私、単に以前に腕時計店で働いていたから、というだけでなく、元々腕時計が好きです。そして同じようにスマートウォッチも好きです。この2つ、同じモノのようでいて全く別物ですし、またなかなか共存出来ない組み合わせです。
もちろん腕時計好きの種類と程度にもよるとは思います。ただ少なくとも私にとっては「日々これだけで良い」と思えるたった一本のスマートウォッチというものは未だ見つかっていません。色々な理由はあると思いますが、一つにはスマートウォッチというのは基本的に「日々これだけを使わせる」ことを想定していると思われることがあります。
私も今はそれ程多くの腕時計を使っている訳ではありません。ある程度自分の中での定番は欲しいですし、またそういう一本に憧れてもいるのですが、それはなかなかまだ難しいようです。ただそれでも状況に合わせて、また服装に合わせて腕時計を着替えたいと思っています。
また、私はスマートウォッチも楽しんでいます。これも勿論腕時計です。ただ、通常の腕時計に比べて縛られやすい特徴を持っています。それが「自分の愛用するスマートフォンと連携」していることでもたらされる「様々な通知機能」という魅力です。これがあるおかげで、意味もなくスマホを触ってしまう頻度も減りましたし、また大切な電話に気付かなかったらどうしよう、といった不安も無くしてくれます。
通知の内容を一旦腕元で簡単に確認出来ることが、日常においてはスマホへの依存を和らげてくれる。私にとってのスマートウォッチの唯一だけれど欠かせない魅力がこの「通知機能」なのです。
この「通知機能」は私にとってはかなり重要で、そのため日々スマートウォッチを、特に上記のPebble 2を最近は使うことが多いのですが、本音を言えば「通知さえしてくれるのであればスマートウォッチでなくても良いし、腕時計くらいは自由に選びたい」と思ってもいます。
何故なら冒頭でも書きましたが、やっぱり腕時計って面白いですし、それぞれに魅力があるからです。そして、「通知機能」に縛られることなく、スマートウォッチもあくまで「数ある腕時計の中の一本」として日々着替えたいな、と思っています。
これが意外と難しかった。けれど、ようやく一つの解決策が見つかった気がしています。それがfitbit社の「alta HR」です。
人によっては「いや、これも腕時計じゃん。」と思われるでしょう。「何?腕時計2本するの?」と感じられるかもしれません。
その通りです。
これを腕時計と考えるのであれば、確かに2本することになるんです。ただ、これを「活動量計」と考えると少し変わってきます。そして、今回のalta HRはようやく「スマートウォッチという呪縛」から離れられた「スマートウォッチ的な活動量計」だな、と思っています。少し分かりにくいですが、この差が結構大きいと感じています。
このモデルを「スマートウォッチ」と位置づけるか「活動量計」と位置づけるかは判断が分かれるところだと思うのですが、個人的には非常に「活動量計」寄りでありながら、私がスマートウォッチに求めている「通知機能」をほぼ不満のない程度まで使えるようにしています。そのバランスがとても良いと思います。
これを時計として使うと不便を感じます。何故なら液晶部分は常時点灯ではないからです。いつでも、「腕時計を覗こうとしなくても」いつでも時間が分かる、というのが私にとっての「腕時計」としての最低限の条件です。腕を傾けた時だけ一瞬遅れて時刻を表示するようでは私の中では腕時計としては常用出来ません。
ただ、これを時計と考えないのであれば、むしろ普段から時刻を表示しない方が助かります。何故なら多少なりとも「腕時計2本」の印象が薄れるからです。
では液晶は要らないのかと言われれば全く別問題です。着信だけなら確かに液晶がなくても大きな問題はありませんが、液晶が付くことで「誰からの着信か」「誰からのメッセージか」「メッセージの内容」が分かるからです。この差は大きいです。通知の際だけ液晶が点灯し(腕を傾ければ時刻等も表示してくれますが)、上記の情報を表示してくれます。
