2025年6月に海外で開催されたChromebook Showcaseで発表、その後情報解禁とともに海外(米国)でもメーカー公式及びBestBuyなどで発売開始となった、Lenovo Chromebook Plus 14(日本国内での製品名は「Lenovo Chromebook Plus Gen 10(14型 MediaTek)」)。
MediaTek製のハイエンドCPU、Kompanio Ultra 910を搭載した初のラップトップPC(Chromebookが初)ということもあって、発表前からこのプロセッサー自体は国内でも注目されていました。
そうした中、7月1日に日本国内でもまさかの発表、今月中旬から下旬の発売ということになり、昨日から一部で話題になっています。
この文章作成時点ではLenovo公式サイトでの予約受付や販売は開始されていませんが、既にAmazon及び家電量販店のオンラインショップでは予約受付が始まっています。また価格も海外の価格と比べてもそこまで差がなく(公式リリースでは115,280円(税込))非常に頑張った印象があります。
既に昨日の時点で速報的にこの辺りの情報は出回っていますので、当ブログでは私が感じているこのプロセッサーの持つ可能性などを中心に書いてみたいと思います。
Lenovo Chromebook Plus Gen 10(14型 MediaTek) | 14型AI Chromebook | レノボ・ ジャパン
MediaTek Kompanio Ultra 910
今回の内容については、先週の当ブログのYouTubeチャンネルでの定期雑談配信で2時間以上に渡って考えと想いを語らせて頂きました。
流石に全てを見るのは厳しいとは思いますが、倍速や所々ピックアップしてご覧頂けるとより理解して頂きやすいのではないかと思っています。
お伝えしたかったことを今回の結論と合わせて始めにまとめておくと、
既に国内教育市場(つまり現時点での国内普及価格帯スタンダード)でも既にIntel製プロセッサーに勝るとも劣らない存在感を発揮してきたMediaTek製Kompanioプロセッサー。
そこに今回のハイエンドプロセッサーであるKompanio Ultra 910が出たことで、パフォーマンス次第では普及価格帯スタンダードモデルだけでなくハイスペック、ハイエンド市場の勢力図もMediaTek、Kompanioに塗り替えられる可能性を充分に秘めている。
とともに、特にハイエンドChromebookにおいてはこのKompanio Ultraがゲームチェンジャーになり得るとも思っている。
というところです。
この辺りについては前述のライブ配信でも繰り返し(MediaTek製プロセッサー搭載、またARM系プロセッサー搭載のChromebookの今までの流れも含めて)話しているのですが、誤解を恐れずに言えば、
Apple製品における、Mプロセッサー、要はApple Siliconが出た時くらいのインパクトが起こりうる可能性はあるな、と。
これはもちろん他OSのラップトップPCも含めてのインパクト、という意味ではなく、あくまでChromebook、ChromeOS端末において、という意味ですので、Appleユーザーの方々は噛み付かないで頂きたいのですが、それくらいこの10年、ハイエンドもスタンダードも含めて何十台とChromebookを使い続け、また情報を追いかけ続けてきた中で私が感じた印象です。

MediaTek公式のこちらのページでは、INFOGRAPHICなど詳細のPDFがDL出来るとともに、動画でその魅力を知ることが出来ます。
但し、まだ私自身は実機については先々月末に台北で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2025においてMediaTekのブースに展示されていたテスト機(試作機)を触ってみての印象しかありません。
まだ国内だけでなく海外においても入手した方が少なく、情報も少ないことから、今後実際に入手された方々のレビューが上がってくるにつれて、実際は期待外れだった、そこまででもなかった、といった可能性も充分にありますので、その際には「あぁ、やっぱりかぶはアテにならないな」と思って頂ければ、と思っています。
尚、COMPUTEX TAIPEIにおけるファーストインプレッション的なものに関しては先日動画にて公開しておりますので、興味を持たれた方は合わせてご覧頂けたら、と思っています。
尚、この時にはChromebookにおけるベンチマークとしてお馴染みのOctane 2.0 plusを用いて計測を行いましたが、先日、既に海外より個人輸入して手元に届いているタケイマコト(@pcefancom)さんの一連の実機ファーストインプレッションポストによると、どうも現時点ではOctaneのスコアが安定しないとのこと。
Lenovo Chromebook Plus 14
明らかに体感としては
MediaTek Kompanio Ultra 910>>>>>MediaTek Kompanio 520
なのですが。
スコアは高スコアが出ないw3回目の数値 pic.twitter.com/DOqFbvRsMB
