何か新しいモノに興味を持ったり、購入したりするときには、今までとは全く違った何か新しいもの(機能)を求めがちです。それはそれで楽しいことでもあり、今までと大した変化がないのであれば、新鮮味も感じられないのでいまいち心が動かない、という気持ちもとても分かります。
ただ、Chromebookに関しては、意外と一見「何の変哲もない」「代わり映えのしない」スタンダードタイプのモデルがもしかしたら最も魅力を感じられるかもしれません。ここ最近情報を追いながら、ふとそんなことを時々思います。
なぜならChromeOS自体が既に思想、方向性からして既に今までのPCの考え方とは違うから。そのシンプルな魅力を感じるのであれば、標準(基準となる)的なモデルを使ってみるのが一番だと思うからです。
Chromebookで標準、といえば本家Googleを思い浮かべそうですが、残念ながらGoogleはPixelというハイスペックモデルを過去2回出したのみです。もし最もChromeOSに馴染みがある、としたら、やはりこのメーカーの商品ではないか、と感じてます。それが、私も普段スマートフォンでお世話になっているASUSです。
ASUSが出すスタンダードなChromebookは派手さはないけれどじんわりとした魅力に溢れている。
日本でもASUSは積極的にChromebookを展開してきました。Chromebookに限らず、ChromeboxやChromebitまで日本で展開したのはASUSだけかもしれません。更に現在でも個人向けは縮小してはいるものの、法人向けではAcerと並んで変わらずChromebook市場で頑張っています。
そんなASUSのChromebookというと現時点で最も有名で入手もし易いモデルが10.1インチコンバーチブルタイプのFlip C100PAだと思います。これは確かに良モデルで大変魅力的です。
ただ、それまでにもASUSはベーシックなChromebookを日本でも展開してきました。個人的には今振り返ってみるとちょっと惜しいモデルだったかな、と思いますし、今それらを探してきて新たに購入する必要はないと思います(良いモデルではありますが)
ただ、海外では今もこのベーシックモデルを精力的にアップデートしていまして、それぞれにスタンダードでありながらも深みのある魅力を備えた良モデルを揃えています。日本でも一部法人向けのみに展開(C202PA)されています。
ASUS C201 | ASUS C202SA | ASUS C301SA | |
CPU | Rockchip Quad-Core RK3288C | Intel® Celeron® Dual-Core N3060 | Intel® Celeron® Quad-Core N3160 |
RAM | 2 / 4 GB LPDDR3 | 2 / 4 GB LPDDR3 | 4 GB LPDDR3 |
Display | 11.6″ 16:9 HD (1366×768) | 11.6″ 16:9 HD (1366×768) Anti-Glare | 13.3″ 16:9 HD (1366×768) Anti-Glare |
Storage | 16GB eMMC | 16GB eMMC | 16GB / 32GB / 64GB eMMC |
Dimensions | 287 x 194 x 17.9 mm (WxDxH) | 293 x 199 x 22.6 mm (WxDxH) | 329 x 230 x 20.3 ~22 mm (WxDxH) |
Weight | 0.98 kg | 1.20 kg | 1.35 kg |
Battery | 13時間 | 10時間 | 11時間 |
Price(Amazon) | $169.99 | $199.00 | Currently unavailable. |
今回まとめた3モデルは、11.6インチと13.3インチということで、持ち運んで外で作業をするのにも使えます。特にC201は0.98kg・13時間稼働という点が大きな魅力です。
C202SAはこの表だけ見る限りでは、C201よりも魅力が薄く感じられがちですが、こちらは主に教育期間向けに作りこんだモデルでもあり、重さ分は落下やキーボード上に水をこぼしても問題ない、などタフに使える仕様が魅力です。分解が簡単なので、何か起こった時のメンテナンスも楽、というのも売りのようですが、個人レベルで出来るかどうかは難しいところ。
C301SAは最近話題になり始めた普及型容量増ストレージモデルの先駆け。シンプルに使うのであれば64GB必要かどうかはそれ程魅力にはなりませんが、恐らく今後のGoogle Playストア対応に合わせてきているのだと思います。また標準でRAM 4GBなのも現時点では動作上の安心感はあります。
C201。これが現時点のChromebookのスタンダードか。シンプルさが何よりの魅力。
ASUS Chromebook C201 | Notebooks | ASUS Global
ASUS C201 (2015.5) | |
CPU | Rockchip Quad-Core RK3288C 1.8GHz (参考値 Octane Score:7400) |
RAM | 2 / 4 GB LPDDR3 |
Display | 11.6″ 16:9 HD (1366×768) TN Display |
Storage | 16GB eMMC |
