なのかな、とも。
中にはレンタルした720SがIntel版にも関わらずレビュー中はAMD版ということで最後まで書かれていて、挙げ句「私はクリエイティブな作業はしないのでGraphics Dockの出番は全くありませんでした」という方もいるので、もうこれは、
そもそも実際に使っている方自体が少ない上に、ごく僅かにネットで出てくる情報も幾つかが(今回借りたものと全く同じ機器をレンタルした結果)接触不良できちんと繋がらず、それで情報だけが先行してしまった
というのも大きいのかな、と思いました。
Thunderbolt 3 Graphics Dockについて。
まずは外観と付属品について見ていきます。
いつものことながら、本体への給電も可能なDockということもあり、ACアダプター端子(170W)が大きいですね。
ちなみに13,3インチのIdeapad 720Sと並べてみたときの大きさ比較です。
Dock正面には左から「マイクロフォン・ヘッドフォンコンボジャック」「USB2.0(Type-A)」「USB3.0(Type-A)」「USB3.0(Type-A/Powered USB)」「電源LED」が付いています。PCと接続時にはPC電源がOFF時には電源は赤、電源ON直後はオレンジに、一度動き始めると黄緑色に点灯します。
本体左側面はセキュリティロックホールのみ。
右側面にThunderbolt 3端子があります。本体付属のThunderbolt 3ケーブルは非常に短い(30cm)ので、その分繋がれば安定する(Thunderbolt端子はケーブルの長さが長くなると速度や安定感が落ちるので)ようなのですが、30cmだと少し設置場所に悩みます。
背面は左から「ACアダプター端子(170W)」「Display Port」x2、「HDMI」「Ethernet端子」そして排気口です。
底面には大きな吸気口が空いています。これはグラフィックボードとしてGTX1050を内蔵しているためで、GTX1050自体は現時点ではそこまでハイスペックなGPUではありませんが、それでも軽いゲームなら難なく動きますし、長らく愛用されている方も多い人気のボードでもありますので、それなりにパワーはあります。そのため、実際に負荷のかかる作業をするとそれなりに(耳障りというほどではありませんが)ファンの音がしますし、本体自体もそこそこ熱を持ちます。
実際に接続してみて気になった点、気に入った点。
端子部分の接触不良は個体差の可能性も高いので除くとすれば、ありがたいのはUSB端子やHDMI、DPやEthernet端子を備えながらもeGPUの機能もあり、更に本体への給電も出来るDockがThunderbolt 3端子一つ挿すだけで使えてしまう、ということです。
この便利さはかなり大きいです。とにかく楽。前述のようにACアダプター自体はそこそこの大きさがありますので、普段からこのDockを持ち歩くことはないと思いますが、自宅の机に据え置きにしておけば、帰ってきてThunderbolt 3端子を繋ぐだけで全て使えます。
もちろん専門のドック(前述のUSB-Cドック)などであれば、更に端子類は増えますし、USB-Cなども使えたり、と便利なのですが、実際に私自身がドックを使って必要(あると便利だなぁ、と思う)のは今回のGraphics Dockにもある、USB(Type-A)とEthernet端子くらいなんですね。自宅の31.5インチの4Kモニターに繋ぐので、HDMIかDP、更にその際にはキーボードもREALFORCEを使いますし、細かい作業をするためにLogicoolのマウスも使います。
となるとそれぞれにUSB(Type-A)端子が必要になります。あとは安定した通信環境のためにEthernet端子があると望ましい、というくらいです。
なので、全てこれで問題ありません。でありながら、X280のスペックであれば充分ともいえるGTX1050もeGPUとして使える訳ですから、まさに理想的です。
最初からこれ普通に売ってれば冒頭のeGPU構築しなかったんですが(それでもあちらは自分で好きなGPUを組み合わせられるのが魅力)。
唯一惜しかったのが、背面にUSB(Type-A)端子が一つもないということ。仕方がないのでキーボード(REALFORCE)のUSBは前面に挿さなければなりません。これ、意外と前にせり出してしまって見映えがすっきりしません。
なお、本来は(ちょっと暗くて分かりにくいですが)ThinkPad X280をSatechiのアルミニウム モニタースタンドの上に載せていまして、ドックをこの下の隙間に設置して無駄にケーブル等が見えないようにするつもりでした。