— タケイマコト (@pcefancom) June 30, 2025
何度か計測したことで70,000くらいのスコアが出ることもあったようですし、実際の体感速度に関しては普及価格帯スタンダードのKompanio 520よりも充分に快適なようではあるのですが、その辺り考えてみると、まだ最適化が進んでいないのか、そもそもが結構プロセッサーの使い方自体にクセがあるのかは、これからの情報待ち、という部分はあるかもしれません。
Kompanio Ultraの魅力はハイパフォーマンスであることよりも、ハイパフォーマンスでありながらバッテリーの持ちが良いこと
さて、前半で「ゲームチェンジャー」「Apple Silicon並のインパクト」と言っておきながら、理由はそれだけかよ、と思われるかもしれませんが、良く考えてみて下さい。
Apple Silicon、もちろん様々な強みや魅力はあるとは思いますが、多くの方にとって、何が衝撃的でしたか?(動作がIntel製プロセッサーを載せていたときよりも安定していた、とかは別)
あれだけ良好なパフォーマンスを出しながら、バッテリーがしっかり持ってくれる(一日使っていても不安がない)
ということだったと思うのです。一部のマニアや専門的な方を除けば、一般の人にとっては。
最近はMacBook以外でもSnapdragon搭載モデルが出たことで10時間前後持つモデルが例えばWindowsノートPCで出てきてはいます。
ただ、WindowsノートPCにおいてはまだまだNPUを充分に活かせる機能が出てきていない(恩恵が分かりにくい)というだけでなく、(ある程度対応アプリは網羅されている、とは言われていますが)未だにアプリの互換性の問題、対応はしていてもネイティブ動作しない(例えばAdobe Premiere Pro)、そもそも対応自体していない(ATOK・・一応同じような非対応のアプリ内(一太郎など)でのみ使える)などの問題もあり、使い勝手においてはまだまだ不十分なところが残っています。

MediaTek Kompanio Ultra 910の魅力の一つが「ファンレス」であること。
とともに、ARM系プロセッサーということもあって「薄く」「軽く」作りやすいのも強み。
そう考えると、未だにハイスペックのラップトップPCはバッテリー持ちの悩みを抱えている。それはChromebookにおいても同じで、ハイスペックChromebookの魅力はある程度Chromebookを日々愛用している方の間では認知されてきてはいるものの、やはり悩みは他OS同様に「バッテリーの持ちが悪い」ということです。
ちなみに私の愛用しているハイスペックChromebook、2台ともに3~4時間程度となっています。
もちろんそもそもとして外でコンセントのないところで4時間以上も使うなよ、という意見もあるかもしれませんが、用途、仕事によってはそうした状況も充分に考えられる方も多いでしょうし、何よりバッテリーの持ちは普段使いにも安心感を生んでくれます。
その点においては、ChromebookにおいてもWindowsにおけるSnapdragon搭載のPC同様に、ARM系プロセッサーであるKompanioを搭載したモデルは存在していましたし、そのバッテリー持ちの良さは特に学校向けモデルとしては評価されて、今年のGIGAスクール2ndにおいても採用される例が非常に増えました。
ただ、ChromebookにおけるこれらARM系プロセッサー搭載モデルの悩みがありました。それが
「パフォーマンスが現行のIntel製プロセッサー搭載モデルと比べると劣る。むしろ2世代くらい前のプロセッサーと同じくらいのパフォーマンス。」
ということでした。更にいえば、IntelでいえばCoreプロセッサーのような高性能なプロセッサーがほとんど存在していませんでした。パフォーマンスの点でどうしても劣っていたんですね。
そんな中での今回のKompanio Ultra 910です。
前述のように、現時点では実機においてはベンチマークの結果はどうも安定していないようではあるのですが、私の試した試作機においてはIntel製プロセッサーを搭載した現行ハイエンドChromebookに勝るとも劣らないくらいのスコアを叩きだしていました。また、それでいてバッテリーの持ちがメーカー公称では16~17時間、となると実使用においても7~9時間程度は持つのではないか、と期待出来ます。
Lenovo Chromebook Plus 14
6時間30分で10%を切りました。
実質6時間と考えておいたほうがいいかなー。
動きはIntel Core i7なのと変わらない感じで6時間はすごい。2時間過ぎたら危険信号に慣れてしまっていたので、長持ちな印象です。 https://t.co/ukn4qnqpMK
— タケイマコト (@pcefancom) July 1, 2025
「いつも2時間過ぎたら危険信号」的な使い方をされているタケイマコト(@pcefancom)さんの使い方でも実質6時間程度は持つ印象を受けたそうです。
この辺りは人によって前後はすると思いますが、今回タケイマコトさんが購入されたモデルが有機EL、OLED搭載のモデルということを考えると、タッチ非対応のノングレアの通常液晶を搭載したモデル(同時に発売予定)であれば更に持つ可能性も充分に考えられます。
