新しい元号「令和」まであと半月となりました。私は昭和生まれなので、気がつけば3つの元号の時代を生きることになります。そうした中、今月初めに春季皇居乾通り一般公開に行った帰りに、私たち夫婦ともにお気に入りの国立公文書館に行ってきました。
ただ今、5月12日(日)まで平成31年 春の特別展「江戸時代の天皇」が開催されています。
国立公文書館、大変ありがたいことに入場料無料なのです。でいながら、毎回開催されている内容が濃くて興味深くてたまりません。例えば先日3月9日までは平成30年度 第4回企画展として「温泉 ~江戸の湯めぐり~」が開催されていました。しかも一部を除いて、フラッシュは禁止ですが撮影可、SNS等での拡散も可なのです(SNSで投稿した画面を見せると記念品が貰えたりする)。
ということで、今回の「江戸時代の天皇」。ちなみにあなたは江戸時代にはどんな天皇がいらして、どのようなことをされていたかご存じですか?
みなさんは「江戸時代の天皇」と聞いて、どんなイメージをお持ちでしょうか。江戸時代初期の後陽成天皇や後水尾天皇、徳川家康の孫に当たる明正天皇、幕末の孝明天皇などが小説や歴史ドラマなどで登場しますが、古代や近代に比べ、江戸時代の天皇については一般的にはあまり知られていないのではないでしょうか。
しかし、江戸時代にには、現在の皇室に繋がる閑院宮家の創設や「天皇」という称号の再興。また神事である大嘗祭も再興されるなど、現在に直接繋がる様々な事柄が創られ、または再興された時代でした。一報、当時の御所は、今で言う観光スポットの一つですが、江戸時代には民衆の祈願先ともなっており、現在と繋がりつつも異なる点も多くあります。
今回の展示を通じて、江戸時代という時代のなかで、天皇がどのような存在であったのか、さらには現在を生きる我々との繋がりなどを知っていただく一助になれば幸いです。
私、歴史の知識が時代によってかなり偏っています。しかも結構中途半端なままアップデートされていないことも多いので、最近の歴史の新常識的なものにも興味を持っています。裏を返せば予備知識、基礎知識がないので、「サッパリ分からない」部分もあるとはいえ、むしろ先入観無く楽しめるとも言えるかもしれません。
今回の特別展もテーマ毎に各章に分かれていて、どの章も大変面白かった(写真も記録としてだいぶ撮りましたし)のですが、じっくり一つ一つ説明を読んで、史料を眺めていくと、かなり時間もパワーも要りますし、疲れます。
そうした中で、個人的に特に興味深かったのが、「第3章 元号の選定と改元」です。
ちょうど新しい元号に変わるこの時期だからこの特別展、というのもあるのですが、やはり身近な話としての改元は今だからこそまたリアルに感じられる部分もあるな、と思いました。そして感じたのは、
江戸の庶民も平成の庶民も大して変わらないな
ということです。時代が変わろうと、文明が変わろうと、だいたい似たような反応と似たようなことやってるんです。
元号の漢字から「あーでもないこーでもない」と良し悪し、縁起の良さ悪さを批評したり
文政改元においては賛成意見と反対意見で紛糾したり。
いつ、どのような形で新しい元号を使い始めるのか、
そしてやっぱり生まれる便乗商売。いつの時代も、似たような反応、似たようなことやってるんですね。
ちなみに今回の特別展では、特別にこんなものも展示されていました。
誰かが家にあったのをTVで鑑定に出していたあれですね。今回の「令和」は流石にありませんでしたが、平成という30年余りを過ごした者にとっては、単なる書であっても、色々な想い出が蘇ってくるものかもしれません。
平成、そして令和の典拠となる「史記」と「万葉集」も。
江戸時代の天皇、というだけに限らず、今ちょうどこの時期、新しい元号の時代を迎えるにあたって、折角だから一度はじっくり眺めてみて欲しい、より多くの人に訪れて欲しい特別展でした。
国立国会図書館といい国立公文書館といい、こうした濃くて貴重で充実した史料や資料がじっくり楽しめる、利用できる場所が無料で公開されている、というのは嬉しいですね。
ただ、国立公文書館なんだから、サイト自体もセキュアにしておいて欲しかった(https://ではなくhttp://)な、と何となく思いました。
ちなみに今回の特別展に限らず、国立公文書館ではこんなものも展示されています。
大日本帝国憲法や、
終戦の詔書。そして、
日本国憲法です。