私にとってこのモデルの通知はこれだけあれば充分、けれどこれくらいはないと困る、という情報量です。
通知に関しては「着信」「テキストメッセージ」「カレンダー」を表示してくれます。私にとってありがたいのはテキストメッセージに「Googleハングアウト」が選べるということです。私にとってメインの連絡手段が「ハングアウト」なのでこれは本当に助かります。ただ、LINEが選択出来ないのは多くの日本人にとっては厳しいかもしれません。(海外でよく使われている「WhatsApp」は選べます。)
また、私は元々「活動量計」としてJawboneのUP3を長らく愛用していました。UP3は睡眠の質の計測が他社の同種の活動量計に比べて細かく取れる(「深い」「浅い」だけでなく「レム睡眠」も)というのが魅力でした。fitbitも今までは「深い」か「浅い」かだけしか分からなかったのが残念な点で、それが私にとってはUP3が手放せない大きな理由でもありました。それが今回ようやく「レム睡眠」も含めたより詳細な睡眠データを計測してくれるようになりました。これは嬉しいです。
また、UP3はバンドを留める部分が弱く、気がつくと腕から外れていた、ということが時々ありました。(Jawboneはその後、固定用のクリップを希望者に配布。)また、バンド一体型だったため、最近になって本体とバンドの結合部分がいよいよ割れてきてしまいました。
fitbit alta HRではバンドの付け替えが可能になりました。また普段はバンド穴で固定するタイプのため、簡単に腕から外れることもありません。外れる心配も無く、睡眠計測も含めて24時間着けっぱなしがしやすくなったのはありがたいです。
私にとっては実用レベルの活動量計として日々身につけながらも、通知機能もカバーしてくれることで腕時計を自由に選べるようになったということが非常に大きいです。
多くの方にとっては「腕時計」は必須ではなく、まして何本も腕にするものではないかもしれません。最近ではようやくApple Watchを腕にした人を街なかでも少しずつ見かけるようになりましたが、スマートウォッチの未来はまだまだ安泰とは言えません。今まで色々なスマートウォッチを試してきた私が感じるのは、
腕時計好きにとってはスマートウォッチは唯一無二の存在にはなり得ない。
腕時計に必要性を感じていない人にとっては、スマートウォッチであろうが必要ない。
にも関わらず、そんな必需品では無くなってしまった「腕時計」に無理矢理あれこれと機能を詰め込もうとして、結果として腕時計としても中途半端になってしまったことが大きいのかな、と感じています。
もちろん活動量計も多くの人にとっては不要でしょう。ただ、機能や用途としては分かりやすい。必要な人だけ使えば良い。そして、それは同じ「腕にするモノとしての腕時計」と競合するものではないところがスマートウォッチとの大きな違いになるかな、と思います。
今のスマートウォッチは「中途半端な腕時計+中途半端な活動量計」の腕時計であるところが惜しいな、と感じています。もちろん私はスマートウォッチは今も好きですし、これからも新しいものが出たら試してしまうでしょう。ただ、腕時計好きに薦められるかと言えば現状では難しいな、とも感じています。
けれど、スマートウォッチの持つ「通知機能」の便利さはもっと知って欲しいな、と感じています。fitbit alta HRの通知機能は決して多種多様ではなく、SNSの通知等は出来ませんが、着信通知とメッセージの通知があるだけでもその魅力は伝わるのではないか、と思っています。
だから、私は常日頃腕に何かを着けることに抵抗があまりない腕時計好きにこそ試して欲しいな、と思っています。腕時計と競合することが比較的少ない「活動量計+α」の存在として。まだまだ惜しい部分もありますが、fitbit alta HRは現時点で腕時計好きがスマートウォッチも考える場合に比較的理想に近い組み合わせだと感じています。
この形で更に「通知」可能な幅が広がる(SNSや天気など様々なアプリで選択が可能な)と面白いな、と思っています。別に通話機能とか要らないから。