2016年10月13日、日本エイサー株式会社が11.6型コンバーチブル対応Chromebook R11を法人・文教市場向けに販売することを発表しました。販売は11月中旬です。またしても日本国内向けは法人のみですか。ここ最近はAcerもASUSも法人向けにしか新製品を展開しておりません。
11.6型コンバーチブル対応 Chromebook R 11 法人・文教市場向けクロームブック「C738T-A14N」「CB5-132T-A14N」 | プレスリリース | 日本エイサー株式会社
11.6型コンバーチブル対応クロームブック
液晶パネルが360°回転、マルチタッチ対応で、タブレットとしても使用可能
Google Play™ ストアに対応し、Chrome OS上でAndroidアプリを使用可能日本エイサー株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:詹 國良(ボブ・セン))は、法人・文教市場向けに、11.6型コンバーチブル対応Chromebook R 11「C738T-A14N」「CB5-132T-A14N」を販売いたします。
ベースモデルは既に海外でも好評のChromebook R11。現時点での数少ないGoogle Playストア対応モデルであり、Chrome OS上でAndroidアプリを使用可能です。私も既に海外より輸入して使っておりましたが、使い勝手は悪くありません。
日本国内法人及び教育機関向けばかりですが、それ程注目されているのでしょうか。
実際世界的にはChromeOS市場は現在急激に拡大してきていますが、こと日本においては例えばWindowsのOfficeのライセンス一つとっても、海外のような月額、年額制の料金プランよりもむしろ一括買い切り所有型のほうが好まれる文化です。ちょっとPCというものの所有ということに関する概念が世界とは違う気がしています。
まだネットでのクレジットカードでのショッピングが未だに危険(情報が漏れたら)と思われていますが、確かにリスクはありますが、むしろ保険とセキュリティののしっかり効いているクレジットカード会社でのトラブルよりも、自分が勝手にSNSで拡散させて炎上させてしまったり、勝手に変なサイトクリックして会社や公共機関の個人情報を流出させてしまったり、といったほうがよほど危険です。自己責任のパスワード管理がいい加減、というほうが件数としては遥かに多いと思います。
ただ、一般的には未だそうしたネットセキュリティに関してはクレジットカード番号の流出のほうが危険だと思われている世の中。ネットで全てを済ませるChromebookなんて「ネットに繋がなければ何も出来ないし、Officeもまともに使えないなら役に立たない」という印象が根強いのではないか、と懸念しています。
そんな日本において、Chromebookが果たして海外同様に法人向け市場が伸びるのか、受け入れられるのか。私自身はそうした世界にいないので分かりませんが、導入例なども含めて日本や世界の様々な現場を取材できたら面白いだろうな、と思っています。
今回販売されるC738TとCB5-132Tについて。
面白い選択肢だと思います。私が購入した当時は多少違いがあるような印象だったのですが、今回の展開を見る限りでは、純粋に色違い(C738Tが「デニムブラック」、CB5-132Tが「デニムホワイト」)というだけのようなので、黒のR11モデルが欲しい人にとってはむしろ海外輸入よりも手に入れやすいかもしれません。
ほぼ同スペックモデル(ほぼ、と書いたのは、文末で補足あり)のモデルが世界的にも人気ですが、なかなか使い勝手も良好です。日本では個人向けにASUSの10.1インチの同じコンバーチブルタイプのFlipが人気(というかこのモデルしかほとんど一般販売がされていない)ではありますが、同じタイプ、同じGoogle Playストア対応モデルとしても、より大きめ(手頃な11.6インチ)のキーボードと画面を持ったこのChromebook R11は高級感はありませんが、私も大変好きです。
こちらの動画では2016年のBest Chromebookの一つとして挙げられていますが、確かに良いモデルです。
最近になってようやく日本にもR11の4GBモデルも発送してくれるようになったのはとても嬉しいです。私の用途だと最近は4GBあると結構助かりますので。折角ASUSのFlipがそれなりに売れている(と思われる)のですから、個人向けにもこのR11を販売すればそれなりに受け入れられる気がするんですが。
ただ、こうしてこの話題のモデルすら今回法人・文教市場向け、更に11月中旬発売予定、と世界的な流れからは少し遅れ気味なことを考えると、日本の個人でのChromebook市場はまだまだ先行きは暗いかな、という気がしています。
より多くの教育現場等でも活用されて、そうした方面からの突き上げで「下手なラップトップPCよりもChromebookのほうが手頃だし、便利だね」と子どもたち辺りから声が上がり始めれば少し変わるのでしょうが、厳しいかな。これだけスマートフォン、更にiPhoneが全盛の特殊国となると。
今回もこのままだとこのR11日本発売は一部層には話題になっても、結局その層は欲しければ海外輸入に頼らざるをえないわけで、せっかくのこの魅力的なモデルもChromebook普及の大きな起爆剤にはなれないのではないか、と寂しく思っています。
最後に細かな違いを挙げてみました。
