先日購入したAmazonのKindle端末の最上位モデル、Kindle Oasis。
勿論裸のままで使うのも、軽さや持ちやすさなどを活かせて良いのですが、折角の読書体験をまた少し贅沢なモノにしてくれるのが、Amazon Kindle Oasis (Newモデル)用レザーカバーです。
Amazon純正のKindle端末用カバーは毎回出ていますが、今回もプレミアムレザーを用いた3色展開で発売されています。発売後も一時在庫切れの状況が続いていますが、再入荷のタイミングを見計らって、今回は「メルロー」を選びました。
時折在庫が復活するので、気になる方は「欲しいものリスト」などに入れて小まめにチェックしておくことをオススメします。
ただ、今回のレザーカバー、結構評価が大きく分かれています。低評価で多いのが「届いた時から傷が付いていた」「プレミアムレザーなのに傷が入りやすい」「この価格で傷が」といった、傷に関するもの。あとは「色移りがしやすい」といったものでしょうか。そうした点から「傷が入りやすいので本当の革好きにはオススメ出来ない」といった評価をされる方もいらっしゃいます。
でも、そこでふと思ったのです。「本当の革好き」「革好き」って何でしょうか?どういう人のことを言うのでしょうか。そして、革というものは、傷が入ってはダメなのでしょうか。
革製品というと、多くの方は「アジが」「経年変化が」「経年劣化が」といった言葉を口にします。であれば、傷が入りやすいことは何も弱点でも欠点でもないはずです。そして、開封時から多少の傷が入っていても、何ら問題は無いはずです(血管の痕のようなシワや模様すらも拒絶する革好きもたまにいます)。また革と皮は別物なのですが、未だに「皮製品」と書かれる(思われている)方も目にします。まぁその辺は細かいことなのでどうでもいいとも言えますが、革製品、非常に人気もありますが、どこか少し屈折している気もします。そんな私たちって本当に革好きなのでしょうか。
そして革好きって、「自分にとっての良い革だけが好き」な人のことなのでしょうか。
私は以前は革靴のお店で働いていました。多くの「革靴好き」と呼ばれる(名乗る)方にも出会ってきました。また私自身革製品は若い頃から好きだったので、自然とそういう情報にも触れてきましたし、共通の趣味を持つ方にも多く出会ってきました。けれど、その度に思ってきたのです。「○○好き」って何だろう?と。
そうした想いはこのブログでも度々書いてきていて、それを革靴のお手入れというものを通して伝えたい、と思ったのが今年の夏に発売したKindle書籍「靴ブラシで歩き方が変わる」です。ありがたいことに少しずつではありますが今もコンスタントにお買い上げ頂いていて、そんな私の想いが少しでも伝わったらいいな、といつも思っています。
*Amazonプライム会員及びKindle Unlimited会員の方は、無料でお読み頂けます。また、Kindle端末でなくても、お持ちのスマホやタブレットでもお読み頂くことが可能です(プライム会員の無料に関しては、Kindle端末が前提のようですが)。
革というのは人間と同じように、日々生きていく中で、使われていく中で、望むと望まざるとに関わらず、傷やシワは入っていきます。意図せず激しい傷が付いてしまった時には勿論私も凹みますが、それも含めての革です。そして、そうした傷も、日々撫でていたり、小まめなお手入れをしていく中で、完全に消えはしなくても、目立たなくなってきます。自分自身が気にならなくなってくる、とも言えます。人の顔と同じです。全く綺麗で傷シワ一つない顔が美しいのでしょうか。
また、購入時から傷が入っている、シワが入っていることを嫌う方も結構いらっしゃいます。革靴でも先ほどまで店頭の靴を非常にぞんざいに扱い、試し履きしてシワも散々に付けながら(時には踵まで踏みながら)「買うから新しい靴出して」「店頭品しかないなら、値引きしてよ」と普通に口にする方も結構多い。とにかくキレイであることを、傷一つ入っていないことを望む方が非常に多いのです。僅かな傷やシワ、血管の痕でも「じゃあ安く」となってしまう。その割に、買った後はいい加減に履き潰して、ホコリもシワも汚れも放置状態で「アジがね」という方も多い。それは革製品でも同じです。
革のアジと雑に扱うことは別物です。
もちろん綺麗な方が気持ち良いのは分かります。傷が入れば確かに凹みます。けれど、それが革だと思うのです。
傷一つ付かないように、神経を使いながら扱って、疲れてしまうのであれば本末転倒ですが、傷が入ったら、その時は凹みながらも、また常日頃から持ち歩いて、普通に使って、もし傷が付きやすいようだったら、ちょっと持ち歩き方を考えてみたり、雑に放り込むのをやめてみたり、気がつけば撫でてあげるようにする。傷も含めた革と付き合っていく。
「綺麗な革だけが好き。」
それって寂しくありませんか。
もちろんそうした声に応えるように、巷には「なるべく購入時と表情が変わらない」「表面に厚くコーティングも施して水も汚れも弾く」革も販売しています。また、そうした革のほうが高級だと思われる方も結構いらっしゃいます。けれど、高級だから丈夫な訳ではない。革質が良いからシワや傷が入らないわけでもない。結局はその人次第なんです。
敢えて嫌な言い方をすれば、今回のプレミアムレザーカバー、プレミアムなのにたかが7千円なんです。7千円の革に向かって何言ってるんだ、とも言えます。嫌な言い方ですね(普段このブログをお読み頂いていない方からすると、これちょっと誤解生みやすい表現ですが)。ただ、だからと言ってダメな革だとか、質が悪いとか、そういうことじゃないんです。むしろAmazonだから、この価格でこれだけしっかりOasisにフィットさせた、表情豊かな革のカバーを提供できた、とも言えます。このレザーカバー、良いですよ。ホント。
だから、「革好き」な方は是非試してみて欲しい。革好きだと思っている方こそ使ってみて欲しい。何も特別なお手入れや知識や経験なんて必要ない。今までの革遍歴なんて関係ない。そして、今までどんな革を使ってきたか、なんてことも全くの無意味です。
革好きなんて、「革が好き」でいいんです。革質ガーとか、○○レザーだから云々とか、そんなことはどーでもいいんです。ただ「革が好き」。それでいいじゃないですか。そういう人にとっては、このレザーカバーは、Kindle Oasisでの読書体験をより贅沢なものにしてくれると思います。だって、革が好きなんですから。革の手触りって、やっぱり良いですよね。そして、革ってなんか私たちを豊かな気持ちに、そして少しホッとさせてくれる気がしています。
このレザーカバーの唯一の欠点。
それは「傷が入りやすい」ことでも「色移りしやすい」ことでもなく、
全然在庫がないことです。