また、先ほどのSnapdragon搭載WindowsノートPCの際にも触れた「対応アプリの問題」。
これに関しても、一般的に「ChromebookのOSはAndroid(OS)」といった誤解が普通にされているように、PCというよりもむしろスマートフォンやタブレット的なイメージ、使い方を考えている方も多いかと思います。
実際にAndroidアプリの対応状況を考えても、(最近はIntel製、というよりもx86系プロセッサー搭載モデルでも大分アプリは対応してきましたが)ベンチマークの結果では明らかにIntel製プロセッサーの方が高いスコアを出しているのに、実際にはARM系プロセッサー搭載のモデルの方がアプリが快適に動く、といった例も多々あります。
つまり、
元々Chromebookの場合はIntel製プロセッサー(x86系)よりもMediaTekやQualcomm製プロセッサー(ARM系)のほうが相性が良かった
とも考えられます。ただ悩みはこれらのARM系プロセッサーは
元々バッテリーの持ちは良くてもパフォーマンスが物足りない部分があった
のです。
元来デスクトップPCの延長としての、手元、ラップトップで使えるPCと考えられていたからこそ、Intel製プロセッサーの独壇場でもあったわけですが、最近はApple Siliconなどを考えてみても、むしろ持ち運ぶことが前提となってきている。
いつでもどこでも開いて使うことが前提のラップトップPCはデスクトップPCとは別物、むしろ従来のPCの遺産を引きずるのではなく、スマホやタブレットの延長としてのプロセッサーの考え方のほうが合ってきている、とも言えます。
もちろんまだ未知の部分も多く、思ったよりも期待外れの可能性も充分にある
長くなりましたが、今回書いたようなことも含めて先週2時間以上ダラダラと話させて頂きました。
実際にライブ配信中も、リアルタイムでご視聴頂いた方の中で、今回のモデルが「Intelだったら買わなかった。MediaTekだから欲しい」という声も幾つか頂きました。私も同じです。
それくらい、今回のMediaTek Kompanio Ultra 910は、WindowsユーザーがSnapdragon X Eliteなどに期待する以上に、従来のChromebookとは違う可能性を感じさせてくれるだけの魅力を持ったモデルとも言えます。
また、今回のモデルに関しては発売前から「幾らNPUが50TOPS以上って謳っても、そもそもChromebookでNPU活かせるような機能なんてあるの?」と思われていたのですが、実際に蓋を開けてみたら、このモデル専用のAI機能なども追加されているようです。
ということはGoogleとしても今後ChromeOS自体にこの手のNPUを活かせるような機能をアップデートの中で加えて行く可能性も出てきた、とも考えられます。
その意味でも私も欲しい、何よりこの大きな流れに乗りたい、試してみたい。もしかしたら従来のハイスペックChromebookのイメージが大きく変わるかもしれないこの節目に、是非いろいろと触ってみたい、と思っています。
ということで、今回はそんなMediaTek Kompanio Ultra 910搭載の初のラップトップPC、Lenovo Chromebook Plus 14(日本国内での製品名は「Lenovo Chromebook Plus Gen 10(14型 MediaTek)」)の国内発表、発売決定ということもあり、その想いを久しぶりに暑苦しく書かせて頂きました。
今後も引き続きこのブログだけでなく、YouTubeチャンネルにおける毎週金曜日20時からのChromebook雑談ライブ配信でも話題にしていきたいと思いますので、興味を持たれた方はこのブログとともにチャンネルの方もチェックして頂けると嬉しいです。

底面は往年の名機Pixelbook Goを思わせる波打ったもの。
ホールド感も上がり、またGoの後継機的な印象を持たれている方もいます。
あれ、ここまで書いておいて肝心の国内価格等に触れておりませんでしたが、この文章作成時点ではAmazon及び家電量販店のオンラインショップで予約受付中となっています。
一応現時点では最上位モデルのみが掲載されている模様(国内では6モデル発売予定との噂)
Amazonでは「メーカー1年保証の中に動産保証が付与され」た「Amazon.co.jp限定」として、その分が上乗せされた価格、124,740円で予約受付中。
発売予定日が7月25日ということで、お届け予定は「7月26日-28日にお届け」となっています。
また、ビックカメラでも予約受付中。こちらは115,280円に11,528ポイント(10%)がついて実質10万円強となっていますので、かなり魅力的。(となると、従来のパターンだとAmazonもそれに対抗して価格を下げてくる可能性もある?)
ということで、今月下旬からは国内での入手報告も増えてきそうですし、果たして私のこの予想、妄想がどの程度現実のものになるのか(もしくは気持ち良いほどに外すのか)私自身も楽しみに待ちたいと思います。
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