私、20代の頃、自分の給料少ないと思ってました。周りの同僚も先輩も「この会社他よりちょっと給料少ないから」って言ってまして、また私自身それなりに良い大学だった(退学してますが)こともあって、変なプライドみたいなものも残ってたんでしょうね。あとはメディアでよく平均年収とか、華やかな世界の同年代の年収とか目にすることも多かったので、「少ないな」と。もうその感覚が普通、当たり前になっていたんです。
ところが、次に働いた会社では、給料その半分以下でした。ちょっと待て、この給料でどうやってやっていくんだ自分、みたいに当初焦ったのですが、実際それでも業界の中では良い方だったようです。ただ、その時の同僚も先輩も「この会社他よりちょっと給料少ないから」と同じこと口にしていました。一つの会社の中、世界の中だけにいると、それが「当たり前」だと思ってしまうんです。
正直、そんな自分の感覚をはじめ、同僚、先輩、友人、知人やメディアのいう「当たり前」の金銭感覚、収入って実際は本当にいい加減(嘘ということではなく)で、結局のところその人の財政状況なんて他人からは本当には分かりません。今回はちょっとそんな話を書いてみたいと思います。
「40歳、自営業、既婚(結婚10年)、共働き(妻は専門職)、子どもなし」のわが家の財政状況って分かりますか?
もちろん分からないですよね。同じように私もこれを読まれている「あなた」について、同様の情報を与えられたとしても、分かりません。ただ、上のような情報を提示されて、購入した革靴今までに100足軽く超えてて、200万近い腕時計とか持ってて、常にTwitterで呟いてる、更新の時間帯も不規則な私、周りから見れば何やってる人か分かりません。最近不惑を迎えて資産運用とかお金とか考え始めたーとか言ってるけど、実際は不動産所得や事業所得が多かったり、実は案外金持ってるかもしれません。かと思えば、単なるヒモやニートかもしれません。自営業って言ってるけど、「自宅警備員」の「無職」で「単なるブロガー」かもしれないわけです。こういう話で何か一発当てようとしているだけかもしれません。
だから私が投資信託の積立を「多少」している程度で、今回「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「つみたてNISA」をようやく申し込みました!と書いても、その「多少」に抱く印象は人それぞれに違うでしょう。毎月積み立てられる金額だって、分かったもんじゃありません。私が上限いっぱいの「68000円(iDeCo)+33000円(つみたてNISA)」の積立をして、更に上乗せで特定口座で加えてるかもしれませんし、言うだけ詐欺でまったく放置状態、積立するお金すらないかもしれません。でも文章にするだけなら自由なんです。
で、そんな私の言動目にして、ある方は「何今更そんなこと言ってるの?」と冷ややかな目で見るかもしれません。けれど、他の方は「いや、でも私の場合はそんなお金の余裕ないから。子どもだっているし。」といったことを感じるかもしれないんです。
でも、実際には「他人に対するイメージ」って、本当のところどうなのかはまったく分からないし、正直いい加減なモノだと思っています。それに、私の財政状況を正確に知っても何の役にも立たないですよね。
大抵の人は「自分は少し収入少ない、足りない」と感じていると思う。
ただ、最近何となく感じているのは、どの年代でも、どの職業でも、どんな年収でも、どんな家族構成でも、
「自分のところは日々何とかやり繰りしている状態だし、正直もう少し収入が上がればいいな」
と思っているんじゃないか、ということです。だいたい「自分は少し収入少ない、足りない」と感じてる。そして、「お金にそんなに余裕はない」と思っている人も多いのではないか、と。
周り見てるとなんとなくしっかり資産運用してる印象があったり、自分と違って子どももいて若いのにしっかり日々やり繰りしてる気がしてしまう(もちろんそうしてみんな頑張ってる訳です)。
でも、だから何となく自分の状況振り返ると、「金ないな」「いっぱいいっぱいだな」「正直今から何か考えても手遅れなんじゃないかな」「今なんとかなってるから」みたいに思ってしまう方も多いと思うんです。20代の時も、30代の時も、そうして「手遅れ」「お金ない」と思い込んで特に手を打たないで気がついたら40代になった。でもまたその状況を何となく続けて50代を迎えた。あれ、60だ。
ちょっと待て、それ、20代の時も30代の時も40代の時も手遅れでも何でもないじゃん。
ごめんなさい、なんか偉そうだけれど、これ全部私です。このブログ、妻も、親も見ているようなので、ちょっと家族に向けた反省文みたいになってますが、正直反省してます。今までごめんなさい。
自分の中の当たり前のイメージを疑ってみないと、いつまでも「何とかなる」のまま。
うわっ、この見出し、ちょっと情報商材っぽいな。自己啓発とか。自分で突っ込みたくなるくらいだから、何となくそういう流れになってきてるかもしれない。気を付けよう。大丈夫です。この後特効薬みたいなプログラムとかまったく出てこないので。