ところが前述のようにThunderbolt 3端子の接触不良でセロテープで強引に押さえつけて貼る必要があったため、本体の前に仮置き的に置かざるを得なくなってしまって、折角のスタンドが活かせておりません。もし今後Dockを購入することがあったら、このスタンドの下に設置したいな、と思っています。
ThinkPad X280はモバイルノートPC。ゲーミングノートPCではないので、このくらいのGPUで充分かも。
世の中には様々なゲーミングノートPCがあります。中にはRTX2070や2080といったハイスペックのグラフィックボード(モバイル版)を載せたものも存在します。実際私も冒頭のeGPUではRTX2070を載せました。
ただ、ThinkPad X280は元々モバイルノートPCです。私の使っているモデルはCore i7を載せていますが、それでもCore i7一つとっても様々な種類があります。決してデスクトップPCと同じ訳ではありません。あまりハイスペックのGPUを使ってもCPUパワーのほうがネックになってしまうことが大きいです。
となると、意外と大抵のThinkPadであれば、用途的には加えたとしてもGTX1050もあれば贅沢(充分)過ぎるかもしれないな、と思います。一応以下、前回のeGPU(RTX2070)の際に計測したベンチマークと並べて比較してみます。それぞれ最初がeGPU(RTX2070の場合)、Lenovo Thunderbolt 3 Graphics Dock(GTX1050)の順です。
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3D Markのお馴染みFire Strike。今回のGraphics Dockで4905。上記のeGPU(RTX2070)と比べれば流石に2倍以上の差が付いていますが、あくまでゲームをした場合、と考えれば充分ではないかな、と思います。
続いてTime Spy。こちらも3倍強の差が付いていますね。先ほどのFire Strikeでは一応デモなどでカクツキ感はそこまでなかったのですが、こちらのTime Spyは流石にカクカクしています(RTX2070は流石にスムーズです)。
あと気になったのは、eGPU(RTX2070)では問題なかったのですが、このGraphics Dockだと3D Markの結果で「GRAPHICS DRIVER IS NOT APPROVED」と表示されてしまうことです。この辺りドライバーがNVIDIA純正のモノではなく、LenovoのサイトからこのGraphics Dock用のドライバーを入れる必要があるため、その影響があるのかもしれません。
この辺りももしかしたら「Ideapad 720S専用だから他では使えない」という根拠の一つになっているのかもしれませんね。実際私の環境では何の問題もなく動いていますが、他の環境でも必ず動く、という保証はありませんので。
日本での発売再開、もしくはマイナーチェンジ版の発売を期待したいところです。
Lenovo純正のドッキングステーションは非常にThinkPadと相性も良いですし、純正ならではの使う上での満足感も高いと思っています。だからこそ、このGraphics Dockも是非再販して欲しいです。
もし今回も少し触れたような720S専用の特殊な設計による動作や相性のシビアさがあるのであれば、それを改善したものでも構いません。きっと需要があると思うのです。GTX1050くらいがノートPCでも使えると、画像や動画の編集など用途が広がります。前回のeGPUの際にも触れましたが、普段はそのコンパクトさを活かしてモバイルノートPCとして。また自宅ではDockと大画面モニターに繋いで通常のデスクトップPCと同じ感覚で使える、というのは大きな魅力です。
ということで、このGraphics Dock、改めて欲しくなってしまいました。
日本だとプレミア価格が付いて2~3倍近い価格になっていますが、米Amazonであれば日本直送可で$340、充分に魅力的です。
既にeGPU環境のある私としては、折角なのでこのeGPUを活かしてUSB-Cドック辺りを追加購入するか、もしくはUSB-Cドックを買わずにこのGraphics Dockを選ぶか、非常に悩ましいです(ただ、後者だと既に持っているeGPUが活かせませんが)。
非常に使い勝手の良いこのGraphics Dock、より多くのThinkPadユーザー(Thunderbolt 3端子必須ですが)に知ってもらいたいな、と思っています。