Dimensions | 287 x 194 x 17.9 mm (WxDxH) |
Weight | 0.98 kg |
Battery | 13時間 |
Price(Amazon.com 2016.10.8) | $169.99 |
米Amazonでも豊富な色展開で販売されていて、価格も$169と手頃。
一時的に在庫切れ等あってSellerを選ばないと購入できない時もありますが、基本的にASUS製品は日本への発送をしてくれるモデルが多いのも助かります。そこは大変素晴らしいです。
RAM 4GBモデルが普通に展開されているので、今選ぶならこちら。そしてストレージの16GBに関しては、このモデルに関しては十分かな、と思います。(実際ほぼ使うことなく、Googleドライブに直接保存してしまうことが大半だと思いますし)
各色ともに商品ランキングでも上位に来ているのは、その求めやすさと余計なものが加わっていないことでのシンプルな安定感と安心感かな、と思います。元々シンプルさはChromeOSの特徴ではあるのですが、それを外観からもわかりやすく表現しているのがこのモデルだと思います。
おなじみLonさんのレビュー。決して新作というわけではないので、ほかにも既に豊富な商品レビューが海外サイトだけでなく日本でも揃っているのも安心感に繋がります。
Asus C201 – $169 Chromebook Review – Voltron00x.com
C202SA。個人的には今この価格帯で最も惹かれているタフ仕様モデル。
ASUS Chromebook C202SA | Notebooks | ASUS USA
ASUS C202SA (2016.2) | |
CPU | Intel® Celeron® Dual-Core N3060 1.6GHz (参考値 Octane Score:8800) |
RAM | 2 / 4 GB LPDDR3 |
Display | 11.6″ 16:9 HD (1366×768) Anti-Glare TN Display |
Storage | 16GB eMMC |
Dimensions | 293 x 199 x 22.6 mm (WxDxH) |
Weight | 1.20 kg |
Battery | 10時間 |
Price(Amazon.com 2016.10.8) | $199.00 |
C201よりも実売価格では$30程度高いのに、スペックだけ並べてみると重くなって電池の持ちも悪くなった。良いことなさそうな印象ですが(CPUがIntel製になりましたが)、このモデルの魅力はそんなところにはありません。
何度も書いていますが、元々Chromebookというのは仮の箱に過ぎなくて、ユーザーにとって必要な物はGoogleアカウントのみです。Googleアカウントさえ持ち歩けば、自分のChromebookを紛失しようが盗難されようが、落として破壊されたたとしても、誰かのChromeOS端末(bookやboxなど)や他の自分の端末から数分で同じ環境に復活できて再開できる、というのが強みです。あくまで端末自身はクラウドにある自分自身のデータと自分を繋ぐためのリモコンやキーのようなもの(鍵、となるとそれはGoogleアカウント自体になると思います。)
Googleアカウントだけ持ち歩く、身軽なスタイルが実現できる、というのが方向性でもあるだけに、落として壊れてもデータ的には何ら怖くも痛くもない(落とした端末の金額自体はお財布的には痛い)訳ですが、とはいえ、普段から例えば海外での活動で持ち歩いたり、といった時には耐久性といった点は非常に安心感に繋がります。
教育の現場に限らず、雑には扱わないものの、ふとした拍子にコーヒーやお茶、水をこぼしてしまった、ということもあるでしょう。私もこぼしたことはないものの、ケーブルや手にグラス自体が引っかかって冷や汗をかいたことは何度もあります。
ASUS自身の紹介動画ですが、水と衝撃への強さを紹介したあとのドヤ顔がたまりません。
妻の海外での活動用に(妻は海外にはChromebookを持っていくので)流石にHP Chromebook 13 G1は傷ついたり落としたり盗まれたりされると(モノとして)辛いので、耐衝撃性にも優れてタフに使える、けれどそれなりに無駄な買い物にはならない満足感もあるモデルはないか、とここ最近探していましたが、昨夜このC202SAの動画を見せたらかなり気に入っていました。
価格が手頃($200以下)なのもありがたいです。基本スペックは過不足ないので普通に使えますし、仕事など本格作業を出先で考えているのでなければ、普段から気軽に持ち歩ける、これこそChromebookの魅力を引き立ててくれるシンプルなモデルかな、と思っています。
個人的に現時点ではこの価格帯では最も気になり、欲しいモデルです。
はい、最後はやっぱりLonさん。
追記:2016年11月20日 22:30 更新
その後購入しまして、既に1ヶ月弱使っていますが、大変気に入っているモデルです。個人的には11.6インチでは2016年お薦めの一台です。是非合わせてご覧下さい。
C301SA。13.3インチにおいてはAcer R13と並ぶ標準機になりそうなChromebook。
ASUS Chromebook C301SA | Notebooks | ASUS Global
ASUS C301SA (2016.8) | |
CPU | Intel® Celeron® Quad-Core N3160 1.6GHz (参考値 Octane Score:8200) |