基本的に同じモデルですので、あとは法人向けか個人向けかで多少カスタマイズやトータルコストの違いが出てくる程度だとは思うのですが、最近表ばかり作っていたら何となく目に入ってきてしまったので、最後に現在海外で一般に販売されている同スペック(RAM及びストレージ容量)のモデルと比較してみました。
細かな違いではありますが、「CPU」と「バッテリー容量」が僅かに変更になっています。以下、少々マニア向けの話になりますので、興味のない方は飛ばされて全く問題ありません。
CPUは同じBraswellながら、CステッピングのN3150からDステッピングのN3060へ。
どちらのモデルも第4世代AtomのBraswellを搭載しています。日本国内法人向けがN3060、海外で通常販売されているモデルがN3150という違いはあるものの、その他は同じである2つの型番を並べてみました。バッテリー容量が海外の4GB版(3490mAh)に比べ同じ4GBながら若干少なく、ちょうど海外の2GB版(3220mAh)との中間に位置していますが、この辺りは特に問題はないでしょう。約10時間駆動です。
R11 日本国内法人文教向け | R11 通常販売モデル | |
Celeron N3060 | Celeron N3150 | |
開発コード | Braswell | Braswell |
ステッピング | D(2016年1月リリース) | C(2015年4月リリース) |
コア数/スレッド数 | 2/2 | 4/4 |
動作周波数 | 1.6GHz | 1.6GHz |
バースト周波数 | 2.48GHz | 2.08GHz |
グラフィックス | Intel HD Graphics 400 | Intel HD Graphics (第8世代) |
グラフィックス動作周波数 | 320MHz | 320MHz |
グラフィックス最大動作周波数 | 600MHz | 640Mz |
Celeron N3060/Celeron N3710など新ステッピングのBraswellが登場。Celeron N3050との違いは? – こまめブログ
2015年4月リリースのCステッピングのN3150から、2016年1月リリースのN3060に変更した、ということのようです。単純にN3150からN3160にマイナーアップデートさせたわけではなく、N3060に変更したところはコストの関係でしょうか。
結果としてコア数/スレッド数が従来の4コアからN3060になり2コアになりました。ただ、バースト時の周波数は従来の2.08GHzから2.48GHzに上がっています。
またグラフィックスも性能的には大きく大差はないようですが、名称が「Intel HD Graphics 第8世代」から「Intel HD Graphics 400」に変更になっています。こちらは反対に最大動作周波数はN3150の640MHzから600MHzへと下がっています。
バッテリー容量が通常モデルの4GB版と2GB版の中間くらいの量に地味に変わっています。
それぞれのモデル、並べるまでもなく今回は同一スペックとして展開させてきています。なのであまり眺めても面白みはないのですが、バッテリー容量が多少変更(3490mAh → 3315mAh)になっています。微差ではあるのですが。実用上は大した違いはないと思います。CPUが微妙に変更になったことで、この辺り多少違うのかもしれませんが、細かく見ていくと全く同じではないんだなぁ、と改めて思いました。
R11 日本国内法人文教向け | R11 通常販売モデル | |
CB5-132T-A14N | CB5-132T-C1LK | |
CPU | Intel Celeron N3060 1.6GHz | Intel Celeron N3150 1.6GHz |
RAM / Storage | RAM 4GB / Storage 32GB eMMC | RAM 4GB / Storage 32GB eMMC |
Screen | 11.6″ HD 1,366 x 768 IPS | 11.6″ HD 1,366 x 768 IPS |
Battery | 3315mAh 10時間 | 3490mAh |
Price | オープン価格 | $329.99 |
C738T 日本国内法人文教向け | C738T 通常販売モデル | |
C738T-A14N | C738T-C5R6 | |
CPU | Intel Celeron N3060 1.6GHz | Intel Celeron N3150 1.6GHz |
RAM / Storage | RAM 4GB / Storage 32GB eMMC | RAM 4GB / Storage 32GB eMMC |
Screen | 11.6″ HD 1,366 x 768 IPS | 11.6″ HD 1,366 x 768 IPS |
Battery | 3315mAh 約10時間 | 3490mAh |
Price | オープン価格 | $329.99 |
あとは気になる国内価格。とはいえ、基本的に法人向けの販売網になりますので、家電量販店等でも販売していれば購入は可能ですが、代理店経由などになると入手は難しくなります。また、法人向けは個人向けと契約の携帯が違うのか、価格設定等も何となく違う印象です。一部サイトでは既に税抜47,500円(税込51,300円)という価格が出ているところもあるようですし、そうなると一般的には技適も通っていますし、普通に海外から個人輸入してしまったほうが良いのかな、という気もしています。