先ほどのラルフローレンの話を上げた後、ふと思い立ち、このタッセルローファーの靴磨きをしました。
私がラルフローレンの靴を結構好きな理由。
靴を磨くのは、気分転換になって良いです。特に何かに行き詰まっていたりする時には、最適です。編み物などもそうですが、人は指先、手先だけを黙々と無心で動かし続けていると、リラックス効果があるそうです。勿論、それが好きでもないことですと逆効果かもしれませんが、靴磨き、特にポリッシュに関しては結構無心になれるので、私は好きです。
ポリッシュはつま先と踵だけに留めたほうが良いと言われる理由。
色々あるとは思いますが、屈曲部分などもポリッシュしてしまうと、その部分が割れやすくなる、というのが一般的。表面に一枚ワックスの薄い膜というか、層が出来るので、元々曲がらない、芯の入ったつま先や踵に留めたほうが良い。
私も靴屋の時ならそう言うし、今もしそういうことを聞かれたとしても、同じだと思う。
それは、靴磨き自体が人それぞれやり方が無数にあって、正解が一つではない中で、ポリッシュの仕方も人によって光らせ方も様々。で、コツを掴めば光らせることは出来るのだけれど、うまくいかないと延々と磨き続けてストレスだけ溜まってしまったり、革の表面を曇らせてしまったり、厚塗りし過ぎてしまうことも多い。
そんな中で、屈曲部分も含めてポリッシュしてたら、厚塗りでもしてたら、益々醜くなってしまうから。靴にも良くないし。
それと、個人的に、全体をピカピカに光らせるのが好みじゃないのもあります。つま先とせいぜい踵くらいで、うまく光るところと鈍く艶が出るところと、マットなところをうまく組み合わせたほうがキレイだと思うから。
それでも最近は…
今日のタッセルローファーもそうなのですが、物によっては最近はそれでも全体にポリッシュかける時が結構あります。その内の一つがコードバン。
コードバンにそもそもポリッシュすること自体、かなり賛否あるのだけれど、もうこれはコードバン自体表情に好みが出やすいので、どうこう言ってもしょうがないです。だって、ダークブラウンなんて、艶によってはゴキブリですよ。まぁ、革のエイジング自体、自己満足の世界で、他人にとっては単なる汚い革です。
コードバンについては、その色の抜け方や、深いシワの入り具合、その部分の陰影などに好みが出るのですが、これをポリッシュかけてみると、意外と面白かったのが最近の発見。曲がる部分もどうせ毛羽立って色が薄く見えるんだから、革の表情考えてみても、今更ひび割れも何も、割れたらその部分をまた綺麗にすればいいじゃん、と思ったのがきっかけ。
全体に薄くポリッシュした後は。
一日の終わりにポリッシュする時のように、若干湿らせた布で表面を磨き上げると、また落ち着きます。で、無色を使えば、色そのままの雰囲気を保てるし、好みで色付きのポリッシュで表情を出してもいい。それに、昔の人はよく、靴をKIWIの缶のやつで全体をピカピカに光らせた、って懐かしそうに言う方が結構いる。勿論今でもそうしている靴磨きの人や、服飾界の大御所もいらっしゃる。ということは、別に靴に悪いわけではない。
私も全ての靴を全体くまなくピカピカに光らせる訳ではないですし、ポリッシュの使い方にも気を付けてはいます。でも、それ以上に、
靴が綺麗になるのが嬉しい、楽しい、と思えるのであれば、それが正解。
だと思うのです。
ということで、最近また、新鮮な気持ちで靴磨きを楽しんでいます。