RAM | 4 GB LPDDR3 |
Display | 13.3″ (16:9) FHD (1920×1080) Anti-Glare Display |
Storage | 16GB / 32GB / 64GB eMMC |
Dimensions | 329 x 230 x 20.3 ~22 mm (WxDxH) |
Weight | 1.35 kg |
Battery | 11時間 |
Price(Amazon.com 2016.10.8) | Currently unavailable. |
大きく出ましたが、実際前回触れた現在Preorderが開始されたAcerのR13と競合すると思われているASUSの13.3インチの新作モデルがこのC301SAです。あちらはコンバーチブルタイプですが、こちらは通常のタイプ。
今後のGoogle Playストア対応を考えると確かにコンバーチブルタイプはそれなりに本領を発揮するとは思うものの、その分(構造上)コストも上がりますし、今回テーマとしたシンプルなChromeOS自体の本領を発揮する、と考えるとこのモデルも大変に魅力的です。第一実売$299程度ですし。
ただ、残念なことに最初にこのモデルを取り上げた時には米AmazonでもOrderを受けていた(日本へも発送可)のですが、現在「Currently unavailable.」となっています。発売日が伸びたのか、何か別の理由があるのか気になるところです。
最初に挙げたC201同様、スペック上はストレージ64GB版を選択しない限り、特に目立った特徴はありません。そうした点ではFlipやR11、R13のような見た目にわかるギミックや、Acer 14のような本体の美しさ、14 for Workの美しさと耐久性の調和、ThinkPad 13 Chromebookの独特の魅力などのように分かりやすい魅力には欠けます。
とはいえ、13.3″ (16:9) LED backlit FHD (1920×1080)のアンチグレアパネルなど、13.3インチならではの画面の広さの良さを活かしつつ、余計なものを省き、今後Chromebookで選択の目安となるであろう「4GB RAM / 32GBストレージ」という部分は外さない、という点でも堅実に作ってきていると思います。
Chromebookというと一般的には廉価版、格安PC的な安っぽいイメージもあると思うのですが、実際はそんなことはありませんし、ASUS自身スマートフォンやタブレット端末でも音(スピーカー含)は結構特徴の一つとしていますので、今回もこの辺り、こだわり抜いているわけではないにしてもそれなりの音を聴かせてくれるのではないか、と思います。
まだイマイチ海外でも発売される(されている)のか、せめてプレオーダーは可能なのか、その辺りがハッキリしないのですが、AcerのR13がまもなく発売されることを考えると、それに合わせて年内には普通に出てくると思いますので、期待して待ちたいと思います。
派手さはないので面白みはないけれど、使えば使うほどそのシンプルな魅力に気づきやすい。
冒頭でも触れましたが、見た目に分かりやすい特徴を持ったモデルは確かに魅力があります。何より気づきやすいので、スマートフォンやタブレット、自宅のPCまでこれだけ豊富に揃っている世の中では、あえて買い足す、買い換えるにはそれなりの理由も必要ですし、お金を出す以上、それなりに満足感も欲しいと思います。
そう考えると、Chromebookという特に訳のわからないラップトップPCを買う場合には、(日本では一時期のネットブックの悪夢もありますし)こうした標準機はついスルーされがちです。話題のGoogle Playストアにもまだ対応していませんし。
ただ、一般的に海外の教育現場も含めていま急速に拡大しているChromebook市場を支えている、引っ張っているのは恐らくこうしたスタンダードな(メンテナンスも含めてシンプルな)$200前後のモデルなのではないか、といつも思います。
教育現場でどんどん活用されている海外と、すっかり取り残されてガラパゴス化した日本。
クロームブックで教育現場での業務を効率化している米国 | Chrome通信
以前からガラケー(=ガラパゴスケータイ)と言われてきた日本の携帯電話事情ですが、むしろ今はあまりにもPC離れが加速してしまって、その事のほうが世界においてはガラパゴス化してきてしまっているのではないか、という気がしています。
Over 20 Million Students Now Using Chromebooks | Androidheadlines.com
既に2000万人以上がChromebookを使うようになった米国では、年間のMacの売上を抜いたようです。
私は別にラップトップPCという箱物が大切だ、というつもりではありませんが、SNSでの炎上やマナーの劣化、更に小さなことでもすぐに非難誹謗中傷して炎上させている気持ちに余裕のない風潮をみると、色々と思うこともあります。
そもそも情報量の圧倒的に少ない、また長文を読み書きすることに慣れていないことにも原因があり、それらには基本的にキーボードすらほとんど使わなくなってしまった現状も関係しているのかな、と思っています。
そうした点でも、せっかくこれだけの良モデルが出てきている中で、日本においてももっと教育現場でも活用されてほしいな(=そのためには肝心の大人自身の能力不足も大きいですが)と願っています。