元々「チプカシ」ことCASIO STANDARDのムーブメントの一つ、QW-593、「5」ことSEIKO 5に搭載された7S、それぞれのモデルを愛する私ですが、この2つと合わせて「人類のインフラ」になったムーブメントがあります。それがシチズンのCal.2035です。興味を持ち始めたきっかけは日本が世界に誇る時計ジャーナリスト、広田雅将さんのこちらのツイート。
「人類のインフラ」になったムーブメントは三つある。シチズンの2035、カシオのQW-593、セイコーの7S。特に2035。誰だか忘れたけど「あれは時計業界のMS-DOS」と評していた。
— HIROTA, Masayuki (@HIROTA_Masayuki) March 11, 2016
私も元々時計店で働いていましたが、これらのムーブメント、時計に惹かれ始めたのは辞めてからです。日々高級腕時計に囲まれていると、悲しいことですがこれらはついつい軽視してしまったり、忘れてしまうのです。
また今まで「チプカシ」「5」については暑く書きながらもこの2035搭載の時計については一切書いてこなかったのは、その代表的なモデルというものが見えないからです。
@SuzukiAkifumi 何が該当するんでしょうね。Q&Qは確かにそうかも。ただシチズンは、ブランドイメージ向上を目指していることもあって、あの価格帯の深掘りは控えてるように感じます。その代わりに、3針のクォーツムーブメントを外販していると。
— HIROTA, Masayuki (@HIROTA_Masayuki) March 11, 2016
カシオもセイコーも文字盤にはそれぞれメーカー名を入れています。(セイコーは一部除く)特にカシオにおいては社名に「チープ」が付いて格が上がるという希有な存在です。
[腕時計] 日本で暮らしていて「ありがたいなぁ」と思う日本製品の素晴らしさ。今回は主に腕時計について語る。長いよ。
また、QW-593も7Sもそれぞれに上記のように代表的なモデル(ブランド)が存在します。けれど、このシチズンの2035に関してはそれがありません。それが上記のツイートで私が思わず訊いてしまった理由です。
累計生産数30億個を超え、現在も全世界の総生産個数13億個の内約3億個を供給するデファクトスタンダード。
とはいえ、実は世界においてはこの2035がデファクトスタンダードのようなもの。なにせ累計生産数は30億個を超えるようです。
同社は1930年の創立以来、日本を代表する腕時計メーカーとして腕時計の製造を行ってきた。金属製ムーブメントである「Cal.2035」は20年以上にわたって世界中に供給されてきたロングセラー製品であるとともに、世界の年間総生産量の70%以上のムーブメントが2035仕様であるデフェクトスタンダードとなっている。現在も全世界の総生産個数13億個の内約3億個を供給している。
シチズンはブランドイメージ向上を目指していることもあって、地味に裏方に徹しています。結果として様々なメーカーやブランドの腕時計の心臓として気がつけばこのムーブメントが使われている訳です。カシオやセイコーとは違った、それが「シチズンらしさ」なのかもしれません。
Q&Qのサイトはあれど、その中にFalconは一切載っていません。コンセプトでもある「Q&Qは、Quality(品質の良いものを)&Quantity(より多くの人へ)」を考えると、Falconもその役割を充分に担っていると思うのですが、やはりこうした量販店で吊しで販売されるモデルというのはブランド価値を下げるモノなのでしょうね。
ちなみにGLOBAL SITEのほうには「Q&Q」ブランドとしてより幅広く展開されています。CITIZENであることは分かりにくいですが、世界で幅広く展開されている「Q&Q」は素晴らしいと思います。
目立たないけれど静かに人々の生活を支えてきたモノ。そして今も地球上で多くの人々を支え続けているモノ。
私はこういうモノがとても好きです。冒頭の広田さんの「人類のインフラ」に表されるような、目立たないけれど静かに人々の生活を支えてきたモノ。そして今も地球上で多くの人々を支え続けているモノ。そうしたものを手に取り、そこから広がる世界に想像を巡らせるのがとても好きなのです。
ではこの2035を搭載したデファクトスタンダードな腕時計とは何だろう?と考えたのですが、正直現時点の私には力不足で分かりません。ただ、シチズンの出しているQ&Q、更にその中でも「Falcon」と呼ばれるシリーズがその一つには挙げられるのではないか、と思います。
ここまで書いた以上、是非実際に使ってみたい、と今日急に思いまして、かといってAmazonで注文すると明日到着なので、もどかしさから家電量販店に無いか、と探したところ、ビックカメラは取扱い自体が全く無く、ヨドバシカメラはドットコムに在庫があるのみ。店頭には取り寄せ対応でした。チプカシなら電車一本、ビックカメラ店頭でも買えるのに。無念。
ということで、先ほどAmazonで注文しました。明日到着予定です。
どのモデルを選ぶか非常に迷ったのですが、今回はもっともレビュー数の多いモノを選びました。それが「V722-850」です。迷ったときには定番です。最も多く使われているモデル、最も多く人がレビューをしたくなるモデルには、そうなるだけの理由があると思っています。それが定番の定番たる所以です。
それだけ多くの人が持っているんじゃ、人と被るし個性がうんたら、と思われる方、大丈夫です。人と被ろうが何だろうが、あなた自身は世界に一人なんです。時計で個性が出るのではなく、世界に一人のあなたが引き立つ選択が個性なのです。
追記:2016年3月13日 14:00 更新
注文していた「V722-850」が届きましたので、早速レビューしました。
[1194-201603] 人々の生活を変えた時計ムーブメント、シチズン Cal.2035を搭載したQ&Q Falcon V722-850を腕にする。
その他の気になったQ&Qを挙げてみます。
ということで、明日届き次第早速写真も含めてご報告したいと思うのですが、今回はその他のQ&Q Falconについても見てみたいと思います。
インデックスのアラビア数字も要らない。シンプルこそ全て。の方にはこのVU46-850。ただ画像を見た限りでは残念なのはFalcon銘が少々文字盤の大きさに比べて主張しすぎに感じられること。ちょっと惜しい。でも実物は良いのかもしれません。
ブレスレットタイプのこの時計。ベゼルも太めなので、若干スポーティな印象もあります。価格を考えるとどうしてもステンレスブレスはチープ感が漂いそうですが、そのチープ感をうまく昇華(消化)出来るのであればこれもまた面白いと思います。
印字太い。これだけでかなり印象が変わりますね。ベルトを変えるとかなり雰囲気も変わりそうでこれはこれで面白いかもしれません。見やすさを重視させるのであればこちら。
レディース。品番から見た限りでは私が今回注文した「V722-850」とペアかもしれません。画像を見る限り、個人的にはこちらの文字盤のほうが綺麗だなぁ、と思います。腕時計はベルト一つでかなり印象も変わりますし、スマホがあれば時計は要らない、なんて風潮のある昨今、敢えてこんな時計をさりげなく腕にするというのも素敵だと思うのは私が単に時計好きだからでしょうか。