前回、ふるさと納税で宮城興業の和創良靴がオーダーできる、という話を書いたところ、思った以上に反響がありました。
https://office-kabu.jp/shoes/wasou-ryoka/post-0
また、何名かの方から「リバーフィールドもふるさと納税でオーダー出来ますよ」と教えて頂きました。ありがとうございます。
リバーフィールド、八幡靴に関しては数年前に目にしたことはあったものの、身近で手に取れたり見ることが出来なかったため、何となくそのままにしておりました。
今回折角の機会ですので、この「リバーフィールド」と八幡靴について少し触れてみたいと思います。
滋賀県近江八幡市にはかつて、数百件の製靴業者があった。
確か数年前くらいにどこかでこの名前(八幡)が流れてきた気がしていて改めて調べてみたところ、2年前にも日本経済新聞などで取り上げられていたようです。
滋賀県近江八幡市にはかつて、数百件の製靴業者があったという。天然の皮革を使い職人が1足ずつ手縫いで仕上げる八幡靴は、高級靴として知られた。近江八幡に住んだ米国出身の建築家、ヴォーリズも八幡靴を愛用した一人。「世界一の逸品」と絶賛し、米国帰国後にシカゴの靴屋に修理を頼んだら「こんな素晴らしい靴は見たことがない」と驚かれた逸話が伝わる。
そんな八幡靴も安い輸入品の増加と職人の高齢化で存続の瀬戸際にある。もはや「コトワ靴製作所」1社が残るのみだ。代表の川原勲さんはオーダーメードの靴を手ごろな価格で提供することで生き残りを図る。
日本経済新聞 2014年11月18日の記事。
恐らくこの流れでTwitterなどで投稿が流れてきて、気にはなっていたものの私自身、その頃は千葉刑務所謹製靴から三交製靴ラギッドシューズ、宮城興業 和創良靴などこのブログでも何度も取り上げているような靴の完成待ちの状態で、余裕無くそのまま忘れてしまっていました。
製法は「マッケイ製法」。その返りの良さは大阪古参の刑事御用達。
製法はマッケイ。2足目以降はボロネーゼでも可能なようです。
もし1度当社でオーダーシューズを作られて2足目をご希望なら、ボロネーゼ製法のオーダーをお勧めします。
ボロネーゼで作った「八幡靴」のオーダーは究極のオーダーシューズです。
ボロネーゼ製法とは中底のパーツを使用せず柔らかい甲裏材で足裏前部分を縫製したものです。
固い中底を使いませんので靴底が90度以上ぐにゃりと曲がります。
ボロネーゼと「八幡靴」特有のクリ底(土踏まず部分がえぐれた底)の組み合わせは履き心地最高です。
1度ボロネーゼ製のオーダーシューズに嵌ったら最後、他の革靴が履けなくなると思います。「ボロネーゼ八幡靴」は大阪の古参の刑事さんご用達の革靴です。運動靴感覚で走る事も可能です。
マッケイ製法、というと革靴に興味を持ち始めてちょっと知識が付いてきた頃だと「ハンドソーン>グッドイヤーウェルト>マッケイ>セメント」などという勘違いをしやすいのですが、マッケイ製法にはマッケイ製法の素晴らしさがあります。
それぞれの靴のデザイン(雰囲気)から用途、革の素材に合わせて相性の良い製法を組み合わせていけば良いだけの話で、製法だけで履き心地やフィット感が決まるわけでは決してありません。
同じ事は「革質」にも言えるのですが、ただそうした情報一つ一つが購入の動機になるのであれば、それはそれで意味があるのかな、とも思っています。
良さを伝える、ということはそれくらい難しいことだと思っているので。
オーダーは店頭(滋賀県近江八幡市)とネット上から可能。
オーダー自体はネットからも可能。デザインや革を選んでオーダーフォームから注文すると、「足型計測道具一式」が届きます。計測後、着払いで返送すると、約2週間後に仮縫い靴が届き、試着後、着払いで返送。その後、約10日で完成とのこと。
「足型計測道具一式」や「仮縫い靴」の往復の送料も合わせるとリバーフィールド側の負担はそれなりの大きいと思うのだけれど、計測に関しては現状ネットで注文するとなればこれがベターかもしれません。
素材もそれなりに選択肢があり、
素材 | 素材の色 | 価格 |
ペッカリー | ブラック・ダークブラウン | 61,000円(税込65,800円) |
カンガルー | ブラック・ダークブラウン | 50,000円(税込54,000円) |
カーフ | ブラック・ダークブラウン・ブラウン・ライトブラウン・グレー・ワイン・ネイビー・グリーン・ブルー・オレンジ | 43,000円(税込46,440円) |
カーフ・スエード | ブラック・ダークブラウン | 43,000円(税込46,440円) |
キップ | ブラック・ダークブラウン・ブラウン・ライトブラウン・ワイン・グレー | 38,000円(税込41,040円) |
近江牛革 | ブラック・ダークブラウン・ブラウン・ライトブラウン・ワイン | 35,000円(税込37,800円) |
キット(仔山羊) | ブラック | 32,000円(税込34,560円) |
個人的にとても気になっているのが「近江牛革」です。生後30ヶ月の雌のホルスタインの皮で、油脂分が多く、柔らかいのが特徴(サイトより)で、カジュアルの材料向きとのことですが、私、こういう国産の地域の牛革というのが結構好きなのです。
宮城興業の和創良靴でも「山形牛」を一時選択できましたが、あちらも確かにフォーマル向けではありませんでしたが、折角日本で靴をオーダーするのであればこうした革を選んでみたい、と思わせてくれました。
写真を見る限りでは柔らかい染色のようなので、マッケイ製法と合わせて綺麗な靴が出来そうな気がします。
ふるさと納税では大好評につき一時受付中止中(8月再開予定)
今回調べた限りでは「ふるさとチョイス」と「ふるぽ」でこの八幡靴を見つけることが出来ました。
ただ、どちらでも現時点では「大好評につき一時受付中止中(8月再開予定)」とのこと。
ふるさと納税という形でオーダーを考えている方はもう少しだけ待つ必要があります。
滋賀県近江八幡市近郊の方は出来れば直接お店に行ってみて下さい。
このブログでも何度か取り上げ、また実際に愛用者も続出している靴の一つに、リーガルの関連会社でもある東立製靴がオリジナルブランドとして展開しているショーンハイトがあります。
これも技術的には日本の紳士靴の雄リーガルの靴を多く作ってきただけあって安心感がありますし、材料調達能力からその後の修理対応などの体制も考えれば非常に魅力的です。
ただ、今回のリバーフィールドにも言えることなのですが、なかなか近くに住んでいないと実物を手に取れたり、実際に履いてみることが出来ない、というのが残念なところです。
もちろんこれは仕方のないことです。世の中には世界、いや、全国展開すら考えていない、誠実に良い靴を作り続けている小さな会社が数多くあります。そして全国展開することだけが素晴らしいわけではありません。
靴業界も決して楽ではありませんし、下手に規模を拡大させて却って良い靴が作れなかったり、また経営が続かないのでは本末転倒です。八幡靴に関しては元々後継者もなく、また昔は数多くあった製造業者自体が既にほとんどない中で今こうしてある程度の規模で継続できている、というのはそれだけで非常に素晴らしいと思います。
世の中にはこうした会社がまだまだ数多く存在すると思います。これからも継続して、日本人の足を支えていってもらえるよう、私も靴好きの一人として応援していきたいな、と思っています。
まずは一足、試してみたいところですね。
滋賀県近江八幡市鷹飼町617JR近江八幡駅南口 10:00~17:00 水曜休
0748-37-5451