思い入れが強くなりすぎるあまり、なかなか文章に出来ないもの。色々伝えたいと思うあまり、適当に書きたくないから、と書く前からパワーが必要になってしまって、ついつい先延ばしにしてしまうもの。
もちろん、伝える義務なんてないし、本来はあまり広く知られて欲しい訳でもない。なんて言いながら、けれどどこかで伝えたい勝手な気持ちもある。大好きなモノ、趣味ってそんなものなのかもしれません。
Old Town Clothing – classic British workwear – Holt, Norfolk, England
昨年11月に久しぶりに書いた、イギリス北東部Norfolk州Holtで40年以上全く変わらないスタイルで作られ続けているこのOld Townというブランドは、まだ5年程度しか愛用していないものの、私にとってはそんなモノの一つです。
Old Town Clothing – classic British workwear – Holt, Norfolk, England
先日届いたCharcoal Harris Tweedのジャケット”Stanley“もすっかりお気に入りになってしまい、この冬はしつこいくらいに頻繁に着ていました。連続で着ない、とかそんなこと全くお構いなし。毎日のように着ては、ブラシをかけてまた翌日。Stanleyにとっては休む間もなかったかもしれませんが、冬のこの時期はちょっと我慢してもらおうかな、と思っています。
気に入ったモノが手に入ると、いつか入手できなくなるようなことが起こる前にセットアップで揃えておきたくなるのが私の悪い癖でもあります。既にStanleyが手元に届いた直後に、Old Town ClotihingのMarieさんには同じCharcoal Harris Tweedのベストとトラウザーズをお願いしていました。
「ちょっと今からだと完成するのはクリスマス明けになっちゃうけど良い?」と言われたのが11月末。実際に届いたのは突然。1月も下旬になってからでした。
職人であるWilliam Brownさんが今のHoltに移ってきて25年。クリスマス、年末年始と挟んだこともあって、きっと大忙しだったのでしょう。
Old Town Clothing “Straight Edge Waistcoat”
Straight Edge Waistcoat | Old Town
いつの頃からか、スーツでも、またジャケットでも、ベストを好んで着るようになりました。室内でジャケットを脱ぐ時でもベストだけは欠かさない。単純な好みの問題です。
20代にスーツを色々とオーダーしていた時に、後になってベストも追加しようとすると、全く同じ素材というのが時として手に入らないことがあるということが分かり、それからはなるべくセットでオーダーするようにしていました。
この”Straight Edge Waistcoat”は以前Navy Unlined Wool Flannelの”Marshalsea“をオーダーした時にも作ってもらったことがあったので、大体のサイズ感と着用感は分かっていました。
タイト過ぎず(全体的にOld Town Clothingはリラックスして着られる、かといって崩れすぎないフィット感)私のような細身の人間には少しゆったり気味か、と思われるくらいなのですが、実際に着てみると不思議とそれを感じさせません。
そして、意外と気に入っているのが、右胸側に内ポケットがさり気なく付いているところ。
私は以前から長財布を愛用しているため、観劇などでジャケットを脱いだりするときに財布をどうするかに悩むことがあります。この”Straight Edge Waistcoat”は内ポケットに長財布を入れても着ていて苦しい感じもありません。安心してジャケットを脱ぐことが出来る。これはHarris Tweedという素材を考えても非常にありがたいな、と思います。
Old Town Clothing “Vauxhalls”
今回初めてオーダーしたトラウザーズ。種類が色々ある中でこちらを選んだ理由は色々あっても、一番の理由は単にHarris Tweedでお願い出来るものがこれだった、ということです。
とはいえ、合わせるジャケット”Stanley”が比較的スリムなタイプのもののため、トラウザーズもなるべくスリムタイプを選びたかった、というのもあります。また、商品ページの着用例を見てみても、ベルトを使わずに、こちらの”Braces“のようなモノを使ったほうが素敵だな、と思っていたので、ウエストサイズが気になるところでした。なにせ私は普段ユニクロでも28です。
多少大きい分には何とか誤魔化せるものの、小さいのは厳しくなります。28にするか30にするか悩んだのですが、たいてい30にしてあとでちょっとだけ後悔することが多かったので、今回は28に。届いて履いてみたところ、これでも少し余裕があるくらい(ただ、これより下げてしまうと多分厳しい。)。
気に入っている点が2つあって、一つが上のように尻ポケットがないこと。実用上は確かに不便かもしれませんが、ついスマホだなんだとポケットに思わず入れてしまいたくなる私には、そもそもポケット自体がない、というのは意外と楽なようです。
もう一点がLinedということもあるのですが、きちんと裏地があり、ここから後で日本で裾上げ、ダブル仕上げなどにしたい場合にも、またそこまでしない場合でも気分でロールアップ等をしたい時にはこれは助かります。脱ぐときに横着するとこの裏地部分を巻き込んで脱いでしまうのだけちょっと注意。
このトラウザーズは本当に「温かい」です。ジャケット以上。驚きました。あ、こんなにツイードって温かかったんだ、とホッとするような、これならヒートテックも要らないかもしれません。(ただ、1月も下旬になるとかなり風も強く冷え込む日も増えてきたので、変わらず履いてはいます)
フォルムとしてはスリムといっても、最近(少しビックサイズがまた出てきてはいるようですが)のスキニーなどとは全く違って全体的にゆったり目。細身に慣れていると、鏡に映る自分を見て少し戸惑うかもしれません。
二人にお会いする日を楽しみにしながら、少しずつ揃えていきたいと思っています。
年末にかけて少しずつ円安、ポンド高に戻してきていたこともあって、Stanleyをオーダーした時に比べても若干円安気味でした。ただ、こういうモノって既に為替云々とは別の部分にあると思うのです。なぜなら、ここに関税も乗ってきて、送料もかかれば、手間も期間もかかります。余程好きでもなければわざわざ日本からお願いする必要なんてないんです。私は靴同様、服も「所詮服」だと思っています。(この「所詮」は誤解を生みそうですが)
ただ、私の中では着ていて気持ちが良いし、肩肘張らなくて良くて、「今日もこれ着て良かった」と思える一着。そして何より、実際にはまだお会いしたことはないのだけれど、Marieさんとのほんの僅かなメールのやり取りが私には嬉しかったりします。
春夏、そして秋冬。季節の変わり目に少しずつ、けれど欲張らずに少しずつ揃えていきたい。そして、これらの大好きな服を着て、HoltのOld Townのお二人のお店を訪れたいな、と思っています。
Old Town Clothing – classic British workwear – Holt, Norfolk, England