Apple Watchの発売間近です。恐らくネットでは発売日レビューも大量にあげられるでしょう。ただ、その多くは恐らくデジタルガジェットとしての機能面や使い勝手、アプリのレビューなどが中心となると思います。
オススメアプリや使い方など。
以前、私はこのApple Watchに対して、次のような印象を持ちました。
で、これをどういう位置づけ、意味付けをするかで、全く価値観が変わってくると思うんですね。
個人的には時計の形はしていますが、全くの別物。別ジャンルの物だと。時計だと思って使うと不便さばかりが目につくかもしれません。けれど、時計だと思わなければ面白い。難しいですが。
ここ最近になって、ちょっと考え方、捉え方が変わってきました。上で書いたことが間違いとかそういうことではなく、改めて考えてみると。
これ、時計好きには充分に魅力的な腕時計じゃないか、と。
https://youtu.be/gCluaJe3lb4
以下、腕時計として考えてみると、思った以上に魅力的なことに気付きます。
今盛んに言われている問題の幾つかは、腕時計と考えると大したこと無いよね?
バッテリー実働1日?腕時計として使うなら特に問題ないでしょ。
これをライフツールだ、ライフハックだなんだと捉えると(実際意図しているところはその辺りかもしれませんが)不便は感じるかもしれません。寝ている間も腕にしなければならないのに、充電する必要があるわけですし。まぁ心拍数だけが全ての機能ではありませんが。
でも、腕時計として見るなら、一日動けば充分な気がしません?それも時計好きなら。帰ってきたら外すでしょ。だってこれ一本しか持ってない訳じゃないですし。外している間は充電しておけば良いんです。
そして、時計好きにとって、1日は確かに長くはないけれど、機械式時計と比べれば極端に短いわけでもない。よく知らずに自動巻きの時計辺りを買ってしまった人が、土日着けずにいたら止まってた、不良品だ、と怒鳴りこんでくるという半分冗談のようなことが時々ありますが、使わない間は止めておけばいいんです。
手巻きなんて、確かにしっかり巻き切っていれば確かに48時間前後動きますが、当然巻き始めと巻き終わりとでは精度に差が出てきますので、時計好きの方はある程度ご自身のパターンの中で1日ごとに手巻されている方も多いと思います。
ってApple Watchは別に機械式時計じゃないでしょ。
と突っ込みが入ると思いますが、その通りです。機械式時計ではありません。けれど、クォーツ時計の良さを「放置していても何年も動く」ことだと思っている方を除けば、普段スマホ毎日充電してる訳です。スマホと同じつもりでいればいいんです。
そして個人的には、腕時計も靴と同様、コマメに気を配ってあげる位のほうが圧倒的に長持ちします。これ不思議ですね。モノの耐久性だけでなく、そこには単なる飽きの問題もありますが。時計屋だった頃、ホントよくもまぁここまで汚せるものだ、というくらい、ブレス部分の隙間が真っ黒に垢や汚れが詰まっていて、異臭を放っている腕時計をメンテナンス(調子が悪い、と)に持ってこられる方が時々いましたが、そりゃここまで放置状態ならどんな凄いものでも調子悪くなりますって。せめて汗くらい拭いてあげて下さい。
身に付けるものだからこそ、一日を終えたら軽く拭ってあげたあとで充電する。これ、別に特殊でもなんでもないですよね?電池だろうが機械だろうが、一日の終わりにはやって欲しい習慣だと思っています。
たかがデジタルウォッチ、クォーツでしょ?
単なる時計に5万〜8万円?おかしいでしょ?腕時計なんてスマホあれば充分なんだから、というあなた。
まずスマホあれば充分の人は今回の私の文章の対象には入っていませんので、ごめんなさい。あなたに納得してもらうことは出来ないと思います。だってタイトルの「時計好き」に入ってませんから。
次にデジタルウォッチ、クォーツ云々に幾ら、というあなた。本当に時計好きではありませんね?
まずは10万、20万近いデジタルウォッチも普通に存在する(私以前販売していました。)ということ、そしてクォーツ云々言うなら、例えば一部で大変人気で私も愛用のSEIKOのGPSソーラーウォッチ、アストロンあたりは15万円前後です。
だって、あれGPSだよ、すごくない?ってApple Watchはどうですか?
