今まで色々な腕時計について時折触れてきましたが、私を以前から知る人にとってはある時計ブランドについて一切触れていないことを不思議に思われるかもしれません。
今日はそんな時計について。
私に影響を与えてくれた腕時計は色々あります。その時々に出会った時計が私にとって想い出の一本であったり、その後の方向性を決めたり、もしくは私の価値観を変えてしまったり。
私がこの時計について触れなかったのは、私にとってあまりに身近にあり続けたために、またある意味では関係者でもあったために、個人のブログという場ではあっても果たしてどう書いて良いのか迷っていた、悩んでいた、というのがあります。
そんな時計がこの春、10年振りに新しくなります。今回はその場にいることが出来ないのは残念ではあるのですが、その分一ユーザー、一ファンとして眺めることが出来る、というのは新鮮でもあり、また良いことなのかもしれません。
それが、1995年に創立した日本の時計ブランド、GSXです。
GSX WEDDING COLLECTION(GSX904WED GSX903WED)
今、私の手元に残っている数少ない腕時計の一つが、1995年に創立した日本の時計ブランド、GSXの代表作、GSX904です。写真は女性用のGSX903とペアでWEDDING COLLECTIONとして発売された少し特別なモデル。文字盤12時位置にダイヤが埋め込まれ、ケースとブレス全体にプラチナコーティングが施されています。
こちらが女性用のGSX903(写真はGSX903WED)。
こちらが男性用(でも女性が腕にするとなかなか素敵な)GSX904(写真はGSX904WED)。
裏蓋は904は通常シースルーなのですが、このモデルは別途刻印が可能な裏蓋が付いています。私は妻と結婚した29歳の時に、結婚指輪が好きではない妻に合わせて、また私が時計好きでもあったこともあり、この時計をペアで購入、妻に贈りました。
初代GSX900は私を腕時計の世界へ誘ってくれた一本。
初めてこのGSX900Lineを見たのは大学生の頃。新宿の、当時GSX販売の総本山だったお店に時折入荷していた(総本山であっても常に在庫があるわけではなく、取扱い店舗も当時はほとんどなかったので、一期一会のようなもの。ただ限定ではないので「待てば必ず買える」というものだった。)このモデルに惹かれました。定番は4色展開です。
当時としては5万円という金額は出せないものではないものの、なかなか勇気が要ったのも確か。まだファッション等にも目覚める前です。ようやく手に入れたGSX900SBLは、あまりの嬉しさにその後初めての渡米(叔父の所に遊びに行った)時にも腕にしていき、向こうで叔父の飼っていた犬に噛みつかれ、表面のガラスが欠ける(割れはせず、犬の歯形が残る)という想い出付きでした。(当時ガラスはサファイヤクリスタルではなくミネラルクリスタルだった)
その後こちらで働くことになった時の面接でもその話をしたのは今では懐かしい想い出。そう、私はその後、このGSXを販売している会社に就職したのです。
写真撮影が非常に難しい美しい三次元曲面構造の腕時計。
何となく言葉が当時使っていたものに似てきてしまいましたが、GSXのラインは色々ありますが、特にこのGSX900LineはGSXと名前がつくラインのフラッグシップです。特徴の一つが、この写真を撮ろうとしてもなかなか上手く撮れない美しい三次元曲面構造の本体です。以前雑誌で取り上げるにあたってよくお会いしたプロのカメラマンの方が、撮影に来る度に嘆いていました。
そんなモデルなので、私が手元にあるiPhone程度で特に補正もせず撮るとこうなります。
顔は映るわ表情は出ないわで大変。実際、当時からコアなファンにお会いしていましたが、皆さん写真を撮るのは難しい、と言われていました。今探しても、なかなか本体そのものの本当の魅力を伝えられている写真というのはほとんど見当たりません。
離れて間もなく10年近く経つけれど、それでも語りたくなることは山ほどある。
そう、幾らでもあります。それは単に販売する側としてのセールストークとしてではなく、そもそも私はこのGSXに惚れ込んでいたからです。もう販売側以前に一コアファンだったんですね。(その気持ちは今もまったく変わりませんが)
ちなみにGSXはガワ時計、中身はSEIKO 5と同じ7Sじゃん、と揶揄した文章も当時ありましたが(GSX900はそうしたマニアにはウケの良いSEIKOの名機の一つ4S、GSX904は7S)私がこのブログでも暑く語っているように、7SこそSEIKOの生み出した最高のムーブメントの一つだと思っています。いや、だからGSX904が7Sになった訳でも、それが好きな理由な訳でもないんですが。
スペック云々含めて、語れる部分は幾らでもあるんですよ。そりゃそうだ、元々販売側でしたし。いや、それもむしろかなり濃い場所にいましたので。当時のGSXのコアなファンの皆さま、お久しぶりです。
その語りたいことは、単なる熱く暑いコアなファン層同士が語るマニアトークです。それも使っている素材がウンタラ、みたいな話ではなくかなり感覚的な部分。例えばGSX900Lineが一番美しく見える場所はどこか。ある人は屋内から外に出る直前にふと腕元を見た時の、こんな角度の時、と言う。またある人は、いや、デパートのトイレで大きい方をしている時にふと腕元を見た時の光の当たり具合こそが素晴らしい、と。あ、それ、私です。
約10年振りの復活。GSX906Line。
あまりに多くの想い出と、出会いと、そして長い時間が詰まっているために、正直文章にするのに躊躇いがある時計です。思い入れが強いあまり、文章にしようとすると軽くなってしまうから。私にそこまでの文章力は無い、いつかそうした想いを発信できれば良いのだけれど、と思いながらここまで来てしまいましたが。
そんなGSXもここしばらくはポツポツと新しいモデルを出してはいたものの、最近は寂しい状態が続いていました。もうこのままGSXは昔の想い出として胸にしまっておくしかないのかな、いや、だからこそそろそろ何か書いておきたいな・・。そう思っていたところの、今回の10年振りの復活、それもGSXの代表作、900Lineがより美しくなっての復活です。GSX906Line。今までと変わらぬ4色展開。色も形も懐かしい、けれど更に磨き上げられたフォルム。
お値段ちょっと上がったな・・いよいよ10万近くになってきたのか。こればかりは手に取ってみないと何とも言えないけれど。そして初回は限定版も。
ということで、もう離れてだいぶ立ちますので、そろそろ個人的に熱く暑くもうっもうっって想いを語っても良いですよね?20代から30代にかけての私の人生に大きな影響を与えてくれたこの時計について。(もちろん影響を与えてくれた人や、時計の内情を暴露したいわけでは全くありません。単なる一ファンとして、です。)
その内Google+あたりでコミュニティ作っちゃったりして。いや、その前にもう少し靴のコミュにコメントしようよ、という突っ込みが入りそうです。間もなく100人になります。皆さん素晴らしい投稿の数々、本当にありがとうございます。別に私のコミュではありませんが、これだけたくさんの方と出会えた、というのは本当に嬉しいです。作って良かったです。
今回のGSX906の発売は3日後の2016年4月29日。今の私には幾ら熱い想いがあっても、それきた、とポンと買える状況にないのが切ないですが、これからも一ファンとして見続けたいと思っています。
ということで、最近はスマートウォッチばかりでしたが、久しぶりに取り出したGSX904WEDをしばらく使おうと思っています。