最終日。開催前から妻が非常に興味を持っていて、折角だから、と私も付き合ったのですが、思った以上に良かったです。
背守り(せまもり)って何?
上の文章は郡山市立美術館館長の佐治ゆかり先生が寄せられていました。
『ハギレの日本文化史』 / 講師 佐治ゆかり先生
昔から日本では背中というのは身体的にも精神的にも弱い部分であり、そこから悪が入り込む、また魂を奪っていくと考えられていました。まだ霊魂の不安定な幼子が背中から連れ去られることのないように、そんな母親の想いから、着物の背中部分の刺繍や飾りを御守りとして、一針一針縫っていったもの。
その昔、背中は霊魂の守りの要で着物は背縫いによって身を守ると信じられていました。しかし子供の着物には背縫い線がありません。人の背中には目がなく、体の前に比べて 無防備です。背後から魔物が入り込まないように糸で縫い、魔よけとした印が背守りです。
「縫い目」がないと「目」がないと悪いものが子供を連れ去ってしまう可能性があります。また、命を狙う魔物に気が付かない可能性もあります。
だから「背守り」をつけて「目」とし、万が一、子供が囲炉裏や井戸に落ちたときには背守りの糸や布を持って神様が引き上げて命を守ってくれるといいます。
背守りは 産着を縫うときに 母親が子供を守る祈りを込めて縫い取ったものといわれています。
色々な背守りが、意味があって、面白い。
それぞれに刺繍や飾りに込められた想いや意味があって、撮影OKということもあり、ついついどんどん写真を撮ってしまいました。その場だけで、面白い、綺麗だなぁ、で済ませるのは勿体無いなぁ、と思ったので、帰ったら色々調べてみようかと思います。
同ギャラリーのディレクター、筧天留(かけひてる)さんによると、最も一般的なのは、背の中央を縦に縫い目を施した「糸じるし」。一見素朴だが、縫い目にも一定の約束事があるそうで、ずいぶん長いものも。「糸が長ければ長いほど、長寿になると信じられたようです。糸も貴重だった時代、愛情を感じますね」
ひとまず、着物をあまり着なくなった現代でも、Tシャツの背中の辺りに背守りを縫いつける、というのはなかなか可愛らしくてオシャレなアイデアだな、と。これも既製ではなく、背守りはお母さんが想いを込めて一針ずつ縫っていくのが大切なようなので、我が子が来たら、妻にお願いしたいと思います。
背守り収集家でもある鳴海友子さんとは各地で「背守りワークショップ」をされているようですが、まとめて情報を得ることが出来るサイトがないのが残念です。
【伝統xデザイン】手仕事の日本ふたたび 背守り 今に通じる親の願い | MSN産経ニュース
MSN産経ニュースの今回の展示の記事。
背守りを縫う | むすびCafé
こうしたワークショップも各地で開かれているようですが、単発単発で行われているため、なかなか情報にたどり着けないのが残念です。折角それぞれに興味深い、もしくは素敵なワークショップを企画されていても、それらを繋ぐ横の繋がりがなかなか出来にくいのも事実。そうしたものをうまく繋ぐことが出来たら良いのですが。
NHKの番組中でも紹介されたらしいこの背守り練習帖。AssistOnのサイトが説明が充実していると思います。
背守り 練習帳 | AssistOn