世の中電波ソーラーだなんだで8万10万は幾らでもあります。そしてグランドセイコーのクォーツは20万円オーバーです。私もグランドセイコーは大好きです。
そうした視点で見てみると、Apple Watchの仕上げって凄い。
さて、ではそうした視点で見てみると、Apple Watchって5万から上は100万超えの価値はあるのでしょうか。100万は正直分かりません。ただ、私の中ではここ最近眺めて見た限りでは5万円から10万円の価値は充分過ぎるほどにあると思っています。それくらい、Appleは今回のモデルのケースの仕上げや時計の文字盤の表示にはこだわっています。
この辺りは私の言葉よりも、時計ジャーナリストの広田雅将さんの言葉をお借りしたいと思います。
勿論記事の全てを引用するわけにはいかないので、私の中で勝手に一部を抜き出しましたが、誤解を生まないよう、興味のある方は下記の記事をお読み下さい。勝手に一部分だけサラリと流して読んで、広田さんにクレームしないように。
Apple Watchは高級時計の夢を見るか?(前編)–iPod時代から続く時計との関係 – CNET Japan
時計関係者には周知の事実だが、かつてデジタル端末を作るにあたって、Appleはケースの製造や仕上げの一部を高級時計のケースメーカーに委ねた。つまりAppleの外装におけるベンチマークは、ウォークマンやG-SHOCKではなく、高級時計だったわけだ。そしてAppleは高級時計の仕上げと製法を大量生産に向くよう最適化──別の言い方をすると技術移転を行い、デジタル端末のみならず、あらゆるプロダクトに反映させていった。好例は、今や驚くべき質感を備えたMacBookだろう。
なぜスタバでドヤリングの定番といえばMacbookなんでしょう?もっと性能の良いものは幾らであるにも関わらず、老いも若きも皆あのリンゴ印のノートです。
それは、他のメーカーのモデルに比べて圧倒的に格好いい、美しいからだと思うんですね。何が人を惹きつけるのか分かっていて、そしてそこにしっかりとコストをかけている。それを大量生産の中で生み出せる仕組みを作っている。
初代iPod以降、さまざまなプロダクトに高級時計の仕上げと製法を盛り込んできたApple。実際Apple Watchを手に取った感想をいうと、ケースの仕上がりは、超高級時計もかくや、というウェブサイトの写真(あるいは画像)には及ばないが、かなり近い次元には到達した。それは多くの高級時計のケースを上回っているし、今後Appleは、さらに質を改善するだろう。
5万8万の仕上げじゃないそうです。確かに私自身元は時計屋の端くれでしたので、普通の方よりは多少は高額の腕時計見てると思いますが、5万8万であれ出されちゃうと、巷の最近絶賛値上げ中の15万20万の腕時計を見るのが切なくなってきます。大体良いかな、と思うと30万超えしていたりしませんか?
Apple Watchは高級時計の夢を見るか?(後編)–弱点とアップルが試みた「再定義」 – CNET Japan
「再定義」の一例が、装着感だ。時計メーカーはようやく再認識しつつあるが、着け心地ほど腕時計にとって重要な要素はない。仮にあなたが高価で見栄えのする時計を買ったとしよう。1週間は周囲がもてはやしてくれるし、嬉しくて常に腕に巻いているだろう。しかし着け心地の悪い時計は、やがてテーブルの上に置かれ、いつしか収納ボックスに姿を消すに違いない。普段使いできる時計とは、消去法でも残る時計のことであり、そのもっとも大きな条件のひとつが、着け心地になる。
普段使いできる時計とは、消去法でも残る時計。さすがです。これ、別のところでも使いたい名言です。
コストダウンのため針を使いまわすのが当たり前になった現在、針がインデックスに届く時計が、どれほどあるかは心もとない。液晶表示だからできたギミックだが、Appleは時計メーカー以上に、「お約束」を守ろうとしている。
今巷にある中途半端な高額時計よりも余程時計らしい時計。Appleは時計メーカー以上に時計らしさを求めています。
8万円前後で下手な高級時計以上に「らしい」腕時計を楽しめるなんて贅沢です。
https://youtu.be/1Ql0Z8Il73s
これ、Appleだから出来たと思うんですよね。Appleくらいの資本力と今までの蓄積と発想がないと生まれない。この辺りは流石です。なんて書くと信者だと思われるかもしれませんが、安心して下さい。今手元にiPhoneもiPadもMacbookも、Apple製品一つもありませんから。
ここ最近のブログの流れを辿っていただくとお気づきのように、Chromebookから始まり、Zenfone 5とここ最近Googleへの依存度が高くなってきています。私、これAppleかどうかなんてどうでも良いんですよ。でもAppleじゃないと今はまだ出せないと思うんです。残念ながら。
と、散々書いてきましたが、じゃあお前はどうするんだ、って?そこ、大切ですよね。勿論買いますよ。で、使います。CASIO STANDARD DIGITALやSEIKO 5の出番が減るのは残念ですが、しばらくはメインの予定です。しかも、機能一切使いません。iPhone無いですし。
あくまで腕時計として割りきって魅力を堪能したいと思います。これ、色々なおまけが付いてますけど、私にとってはとってもC.P.高い、下手な腕時計よりも時計を楽しめる腕時計だと思います。
最後に。他人とのカブりが気になる方へ
カブり気にしている人いますけど、大丈夫です。カブりませんから。まず興味ない人は買わないでしょう。買っても中途半端な目的で買うとまだ使い勝手は洗練されていないので色々と不便だと思うんですよ。ファッションアイテムとしてどうかと言われても、腕時計好きとしては色々ソソる部分はあって楽しいのですが、そういう点って一般的にはどうでも良い部分だと思うので。
第一、世の中見たら腕時計なんてロレックスか一部の宝飾ブランド程度しか知らないでしょ。他は一緒くたに腕時計で終わりです。気にもされません。Apple Watch?多分発売後しばらくは興味ある人からは話題にされるでしょうが、それ以降はまだ一般的に認知されるまでには時間がかかると思います。
それよりもその第一弾として、大抵こういうモデルってファーストモデルが一番コストと手間がかかってることが多いので、その時計としての魅力を楽しむのも良いのではないか、と思うのです。
ここまで書いておいて、買えなかったら寂しいですが。