先ほど「革質」について触れた舌の根も乾かぬうちにこんなことを書くのも何ですが、腕時計のレザーベルト(レザーストラップ)は普段どんな基準で選んでいますか?
もし汗かきだし消耗品だから適当に家電量販店の吊しの安いのやAmazonで適当に選んでいるよ、というのであれば、一度試してみて欲しいことがあります。
それが、ベルトを適当に選ばずに、きちんと意識してお金をかけてみること。
腕時計はベルト一つで表情が大きく変わります。
今回は私が最近大変気に入って愛用している腕時計、CITIZENのQ&Q Falcon V722-850を例にご紹介したいと思います。
CITIZEN Q&Q Falcon V722-850
この時計については購入時に暑く書きましたが、実売1000円未満のクオーツの時計です。と、ここまで書いた時点で全く興味を無くす人から、「チープカシオの流行に便乗しただけか」と分かったようなこと言いたがる人がいるのは分かりますが、もう少しだけ読んでください。
このV722-850、素性だけでなく、デザインも非常に完成されているんです。
ちょっとFalconのロゴが大きいとか、気になる部分がなくはないですが、腕にした時の収まりは大変良いです。そして、シンプルな時計というのはそれだけでデザインバランスが難しい。シンプルな分、誤魔化しが効きにくいからです。
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最近はシンプルな時計は「ダニエル ウェリントン」を筆頭に一部で人気ですが、決してこのデザインが特別なわけではなく、このブログで時々取り上げる「Knot」など、デザインウォッチにも幅広く使われています。でも「NOMOS」あたりまで頑張る方はあまりいないのが現状ですが、それでも構わないと思っています。
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シンプルは使いやすく、合わせやすく、飽きがきづらい。適当に肩の力も抜けていて良い。などなど幾らでも理由は作れますが、今回のCITIZEN Q&Q Falconがその部類に入るかというと少々難しいところ。人によっては「オッサン時計」だなんだと言われやすい類いの時計だからです。
腕時計はレザーベルト一つで表情が変わる。
このV722-850、標準では艶のある型押しの牛革のバンドが付属しています。
これがなかなか難しい。らしいと言えばらしいのですが、一歩間違えば本当に上記の「オッサン時計」になってしまうのです。オッサンオッサン言ってますが、私も既にオッサンの年代です。
そこで、こちらのベルトを私の手持ちの中から「FLUCO Horween Shell Cordovan シガー」に換えてみます。
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こちらは「掘り出し物」で購入したものなので、同一商品はありませんが、上記のように通常ラインのFLUCOのHorween Shell Cordovanのベルトは今も販売されています。市場価格6千円~8千円。
ここで、「1000円の時計に8000円?アホか」と思われた方。あまりに勿体ないです。「たかが1000円」「使い捨て」と思って使っているから、時計が映えないんです。腕時計自身もそんな気持ちで扱われたら期待に応えたくても応えられません。
CITIZEN Q&Q Falcon V722-850+FLUCO Horween Shell Cordovan シガー+SATORI美錠
昨日Instagramに上げたV722-850です。もちろんInstagram補正はかかっていますが、たかが1000円の使い捨て時計だとは思われないのではないでしょうか。
これと逆のことをやってしまっている方が結構多いのです。何十万もする腕時計を「男の唯一の装飾品は高級腕時計」と一生モノのように買ったものの、いい加減に雑に扱って、特にクロコのベルトから異臭を放ってしまっている方など。どんなに良い時計であっても、基本的に自己満足の世界です。そして、その時計が魅力を出せるかどうかは、価格ではなく、その腕時計に対する愛情です。
ちなみにこの腕時計の美錠には、このブログでも何度か取り上げているBAMBIが出している松阪牛を用いた時計ベルト、「SATORI」に使われている尾錠(美錠)を付けています。
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時計本体の価格に左右されずに、自由な発想で楽しんでみて欲しいなぁ、と思います。
クオーツの腕時計というだけで馬鹿にする方も未だにいますが、腕時計があなた自身を決める訳ではありません。どんな時計であっても、愛情を持って使い続けていくのであれば、それはその人にとっての一番の時計です。
ただ、そこにちょっと工夫を施してみる。これは単に質に拘ってとにかく高いベルトを選べば良い、という訳でもありませんが、かといって難しいことでもありません。
1000円前後の時計、と思ってしまうと、ついカジュアルな、外しで付ける、といったイメージを抱くことも多いのですが、このQ&Q Falconに代表されるように、日本の腕時計というのは表面のデザインに凝らなくても(派手に装飾しなくても)既にかなり完成されています。流行や話題に乗る必要はないと思うのです。そして、国産クオーツは充分に世界に誇って良いムーブメントです。いや、海外の方が既にむしろ冷静に地味に評価してくれているかもしれません。
何も同じV722-850である必要はまったくありませんので、手元にある愛用の(けれどあまり今までベルトを意識してこなかった)腕時計でも色々と試してみて欲しいなぁ、と思っています。