この「当たり前のイメージ」って結構手強いな、と感じています。前述の他人の財政状況、収入に対する勝手な思い込みや、世間一般的な当たり前の生き方みたいなもの。あ、念のためフォローしておくと、「好きなことだけして生きていく」とか「まだ○○して消耗してるの?」みたいな話じゃないです。
以前も取り上げたことがあるこちらの本。
著者は私と同じ歳(40歳)だと思うのですが、2014年に出されたこの書籍。Kindle版、紙書籍版両方ありますが、個人的には折に触れて思い出しては、所々読み返している本でもあります。自分が思い描いている「この後の人生」をしっかり見直してみた時、今の収支で本当にそれが実現できるのか、そして本当にこれからの人生において、そのプランで良いのか。その「当たり前だと思っているごく普通の人生」って本当に自分が望んでいるものなのか。
この本、別に起業しろとか楽して稼ぐ方法とか、そういったこととはまったく正反対の内容で、むしろそのタイトル通りのことを当たり前に考えている方が、実際に私の世代ではまだまだいるのではないか、と思っています。(下の世代は分かりません。もうこういう感覚ではないのかもしれませんし。)
同じ著者の本です。これまたタイトルで受け付けない方もいるかもしれませんが、これもかなりタイトルとは違ってまともな内容(主に2世代マネープランニングの話)です。この文章、親も読んでる気がするので、また誤解されそうですが、実際に真剣にこの話、以前親にしようとして「お前はまだ親のスネをかじる気か」と違った意味で誤解されました。いや、親に死んだ後の遺産の話をする時と同じくらいタイミングと話の仕方を慎重にしないと喧嘩になりかねない話です。
どちらも既に発売されて4~8年経っています。またレビューの評価も結構大きく分かれていて「さすがに今の時代にそこまで時代錯誤な考えを持っている人は少ないと思う」といった意見もあるので、実際には多くの方にとっては既に時代錯誤な考え方なのかもしれません。
ただ、ふと思ったのは、もし時代錯誤な考え方だと一笑に付すことが出来る、一蹴できる方が大半だったとしても、だからこそ「そうではない僅か」な人にとっては世の中の資産運用やマネープラン、生活設計が「自分にも当てはめられる、出来る」ものではない、ということ(と思われている、ということ)だと思うのです。
私にとっては、例えばこの上の2冊のような話題になった時に、相手が「こんな時代錯誤な考え方持ってる奴、今更いないよね笑」と言ってきたら、心の中では焦りながらも「そりゃそうだよなぁ笑 今頃いないって」みたいに返してしまう気がするんですね。で、思うんです。
「そうか、やっぱり周りの友人はしっかり貯金もして、マネープランも立てて、資産運用もしてるんだよな。自分だけか、何も考えてこなかったの。でも40だし、今更遅いよな・・。」
でも何度も書いているように、その友人だってやってるかどうかなんて本当のところは分からないんですよね。考えることすら放棄しているかもしれないんです。もしくは同様に不安に感じてはいても、それを口に出すと恥ずかしいので「しっかりやってる自分」を演じてしまっているだけかもしれません。
今回の文章、珍しい動物を見るような目でご覧頂いても構わないのですが。
正直、こんな文章書いていても、どういう方が読まれているのか分からないので、結構躊躇するんです。なんかとても40歳とは思えないような恥ずかしいお金の話してるんじゃないか、と。こんなこと、既に社会に出た時点でみんな既に分かっていて、それなりに堅実にしっかり積み上げてきているんじゃないか、と。その上で、みんなそれぞれに日々苦労しながらお仕事を頑張っているんじゃないか、と。
もしかしたら、思う存分革靴買って、腕時計買って、結婚して、比較的ここまで(もちろん悔いはあるものの)それなりに生きてこれた自分って、単なるアホで、何も対策立ててこなかっただけなんじゃないか、と。
それならそれで良いと思うんです。これからも時々地味にお金の話のその後を(自分への記録の意味も込めて)書いていきたいと思いますが、その際には珍しい不惑の動物を見るような目でご覧下さい。まったく問題ありません。
ただ、もし私の今回の文章を読んで、「そんなこと書いてるけれど、自分と違ってお前金持ってるだろ。しっかり生活設計してるだろ。これ、ネギ背負ったカモ引っかける為の何かだろ。」と思われたのであれば、
意外と他にもいるもんだよ、あなたみたいな人。
と考えて頂けたら嬉しいな、と思います。もちろんその財政状況に個人差は大いにあるのですが、何度も触れているように「みんなそれぞれに目の前の生活にいっぱいいっぱいで何とか頑張っていて、それぞれに自分は少し収入が少ない、もう少しお金があればと思っている」ということだけでも、同じ「そうではない僅か」な人たちに伝わればいいかな、と思っています。
この本もタイトル的には妻と共有するにはタイミングと話し方を考える必要があると思っています。ただ、私が買ったのではなく、妻が数年前に私への誕生日プレゼントの一つとしてくれた本でした。そんな妻が出会ってから20年(結婚してから10年)変わらず側にいてくれることに心から感謝しています。よくもまぁ、こんな男と一緒にいてくれるもんだ、と今でも思っています。いつもありがとう。